培養液(ばいようえき)

培養液

培養液とは

培養液(ばいようえき)とは、養液栽培などで作物へ水分と無機養分を供給するため、肥料成分を水に溶かして調製した溶液です。
「養液」「栄養液」などの名称が使われることもあります。

一般に、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄などの多量要素と、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデンなどの微量要素を、作物や栽培条件に応じた組成で供給します。

培養液の管理

培養液は、単に肥料を水へ溶かせばよいものではありません。
原水の水質、肥料処方、作物、品種、生育段階、季節、栽培方式などを考慮して調製・管理します。

代表的な管理指標としてEC(電気伝導度)とpHがあります。
ただし、ECは溶液中の個々の肥料成分濃度を直接示すものではありません。
同じECでもイオン組成が異なる場合があるため、ECの数値だけで培養液の良否を判断することはできません。

原水・給液・排液・循環培養液の違い

  • 原水:肥料を混入する前の水
  • 給液:肥料を混入し、作物へ供給する培養液
  • 培地内溶液:培地や根域内部に存在する溶液
  • 排液:根域を通過して排出された溶液
  • 循環培養液:循環式養液栽培で回収し、調整して再利用する培養液

給液のECやpHが適正でも、培地内溶液や排液が同じ状態とは限りません。
作物による養分・水分の吸収、蒸散量、給液量、給液回数、排液率、培地特性などによって根域内の状態は変化します。

培養液の調製

養液栽培では、肥料原液を作り、原水と所定の割合で混合して培養液を調製する方法が広く利用されています。
複数の肥料原液を使用する場合は、肥料成分同士の反応による沈殿にも注意します。

高濃度の原液状態でカルシウムを含む肥料とリン酸塩・硫酸塩などを直接混合すると、難溶性物質が生成して沈殿する場合があります。
そのため、肥料処方や装置によってはA液・B液など複数の原液タンクへ分けて管理します。

自動給肥装置や液肥混入器を使用する場合でも、設定倍率だけを信用せず、実際の給液EC・pHや流量を測定して確認することが重要です。

培養液濃度と作物生育

培養液濃度を高くすれば、収量や品質が必ず向上するわけではありません。
根域の塩類濃度が高くなると浸透圧が上昇し、作物が水を吸収しにくくなる場合があります。

作物や栽培方法によっては、比較的高いEC管理によって果実糖度などが高くなる場合がありますが、同時に果実の小玉化、生育抑制、収量低下、生理障害などが発生する可能性があります。

適正な培養液濃度は、作物、品種、生育段階、季節、日射、培地、栽培方式、原水条件などによって異なります。
単一のEC値をすべての栽培へ適用してはいけません。

循環式養液栽培での注意点

循環式では排液を回収して再利用することで、水や肥料の利用効率を高められる場合があります。
一方、作物が各肥料成分を同じ割合で吸収するわけではないため、培養液のイオン組成が徐々に変化することがあります。

また、根部病害などの病原体が培養液へ侵入した場合、循環系を通じて広範囲へ拡散する可能性があります。
EC・pHだけでなく、肥料組成、根の状態、液温、衛生状態などを総合的に管理します。

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