農業用ポリエチレン(農ポリ)とは
農業用ポリエチレン(農ポリ)とは、
ポリエチレン(PE)を主体とした農業用フィルムです。
野菜や花きのトンネル栽培、
水稲育苗、雨よけ、マルチなどに利用される
被覆資材の一つです。
一般的な農ポリは軽量で取り扱いやすく、比較的簡素な構成のフィルムでは
長期展張用の高機能被覆材より導入コストを抑えやすいという特徴があります。
価格、耐候性、透明性、厚み、使用可能期間は製品ごとに異なるため、
「農ポリなら安価」「農ポリなら短期間用」と一律に判断することはできません。
農業用ポリエチレンフィルムについては、
JIS K 6781「農業用ポリエチレンフィルム」が定められています。
ただし、市販されている農ポリの仕様や機能は製品ごとに異なるため、
購入時にはメーカーが示す用途、厚み、寸法、耐候性などを確認します。
トンネル栽培での農ポリの働き
透明な農ポリで作物を覆うと、日中は太陽光がフィルムを透過し、
トンネル内部の空気や土壌、作物が暖められます。
外からの風を遮るため、低温期のトンネル栽培では保温や防風にも利用できます。
農ポリを張れば、常に適温になるわけではありません。
晴天時にはトンネル内部の温度が短時間で大きく上昇することがあります。
作物や生育段階に応じて裾を開ける、穴あきフィルムを使用するなど、
換気による温度管理が必要です。
換気が遅れると高温障害を起こす原因になります。
夜間はトンネル内部から外部へ熱が失われます。
農ポリによる被覆だけで霜害や低温障害を完全に防げるとは限りません。
低温が厳しい条件では、マルチ、べたがけ資材、二重被覆などを組み合わせる場合があります。
農ポリとマルチの併用
農ポリのトンネルとマルチを組み合わせると、
地表面からの水分蒸発を抑えたり、使用するマルチの種類によって
地温や雑草発生などを調整したりできます。
効果はマルチの色、作型、季節、土壌水分、日射条件によって変わります。
特に透明マルチと透明トンネルを組み合わせた場合は地温や気温が高くなりやすいため、
「併用すれば生育が良くなる」と一律に考えるのは危険です。
作物と時期に合わせて資材を選びます。
農ポリを選ぶときの確認点
農ポリは、厚みだけで選ぶものではありません。
使用目的、展張期間、トンネル幅、風当たり、必要な換気量、
雨よけ用途か保温用途かなどを確認します。
一部の製品には、フィルム中央部などに製品名、厚み、記号や位置確認用の
センターマークが印刷されています。
施工時の目印として利用できますが、印刷の位置や内容は製品によって異なります。
また、換気用の穴をあらかじめ設けた製品や、
光の反射特性などを利用する着色製品もあります。
一般透明品と同じ使い方をするのではなく、目的に合わせて選択します。
農ポリと農POの違い
ポリエチレンは化学的にはポリオレフィンの一種ですが、
農業資材の流通では従来型の農業用ポリエチレンフィルムを
「農ポリ」と呼び、
農業用ポリオレフィン系フィルム(農PO)とは
別の製品群として扱うのが一般的です。
農POにはハウス外張りや長期展張を想定した製品が多く、
防滴性、耐候性、保温性、散乱光性などの機能を持つ製品もあります。
農ポリと農POは名称だけでなく、
使用場所、必要な機能、予定する使用期間を確認して選びます。
使用済み農ポリの処理
農業生産で使用した農ポリなどの廃プラスチックは、
事業活動によって生じる産業廃棄物として適正な処理が必要です。
使用後は圃場に放置したり野焼きしたりせず、
地域のJA、自治体、農業用廃プラスチック回収組織などが定める方法に従って処理します。