肥料(ひりょう)

肥料
肥料(ひりょう)

肥料とは

肥料(ひりょう)とは、
植物の栄養とするために土地や植物へ施用するもの、
または植物の栽培に役立つよう、
土壌に化学的変化をもたらす目的で土地へ施用するものです。

農業では、
作物が必要とする養分を補給したり、
土壌中で植物が養分を利用できる状態を整えたりするために使用されます。

代表的な肥料成分には、
窒素、
リン酸、
加里
などがあります。

「肥料=窒素・リン酸・加里を供給する資材」だけではありません。

肥料に該当するかどうかは、
含まれている成分名だけではなく、
その資材の性質や使用目的などを含めて判断されます。

法律上の肥料の区分

日本では、
「肥料の品質の確保等に関する法律」に基づき、
肥料は大きく特殊肥料と普通肥料に分けられます。

特殊肥料

特殊肥料は、
農家の経験などによって品質を判断しやすいものや、
肥料としての価値や施肥基準が主成分の含有量だけでは決まりにくいものなどで、
農林水産大臣が種類を指定しています。

米ぬか、魚かす、堆肥などが該当する場合があります。

普通肥料

普通肥料は、
特殊肥料以外の肥料です。

窒素質肥料、
りん酸質肥料、
加里質肥料、
有機質肥料、
複合肥料、
石灰質肥料、
けい酸質肥料、
苦土質肥料など、
さまざまな種類があります。

普通肥料には、
登録肥料、指定混合肥料、仮登録肥料などがあります。

法律上の肥料を「有機肥料と化学肥料の2種類」に分けることはできません。

有機質肥料と化学肥料

農業現場では、
原料や製造方法などから
有機質肥料、
化学肥料
といった分類も使われます。

これらは、
特殊肥料と普通肥料という法律上の大分類とは別の分類軸として考えます。

例えば、
堆肥は有機物を主とする資材ですが、
肥料制度上は特殊肥料の「堆肥」に該当するものがあります。

反対に、
動植物質の原料からつくられた有機質肥料でも、
普通肥料として公定規格が定められているものがあります。

「有機物を含む肥料=特殊肥料」「化学肥料=普通肥料」という対応関係ではありません。

化学肥料と化成肥料の違い

化学肥料は、
一般に化学的な方法によって無機質原料から製造された肥料を指します。

化成肥料は、
肥料制度上の肥料の種類の一つです。

化学肥料と化成肥料は同義語ではありません。

また、
窒素、リン酸、加里を含む肥料でも、
単肥、化成肥料、配合肥料、液状肥料など、
製造方法や組成によって分類が異なります。

製品名や外観だけではなく、
肥料の種類と表示内容を確認します。

肥料の三要素

肥料成分の中でも、
窒素(N)、
リン酸(P)、
加里(K)
は肥料三要素と呼ばれます。

窒素は、
アミノ酸、タンパク質、核酸、葉緑素などを構成する元素として、
植物の生育に深く関係します。

リンは、
エネルギー代謝、核酸、細胞膜などに関係し、
植物体内でさまざまな生理機能を担います。

カリウムは、
浸透圧調節、気孔の開閉、酵素活性などに関係します。

「窒素は葉、リン酸は花、加里は根」という対応だけで肥料成分の役割を判断するのは不十分です。

必要量や適正なバランスは、
作物、品種、生育段階、土壌や培地の状態によって変わります。

その他の肥料成分

植物は窒素、リン、カリウム以外にも、
カルシウム、
マグネシウム、
硫黄、
鉄、
マンガン、
ホウ素、
亜鉛、
銅、
モリブデンなどの元素を必要とします。

必要量が少ない元素でも、
不足すると生育障害が発生する場合があります。

反対に、
必要以上に施用すれば、
過剰障害や他の養分との拮抗が生じることがあります。

含有量が多ければ良いわけではありません。

肥料と施肥

肥料を作物や土壌へ施すことを
施肥といいます。

栽培前や定植前などに施す肥料を元肥として利用し、
生育途中で不足する養分を補う施肥を
追肥として行う場合があります。

適切な施肥量は、
作物が必要とする養分量だけでは決まりません。

土壌中に残っている養分、
土壌から供給される養分、
前作の施肥履歴、
有機物からの無機化、
灌水水に含まれる成分なども考慮します。

土耕栽培では、
必要に応じて土壌診断を行い、
土壌中の養分状態を確認して施肥量を検討します。

施設園芸・養液栽培での肥料管理

施設園芸では、
降雨による養分の流亡が少ない栽培条件もあり、
施肥を繰り返すことで土壌中に養分や塩類が蓄積する場合があります。

肥料を追加する前に、
土壌分析や生育状況を確認します。

養液栽培では、
肥料を水に溶かして培養液を調製し、
作物へ養分を供給します。

ECは培養液中のイオン濃度を把握する指標として利用されますが、
ECだけでは個々の養分濃度や養分バランスまでは分かりません。

原水の成分、
肥料組成、
pH、
排液や培地内の養分状態なども合わせて管理します。

肥料の過剰施用

肥料不足だけでなく、
過剰施用も生育障害の原因になります。

肥料濃度が高くなりすぎると、
根域の塩類濃度が上昇し、
吸水が妨げられたり、
特定元素の過剰や養分間の拮抗によって
生理障害が発生したりすることがあります。

窒素の過剰施用では、
作物や栽培条件によっては軟弱な生育につながる場合があります。

土壌に残った硝酸態窒素などが流亡すれば、
地下水や周辺環境への負荷にもつながります。

不足症状に見えても、原因が肥料不足とは限りません。

根傷み、
低温・高温、
過湿、
乾燥、
不適切なpH、
養分間の拮抗などによって、
土壌中に養分が存在していても吸収できないことがあります。

症状だけを見て肥料を追加すると、
状態を悪化させることがあります。

肥料と土壌改良資材の違い

肥料と
土壌改良材・土壌改良剤
は、名称だけで明確に分けられるとは限りません。

土壌の物理性や化学性を改善する目的で使用される資材でも、
肥料の定義に該当する場合があります。

例えば、
資材中の成分が植物の栄養になる場合や、
植物の栽培に役立つよう土壌へ化学的変化をもたらす場合には、
肥料制度との関係を確認する必要があります。

「土づくり資材と書いてあるから肥料ではない」とは判断できません。

肥料とバイオスティミュラントの関係

バイオスティミュラントとして利用される製品でも、
肥料の定義に該当すれば、
肥料に関する法令の対象になります。

バイオスティミュラントとして評価される作用と、
製品に含まれる肥料成分による養分供給は分けて考えます。

「バイオスティミュラントだから肥料ではない」という理解は誤りです。

製品の使用目的、
肥料登録・届出の状況、
保証成分、
使用方法などを確認します。

肥料を選ぶときの考え方

肥料は、
成分濃度や価格だけで選ぶものではありません。

作物、
生育段階、
栽培方式、
土壌・培地の状態、
施肥履歴、
水質、
施用方法などによって、
適する肥料は変わります。

「高濃度だから少量で済む」
「有機質だから土が良くなる」
「化学肥料だから速効性」
といった一つの特徴だけで判断すると、
誤った施肥につながります。

まず不足している養分と必要量を確認し、その条件に合う肥料を選びます。

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