天地返し(てんちがえし)

天地返し
天地返し-てんちがえし

天地返しとは

天地返し(てんちがえし)とは、表層の土と下層の土を反転させたり、上下の土層を大きく入れ替えたりする土層改良・耕起作業です。
プラウやバックホーなどを用いて行われる場合があります。

通常の耕起より深い土層を扱うことがありますが、単に深く耕す深耕と同じ意味ではありません。
表層土と下層土を反転・入れ替えることが天地返しの特徴です。

天地返しは土壌改良の方法の一つになり得ますが、「天地返し」と「土壌改良」は同義語ではありません。
土壌改良には、客土、排水対策、有機物や土壌改良資材の施用、心土破砕など多くの方法があります。

天地返しを行う目的

例えば、果樹園の改植や圃場造成などで、表層と下層の土壌性質を意図的に入れ替える必要がある場合に天地返しが検討されることがあります。

目的は圃場によって異なります。
表層に特定の問題を抱えた土層がある場合の土層改良、下層土を利用した作土構成の変更、改植時の土壌処理などが例として挙げられます。

天地返しそのものを目的にしないでください。
現在の土層にどのような問題があり、上下を反転することで何を改善できるのかを確認してから施工します。

天地返しと深耕の違い

深耕は、通常より深い土層まで耕す作業です。
深く耕しても、上下の土層を完全に反転させるとは限りません。

天地返しでは、表層土を下へ、下層土を上へ移動させるなど、土層の上下関係を大きく変えます。
このため、下層土の性質が施工後の作土へ直接影響します。

天地返しと心土破砕の違い

心土破砕は、作土の下にある締まった土層へ亀裂を形成する作業です。
サブソイラーなどを使用し、下層土を大きく表面へ持ち上げずに施工する方法があります。

天地返しは上下の土層を反転・移動させます。
心土破砕は下層の物理的な破砕が中心です。
土の動かし方が異なります。

天地返しと混層耕の違い

天地返しと似た土層改良に、表層土と下層土を混ぜ合わせる「混層耕」があります。

天地返しは土層の反転・入れ替えを中心とするのに対し、混層耕は性質の異なる土層を混合して土層全体の性質を調整する方法です。
実際の施工では両者の中間的な土の動きになる場合もあるため、名称だけではなく使用する作業機と施工方法を確認します。

下層土を表面へ出すリスク

天地返しで最も注意すべき点です。
下層土が作物栽培に適した土とは限りません。

下層土は作土と比べて、有機物や養分が少ない、pHが異なる、粘土含量が高い、礫が多いなど、物理性・化学性が大きく異なる場合があります。

そのような土を大量に表層へ出すと、施工前より作物の生育条件を悪化させることがあります。
下層土の性質を確認せずに全面的な天地返しを行わないでください。

「表土が疲れたから天地返し」は適切とは限らない

長年栽培した圃場だからといって、表土そのものが「老朽化」し、下層の新しい土と交換すれば回復するという考え方は適切ではありません。

生育不良の原因には、養分の過不足、pH、塩類集積、排水不良、土壌の緻密化、病害、地下水位など多くの要因があります。
原因によって必要な対策は異なります。

まず土壌診断と土壌断面の確認を行います。
下層土を表面へ出す必要がなければ、天地返し以外の方法を選びます。

排水性が必ず改善するわけではない

天地返しをすれば水はけが良くなるとは限りません。

下層に粘質で透水性の低い土があり、それを表層へ大量に移動させれば、逆に表層の透水性が低下する可能性があります。
地下水位が高い場合や圃場外への排水経路がない場合も、天地返しだけでは解決できません。

排水不良が問題なら、暗渠排水、明渠、心土破砕などを含めて原因に合った方法を検討します。

雑草・病害虫対策としての天地返し

天地返しによって雑草種子や病害虫を深く埋没させたり、逆に土中のものを表面へ出したりする場合があります。

この作用だけを理由に「天地返しをすれば雑草や病害虫を抑制できる」とは言えません。
雑草種子の寿命、病原体や害虫の種類、反転する深さ、施工後の環境によって結果が変わります。

土壌病害への対策は、対象となる病原体を特定したうえで防除方法を選択します。
天地返しを土壌消毒の代わりに扱わないでください。

天地返し前に確認する項目

施工前には、表層だけでなく下層まで確認します。

  • 現在の作土の厚さ
  • 心土の土性・硬さ・礫の有無
  • 深さごとのpH・EC・養分状態
  • 根の分布と根が止まっている深さ
  • 難透水層や緻密層の位置
  • 地下水位と排水状況
  • 天地返し後に栽培する作物

少なくとも下層土の状態が分からなければ、天地返しが適切かどうかは判断できません。

施工後の土壌管理

天地返しによって表面へ現れた土は、施工前の作土と性質が大きく異なる場合があります。

施工後は必要に応じて再度土壌診断を行い、pH、EC、養分状態、有機物量などを確認します。
肥料や土壌改良資材の施用量を、施工前と同じ条件のまま設定しないようにします。

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