受粉とは
受粉(じゅふん)とは、
種子植物の生殖過程で花粉が雌性側の受粉可能な部位へ到達することです。
農作物の多くを占める被子植物では、
花粉が雌しべの
柱頭に付着することを受粉といいます。
受粉した時点では、
まだ受精が成立したわけではありません。
被子植物では、柱頭に付着した花粉が発芽して
花粉管を伸ばし、
花粉管が胚珠へ到達した後、
精細胞と卵細胞が融合して受精に至ります。
「受粉」と「受精」は別の段階です。
花粉が運ばれる方法
花粉が柱頭へ運ばれる方法には、
風による風媒、昆虫による虫媒などがあります。
風媒花では、
風によって花粉が運ばれます。
虫媒では、ミツバチ、マルハナバチなどの
訪花昆虫が花を訪れる際に、
体に付着した花粉を別の花などへ運びます。
栽培現場では、人が花粉を柱頭へ付着させる
人工授粉も行われます。
自家受粉と他家受粉
花粉がどの個体から来たかという視点では、
自家受粉と他家受粉に分けて考えることができます。
自家受粉は、
同じ花または同じ植物個体の花粉によって受粉することです。
他家受粉は、
別の植物個体から運ばれた花粉によって受粉することです。
これは「風媒」「虫媒」「人工授粉」とは分類する基準が異なります。
例えば昆虫によって花粉が運ばれた場合でも、
その花粉が同じ植物個体に由来するなら、
自家受粉になることがあります。
作物や品種によって、
自家受粉しやすいもの、他家受粉を必要とするもの、
自家不和合性を持つものなどがあります。
受粉と着果の違い
受粉したことと、果実が正常に着果したことは同じではありません。
花粉が柱頭へ付着しても、
花粉の発芽、花粉管の伸長、受精、
その後の果実発育が正常に進まなければ、
着果しない場合があります。
開花時の高温や低温などによって、
花粉の形成、花粉の放出、発芽などが影響を受ける場合もあります。
逆に、単為結果性を持つ植物では、
受精を伴わずに果実が発育することがあります。
「受粉すれば必ず着果する」とは判断できません。
施設園芸での受粉管理
イチゴ、メロン、スイカなどの施設園芸では、
ミツバチやその他の訪花昆虫を
花粉媒介に利用する場合があります。
トマトでは基本的に自家受粉が可能ですが、
施設栽培ではマルハナバチを利用する方法があります。
マルハナバチが花にとまって振動させることで、
葯から花粉を放出させる
振動受粉(buzz pollination)が利用されています。
マルハナバチなどの
訪花昆虫を導入するときは、
開花状態だけでなく、温度、施設環境、巣箱の状態、
昆虫の活動量、農薬の影響などを確認します。
巣箱を設置しただけで受粉が保証されるわけではありません。
受粉と授粉
「受粉」と「授粉」は、
農業や園芸の分野でどちらも使用されます。
受粉は、
花粉が柱頭へ付着する現象を表す場合に使われます。
授粉は、
人などが花粉を柱頭へ付着させる側から表現する場合に使われることがあります。
このため、人が花粉を付着させる作業では
「人工授粉」という表記が広く使われています。
ただし、受粉と授粉の使い分けは厳密に統一されているわけではありません。
「人工授粉」「人工受粉」、
「授粉樹」「受粉樹」のように、
作物や分野の慣例によって表記が異なる場合があります。
「受粉」と「授粉」を、生物学的にまったく異なる現象として区別するのは適切ではありません。
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