訪花昆虫(ほうかこんちゅう)

訪花昆虫(ほうかこんちゅう)
訪花昆虫(ほうかこんちゅう)とは、植物の花を訪れ、蜜や花粉を集める昆虫の総称

訪花昆虫(ほうかこんちゅう)とは、植物の花を訪れ、蜜や花粉を集めたり、時には花粉を食べたりする多様な昆虫の総称であり、農業現場では「ポリネーター(花粉媒介者)」とも呼ばれます。

訪花昆虫は、ミツバチやマルハナバチ、ハナアブ、ハナムグリなどが代表的です。これらの昆虫が花を訪れる際、体に付いた花粉が別の花に運ばれ、結果として「受粉」や「着果」が行われ、作物の安定生産や品質向上につながります。特にブルーベリー、ミカン、メロン、スイカなどの果樹類や果菜類は、訪花昆虫の活動がなければ十分な実が付かない場合が多く、農業の生産性に直結しています。

また近年は、施設園芸やブルーベリー栽培などで、マルハナバチやセイヨウミツバチといった訪花昆虫を人工的に導入して受粉効率を高める取り組みも拡大しています。なお、訪花昆虫は野生種だけでなく、養蜂による管理種も重要な役割を果たしています。

このような訪花昆虫による「送粉サービス」は農業生産全体の8%程度を支える経済的価値を持ち、農地圃場の管理や生物多様性の維持とも深く関わっています。

同意語としては「花粉媒介昆虫」「ポリネーター」「送粉者」などがよく用いられます。

 

訪花昆虫の概要

  • 定義
    植物の花を訪れて蜜や花粉を集める昆虫の総称。花粉の媒介を担う昆虫(花粉媒介昆虫)を含むが、蜜や花粉を単に採取する種も含む。

  • 主な種類
    ミツバチ、マルハナバチ、ハナバチ、ハナアブ、ハナムグリ、ドロバチ、キムネクマバチなど。

  • 活動時期と多様性
    植物の開花期に合わせて活動し、種類や数は地域や季節によって大きく異なる。

訪花昆虫の詳細説明

訪花昆虫は植物の繁殖や種子形成に不可欠な存在であり、特に自家不和単性花の作物では訪花昆虫による送粉がなければ実が付きません。

訪花昆虫の代表例であるミツバチやマルハナバチは、巣へ持ち帰るための蜜や花粉を求めて様々な花を訪れます。 訪花時に体に付着した花粉が他の花に運ばれることで、効率的な受粉が進み、作物の収量や品質が向上します。

ブルーベリー栽培ではマルハナバチの導入が一般的であり、みかんやウリ科野菜でも自然な訪花昆虫の活動が重視されています。加えて、ハナアブやハナムグリも送粉に貢献し、生態系の多様性を支える存在です。

近年、農地周辺の生態系悪化や農薬の影響で訪花昆虫の個体数減少が問題視されており、持続可能な農業には健全な生息環境の維持が不可欠となっています。

訪花昆虫の役割

  1. 作物の受粉と増収
    リンゴ、ナシ、イチゴ、ブルーベリーなど、多くの果樹・野菜の収穫や品質向上に必須。
  2. 自家不和合性単性花作物では、訪花昆虫の受粉がなければ実がならない。

  3. 生物多様性の維持
    多様な昆虫が活躍することで、生態系全体のバランスを保つ。結果として天敵や益虫(えきちゅう)の増加にもつながる。

  4. 経済的価値
    日本の耕種農業産出額の約8%(2013年で約4,700億円)が送粉サービスに依存。特に果樹や果菜類での貢献度が高い。
    農研機構:花を訪れる昆虫はなぜ農業に必要か? | ニュース農業と環境 No.111

訪花昆虫に関する課題と対策

  1. 農薬による影響
    • 課題:農薬散布によって訪花昆虫の個体数が減少する恐れがある。
    • 対策:選択的な農薬使用や、花期における農薬散布の回避、IPM(総合的病害虫管理)導入など。

  2. 生息環境の悪化
    • 課題:農地周辺の生け垣や草地の減少、単一作物化により昆虫の生息地が減少。
    • 対策:多様な植物を組み合わせた圃場(ほじょう)管理や、周辺環境の緑化推進。

  3. 人工送粉の手間・コスト
    • 課題:訪花昆虫が減少すると人工的に送粉を行う必要があり、労力・コストが増大する。
    • 対策:訪花昆虫の保護活動や養蜂によるポリネーター導入、農家間の情報共有。
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