花粉管(かふんかん)

花粉管(かふんかん)
花粉管(かふんかん)

花粉管(かふんかん)とは、植物が種子を作るために行う受精の過程で重要な役割を果たす構造であり、花粉雌しべに着くと、花粉の中から伸び出して雌しべの内部を進む細長い管状の細胞です。

この花粉管を通じて、花粉内の精細胞(せいさいぼう)が胚珠まで運ばれ、そこで卵細胞と受精します。特に被子植では、この花粉管が正確に胚珠の中にある卵細胞に精細胞を届けることで、重複受精(じゅうふくじゅせい)と呼ばれる独特な受精が行われ、種子胚乳の両方が形成されます。

この現象は植物の生殖細胞(せいしょくさいぼう)が正確に相手へ到達するための高度な仕組みの一部であり、農作物の品質や収量を決める上でも非常に重要です。

同意語としては「受精管」「花粉チューブ」などが用いられることがあります。

花粉管の概要

花粉管は、被子植物の有性生殖において精細胞を雌しべ内の胚珠に運ぶ役目を持つ構造です。花粉が柱頭に着くと、まず水分や糖分を吸収して活性化し、花粉の中にある雄原細胞(ゆうげんさいぼう)が精細胞を形成します。

そして、花粉から花粉管が伸び出し、雌しべの花柱を通って胚珠まで導かれます。この伸長は、母細胞(ぼさいぼう)や周囲の細胞が分泌する化学物質に誘導されながら進行します。

花粉管の詳細説明

花粉管は、植物の精密な受精メカニズムの一部として、下記のような一連のプロセスで形成されます。

  1. 花粉の着床
    花粉雌しべ柱頭に着き、水分を吸って膨張します。

  2. 花粉管の発芽
    花粉の外殻から管状の構造が伸び始めます。

  3. 花粉管の誘導
    花柱内を誘導物質(化学的誘引物質)に導かれて成長しながら胚珠へ向かいます。

  4. 重複受精の実行
    花粉管の先端から精細胞が放出され、1つが卵細胞と融合し、もう1つが中央細胞と融合します。

この「重複受精」により、受精卵(将来の胚)と胚乳、将来の養分供給組織が同時に形成されます。このプロセスは、被子植物に特有の進化的特徴であり、効率的な種子発達を可能にしています。

花粉管の役目

  • 精細胞の輸送
    花粉管は、受粉後に精細胞を胚珠の卵細胞へ正確に届ける唯一のルートです。

  • 重複受精の実現
    精細胞の1つは卵細胞と、もう1つは中央細胞と融合し、受精と栄養形成の両方を同時に達成します。

  • 種子発生の起点
    花粉管が胚珠に到達しなければ受精が起きず、種子形成も実現しません。

花粉管に関する課題と対策

1. 花粉管伸長の阻害

課題:気温や湿度などの環境条件が適さない場合、花粉管が正常に伸びず受精不全になることがあります。特に低温や乾燥条件下では伸長速度が著しく低下します。
対策:開花期に温湿度を安定させるハウス内管理や、防風ネットかん水装置の利用が有効です。

2. 花粉の不稔化

課題:病害や栄養不足によって花粉自体が機能しない(不稔)と、花粉管形成が起きません。
対策:栽培前の土壌分析と適切な肥培管理、病害抵抗性品種の導入が有効です。マグネシウムやホウ素などの微量要素の施用も重要です。

3. 花粉管誘導の誤作動

課題:雌しべが老化していたり、異品種間で交雑しようとすると、花粉管が正しく誘導されず、受精が成立しないことがあります。
対策:適正な開花時期の管理、品種ごとの交配適性の把握、交配計画の見直しが有効です。

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