防除資材・土壌消毒とは
農作物の病害虫、野生鳥獣、雑草などによる被害を抑え、安定した生産を行うために使用する防除資材・機器や、土壌中の病原体・線虫・害虫などを抑制する土壌消毒関連資材を紹介しています。
防除には、農薬による化学的防除だけでなく、防虫ネットや粘着トラップなどを利用する物理的防除、天敵を利用する生物的防除、輪作や圃場衛生などの耕種的防除があります。
一つの資材や方法だけですべての病害虫・鳥獣害を防げるわけではありません。対象となる病害虫・鳥獣、作物、圃場条件、発生状況を確認し、必要に応じて複数の対策を組み合わせることが重要です。
防虫・発生予察資材
害虫の侵入、飛来、活動、発生を抑制したり、発生状況を把握するための資材です。
光、色、粘着、フェロモン、物理的遮断など、製品によって仕組みが異なります。粘着捕虫シートや発生予察器具は、害虫を大量に捕殺することだけでなく、発生時期や密度を把握して防除時期を判断する用途でも使用されます。
防虫資材は、化学農薬だけに依存しない総合防除(IPM)の一部として活用できますが、対象害虫によって有効な資材・目合い・誘引方法が異なるため、対象害虫を確認して選定します。
鳥獣害対策資材
シカ、イノシシ、サル、クマ、キョン、ハクビシン、アライグマなどによる農作物被害や圃場への侵入を軽減するための資材です。
鳥獣害対策では、電気柵、金網柵、防獣ネットなどによる侵入防止だけでなく、誘引物の除去や緩衝帯管理などの生息環境管理、必要に応じた捕獲を組み合わせることが基本です。
対象となる動物によって行動や侵入方法が異なるため、柵の高さ、網目、電線の位置、地際対策などを対象獣種に合わせて選定します。
なお、電気柵は感電防止のため法令に沿った電源装置・表示・漏電遮断器等が必要となる場合があります。また、野生鳥獣の捕獲には鳥獣保護管理法等に基づく手続きが必要となる場合があるため、自治体などへ確認してください。
農薬散布・防除機器
殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬を、作物や圃場条件に応じて散布するための機器・器具を紹介しています。
手動・背負式噴霧器、動力噴霧機、ブームスプレーヤ、スピードスプレーヤ、自走式防除機、無人ヘリ・農業用ドローンなど、圃場規模や作物によって適した方式が異なります。
また、散布精度や農薬のドリフト(飛散)を左右する噴口・ノズル、防除ホース、運搬機器なども防除作業を構成する重要な資材です。
農薬散布機器を使用する場合でも、使用する農薬の登録内容、希釈倍率、使用量、使用時期、使用回数などを必ず確認してください。また、周辺作物や住宅等への飛散を抑えるため、風向・風速、ノズル、散布圧力、散布方向なども考慮します。
土壌消毒機器・関連資材
土壌中の病原菌、植物寄生性線虫、土壌害虫などを抑制し、土壌伝染性病害や土壌病害虫による被害を軽減するための機器・資材を紹介しています。
土壌消毒には、蒸気、熱水、太陽熱などの熱を利用する方法、土壌還元消毒、農薬登録された土壌くん蒸剤などを使用する方法があります。
土壌消毒は「連作障害をすべて解決する方法」ではありません。連作障害には土壌病害や線虫だけでなく、養分バランス、塩類集積、土壌物理性、根圏環境など複数の要因が関係するため、原因を確認して対策を選ぶ必要があります。
また、土壌消毒の効果は方法、処理温度、処理時間、土壌水分、処理深度、土質などによって変わります。
土壌くん蒸剤など農薬を使用する場合は、対象作物・病害虫、使用量、処理方法、被覆の要否、作付けまでの期間など、製品ごとの農薬登録内容を確認してください。
防除資材を選ぶときの考え方
病害虫防除では、「発生してから農薬を散布する」ことだけを防除と考えず、発生しにくい栽培環境を作る予防、発生状況を把握する観察・予察、必要性と時期を判断したうえで行う防除を組み合わせることが重要です。
- 対象を確認する:害虫、病害、線虫、雑草、鳥獣など、被害原因を確認します。
- 発生状況を確認する:発生予察器具や圃場観察を利用し、防除の必要性と時期を判断します。
- 物理的防除を活用する:防虫ネット、粘着トラップ、熱処理などを適切に利用します。
- 生物的防除を活用する:対象害虫や農薬との相性を確認し、天敵などを利用します。
- 耕種的防除を組み合わせる:輪作、残渣処理、健全苗、排水改善、圃場衛生などで発生リスクを抑えます。
- 農薬を適正使用する:必要な場合は登録内容を確認し、適期・適量で使用します。
関連する資材分類・農業用語
まとめ
防除資材・土壌消毒では、害虫、病害、鳥獣、土壌病害虫など、対象となる被害原因に応じて適切な資材・機器を選定する必要があります。
農薬散布機器、防虫資材、発生予察資材、鳥獣害対策資材、土壌消毒機器にはそれぞれ異なる役割があり、一つの方法だけで被害を完全に防ぐことはできません。
予防、観察・予察、物理的・生物的・耕種的・化学的防除を必要に応じて組み合わせ、対象作物・病害虫・圃場条件に適した防除体系を組み立てることが重要です。