防虫ネット・防虫網

防虫ネット・防虫網

防虫ネット・防虫網とは

防虫ネット・防虫網とは、施設やトンネルなどの開口部をネットで覆い、アザミウマ類(スリップス)、コナジラミ類、アブラムシ類、ハモグリバエ類、チョウ目害虫などの侵入を物理的に抑える農業用ネットです。

ビニールハウスでは、側窓、天窓、妻面、出入口などの開口部に展張して、施設外から飛来する害虫の侵入を防ぎます。
露地栽培では、トンネル被覆やべたがけなどに利用できる製品もあります。

防虫ネットは農薬だけに依存しない物理的防除方法の一つで、害虫の侵入を減らすことで農薬散布回数の低減につながる場合があります。
ただし、防虫ネットを設置すれば無農薬栽培になるという意味ではなく、施設内へ既に侵入した害虫や、ネットの隙間から侵入した害虫を直接殺虫する資材ではありません。

対象害虫に合わせて目合いを選ぶ

防虫ネットは、対象とする害虫の大きさに応じて目合いを選定します。
一般に目合いを細かくするほど小型害虫の侵入を抑えやすくなりますが、その一方で通気性が低下しやすくなります。

一般的な防虫ネットについて、目合いと対象害虫のおおよその目安は次のようになります。
実際の侵入防止性能は、害虫の種類、ネットの糸径、織り方、目合い形状などによって異なるため、製品メーカーが示す対象害虫を確認してください。

目合いの目安 侵入抑制を検討する主な害虫
1~2mm程度 ウリハムシ、ウリノメイガ、ヨトウ類など比較的大きな害虫
0.8mm程度 アブラムシ類など
0.6mm程度 ハモグリバエ類など
0.4mm以下 アザミウマ類、コナジラミ類などの微小害虫

※上表は一般的な白色系防虫ネットを選定する際の目安です。赤色ネット、黒色ネット、光反射型、薬剤成分練込型などの高機能ネットでは、同じ目合いでも侵入抑制性能が異なる場合があります。

目合いだけでは防虫性能を比較できない

防虫ネットの性能は、目合いの数字だけでは判断できません。
同じ0.6mm目合いでも、使用する糸の太さや織り方によって開口率や通気性が異なります。

また、「0.3×0.6mm」のような長方形の目合いを持つ製品もあります。
この場合、単純に「0.3mmネット」として正方形目合いの製品と比較するのではなく、メーカーが示す対象害虫や侵入試験、通気性能を確認して選定してください。

赤色・黒色など色を利用した防虫ネット

近年では、ネットの色に対する害虫の視覚反応を利用した防虫ネットも利用されています。

赤色防虫ネットには、アザミウマ類に対して通常の白色ネットより侵入抑制効果を高めた製品があります。
そのため、従来は0.4mm程度の細かな目合いが必要だったアザミウマ対策でも、製品によっては0.6~0.8mm程度の目合いを利用しながら、通気性と侵入抑制を両立する方法があります。

また、黒色の色彩効果を利用してコナジラミ類の侵入抑制を狙った製品も販売されています。

ただし、「赤色ならすべてのアザミウマに有効」「黒色ならすべてのコナジラミを防げる」という意味ではありません。
対象害虫、目合い、試験条件などを確認し、製品ごとの性能として判断してください。

光反射機能を持つ防虫ネット

紫外線などの光を反射する糸を利用し、害虫の飛翔行動を乱すことで施設への侵入を抑える機能を持つ防虫ネットもあります。

このタイプでは、単純な物理遮断に加え、ネット表面からの反射光による侵入抑制を利用します。
製品によっては遮熱機能を併せ持つものもあります。

ただし、光反射機能の効果はネットの設置位置や太陽光条件にも影響されます。
メーカーがハウスサイドなど特定の施工位置を推奨している場合は、その施工方法に従ってください。

薬剤成分を練り込んだ防虫ネット

防虫ネットの糸へ害虫が嫌う成分を練り込み、ネットへ接触した害虫が長時間とどまることを抑える製品もあります。

例えば、エトフェンプロックスを微量に練り込んだ施設園芸用ネットでは、一般的な防虫ネットより大きな目合いを採用しながら、微小害虫の侵入抑制と通気性を両立することを目的とした製品があります。

このような機能性ネットでは、使用場所や作物との接触条件が指定されている場合があります。
ハウス専用品をトンネルやべたがけに使用するなど、メーカーが想定していない使い方は避けてください。

細かな目合いほどハウス内の高温に注意

防虫ネットをハウスの側窓や天窓へ展張すると、ネットによって空気の流れに抵抗が生じます。
特に0.4mm以下の微細目合いでは通風量が低下しやすく、夏季には施設内温度の上昇につながる場合があります。

防虫性能だけを優先して必要以上に細かい目合いを選ばず、対象害虫に必要な目合いと通気性能のバランスを確認してください。

施設の換気能力が不足する場合は、換気開口面積、天窓・側窓の利用、換気扇・循環扇、遮光・遮熱資材なども含めて施設全体の温度管理を検討します。

施工時はネットの隙間にも注意

適切な目合いの防虫ネットを使用していても、ネットとハウス骨材の間、出入口、巻き上げ換気部、天窓などに隙間があれば、そこから害虫が侵入します。

施設栽培では、側窓だけでなく妻面、天窓、出入口など、外気とつながる開口部全体を確認してください。

展張後も、強風や農作業による破れ、固定部の緩み、ネットの目ずれなどがないか定期的に確認します。
害虫の発生が確認された場合は、「ネットを張っているから外から入るはずがない」と判断せず、破損や隙間も確認してください。

防虫ネットだけに防除を依存しない

防虫ネットは害虫侵入を抑える有効な予防手段ですが、施設内へ持ち込まれた苗に害虫が付着していた場合や、栽培開始前から施設内に害虫が残っていた場合には、防虫ネットだけでは防除できません。

健全苗の使用、施設内外の雑草・残さ管理、粘着捕虫シートによるモニタリング、天敵利用、登録農薬などを組み合わせた総合的病害虫管理(IPM)として利用することが重要です。

防虫ネット・防虫網取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元・取扱元製品名目合い(mm)主な用途・特徴
株式会社能任七
取扱:シーアイマテックス株式会社
通るクン0.3×0.6ポリプロピレン製の微細防虫ネット。特殊な立体構造により通気性を確保し、水膜が張りにくい構造。コナジラミ類などの侵入対策向け
小泉製麻株式会社虫フラッとネット0.6×0.6紫外線域を含む光を反射し、微小害虫の飛行錯乱による侵入抑制を狙った機能性ネット。ハウスサイドへの使用をメーカー推奨
小泉製麻株式会社虫無視ムシムシネット0.4/0.6/1.0細糸を使用した防虫ネット。銀糸入り。ハウス、トンネル、べたがけなどに対応
小泉製麻株式会社さらら銀河0.8×0.6/1.0/2.0/4.0熱融着による目ずれ防止タイプ。乱反射糸を使用。4mmタイプは受粉蜂の飛び出し防止用途にも対応
株式会社イノベックスダイオサンシャインソフト N2900・N33300.75/0.6細糸を使用し通気性と防虫性を両立。ハウス・露地トンネルなどに対応
株式会社イノベックスダイオサンシャインスーパーソフト N47000.4コナジラミ類、アザミウマ類など微小害虫向け。極細糸によって通気性を確保
株式会社イノベックスダイオサンシャインスーパーソフトQ NST55000.3極微小目合。超極細糸と強力糸を使用し、微小害虫対策と通気性を両立
株式会社イノベックス強力サンシャイン0.98/0.6/0.4強力糸を使用した高強度タイプ。天窓、サイド、平張りなど強度が必要な場所向け
株式会社イノベックスサンシャイン虫バリア0.75/0.4エトフェンプロックスを糸へ練り込んだハウス専用防虫ネット。サイド・天窓・妻面向け。べたがけ・トンネル使用不可
日本ワイドクロス株式会社サンサンネット ソフライトシリーズ1.0/0.8/0.6/0.4/0.3/0.2×0.4ポリエチレン細糸を使用した通気性重視タイプ。対象害虫に応じて6種類の目合いを設定
日本ワイドクロス株式会社サンサンネット クロスレッド0.8/0.6赤色糸の色彩効果を利用したアザミウマ類対策用ネット。XR2700・XR3200
日本ワイドクロス株式会社サンサンネット クロスブラック XB42000.4黒色糸の色彩特性を利用したコナジラミ類対策用ネット
日本ワイドクロス株式会社防虫サンサンネット EX20001.0ポリエチレン製の標準的な防虫ネット。施設・トンネル用途
日本ワイドクロス株式会社クビアカガードネット0.4モモ・ウメ・サクラなどでクビアカツヤカミキリの産卵・侵入・脱出を抑える樹木被覆用ネット

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