防風ネット

防風ネット

防風ネットとは

防風ネット(防風網)とは、圃場や果樹園、ビニールハウスなどの風上側に設置し、強風や寒風の勢いを弱めるための農業用ネットです。

作物への風当たりを弱めることで、茎葉や果実の擦れ、倒伏、落葉・落果、強風による乾燥などの軽減を目的として使用されます。また、製品や目合いによっては防砂、防塵、防鳥、防雹など複数用途に利用できるものもあります。

防風ネットは風を完全に遮断する壁ではありません。ネットの網目を通して風を適度に通しながら風速を減衰させる資材です。実際の効果は、目合い、糸の太さ、ネット構造、設置高さ・長さ、風向、周囲の地形、ネットの張り方などによって変わります。

防風ネットの主な用途

  • 果樹の風害軽減:果実や枝葉の擦れ、落果、落葉などを軽減します。
  • 露地野菜・花きの保護:強風による倒伏、葉傷み、茎折れなどを軽減します。
  • ハウス周辺の防風:施設へ直接当たる風の勢いを弱める目的で設置します。
  • 寒風対策:冬季の強い乾燥風や寒風を弱め、作物への負担を軽減します。
  • 防砂・防塵:細かな目合いの製品では、飛砂やほこりの飛来を抑える用途があります。
  • 多目的防災:製品によっては防鳥、防虫、防雹などの用途にも使用できます。

目合いによる違い

防風ネットには1~2mm程度の細かな目合いから、4mm、6mm、9mm、12mm以上までさまざまな規格があります。

一般に、同じような糸・構造であれば目合いが細かいほど風を通しにくくなり、遮風率は高くなる傾向があります。一方、粗い目合いは風を多く通すため、通風を確保しながら風速を弱めたい場合に使用されます。

4mm目は農業用防風ネットで広く使われている代表的な規格ですが、「防風ネット=4mm」と決めることはできません。必要な遮風性能、対象作物、風の強さ、設置場所などから選定してください。

2mm前後

比較的遮風性が高く、防風に加えて防砂・防塵などを重視する場合に利用されます。製品によっては害虫侵入の軽減用途にも使用されます。

4mm前後

遮風性と通風性のバランスを取りやすい代表的な規格です。果樹、露地野菜、ハウス周辺など幅広い用途で使用されています。

6mm以上

4mmより通風性を確保しながら風速を弱めたい場合に使用されます。防鳥・防雹などとの多目的利用を想定した製品もあります。

上記は一般的な傾向です。実際の遮風率は目合いだけでなく、糸径、編み方、ネット密度などによっても異なるため、メーカーの製品仕様を確認してください。

防風ネットの設置場所と方向

防風ネットは、主に被害を軽減したい風の風上側へ設置します。

基本的には対象となる風向に対してネット面が直交するように設置しますが、実際の圃場では地形、道路、水路、作業動線、既存施設なども考慮して位置を決めます。

季節によって卓越風向が変わる地域では、年間を通して同じ方向から風が吹くとは限りません。台風、冬季季節風、海岸からの風など、特に被害を受けやすい風向を確認して設置してください。

防風ネットの選び方

  • 対象となる風害:果実の擦れ、倒伏、落果、寒風、飛砂など、何を軽減したいか確認します。
  • 目合い:必要な遮風性と通風性のバランスから選びます。
  • ネット高さ:守りたい作物・施設の高さを考慮します。
  • 設置長さ:防風したい範囲と風向を考慮して設計します。
  • ネット構造:ラッセル編など構造によって、目ずれ、伸縮性、施工性などが異なります。
  • 材質・耐候性:農業用ではポリエチレン製品が多く使用されていますが、製品ごとの耐候性・使用条件を確認します。
  • 加工仕様:ロープ入り、ハトメ、縁補強など、固定方法に適した加工を選びます。
  • 支柱・基礎:ネット本体だけでなく、支柱、アンカー、ワイヤー、固定金具を含めた構造で検討します。

設置時の注意点

ネットだけでなく支柱・固定部を確認する

防風ネットは風を受ける面積が大きいため、ネットだけを丈夫にしても、支柱、アンカー、ワイヤー、固定金具が不足していれば設備全体として十分な強度を確保できません。

特に大型・長尺の防風施設では、設置場所の風条件や地盤を考慮して施工してください。

強く張り過ぎない・緩ませ過ぎない

施工方法は製品によって異なります。過度な張力や局所的な荷重は、ネットや固定部の損傷につながる場合があります。一方、緩みが大きいと風によるばたつきや擦れが生じます。

メーカーが指定する固定間隔・施工方法を確認してください。

台風前に点検する

台風や暴風が予想される場合は、ネットの破れ、ほつれ、固定部の緩み、支柱・アンカーの状態などを事前に確認します。

防風ネットを設置しているから台風被害を防げる、という意味ではありません。ネットや防風施設自体も風荷重を受けるため、定期的な補修・維持管理が必要です。

防風ネットと似たネットの違い

防風ネット

圃場や施設へ流入する風の勢いを弱めることを主目的としたネットです。

ハウス押さえネット

ビニールハウスの外張りフィルムの上からネットを掛け、強風によるフィルムのばたつきや浮き上がりを抑える資材です。圃場周囲へ垂直に設置する防風ネットとは目的・施工方法が異なります。

防虫ネット

害虫の物理的な侵入抑制を主目的とし、対象害虫に合わせて目合いを選定するネットです。防風効果を持つ場合もありますが、主な選定基準は対象害虫と目合いです。

防鳥・防獣・防雹ネット

鳥獣や雹を物理的に遮ることを主目的とします。防風ネットと兼用できる製品もありますが、必要な糸強度や目合い、施工方法が異なる場合があります。

農薬飛散防止ネット

農薬散布時のドリフト(飛散)軽減を目的として設計されたネットです。一般的な防風ネットにも風を弱める作用はありますが、農薬飛散対策を主目的とする場合は、農薬飛散防止用として性能・用途が示されている製品を選び、散布方法や風向・風速などの対策と組み合わせます。

防風ネット取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名目合い・材質主な用途・特徴

日本ワイドクロス株式会社

ワイドラッセル防風ネット

ポリエチレン/複数の目合い・色・サイズを展開農業用防風ネット。ラッセル編で、軽量・耐久性・通気性等を特徴とする。果樹、露地、施設周辺などの防風用途。

株式会社イノベックス

ダイオネット(防風ネット)

ポリエチレン/2・4・6・9mmなど複数規格目合い・色・幅を多数展開する防風ネットシリーズ。防風、防砂、防塵、防鳥など多目的に使用可能。各種加工にも対応。

石本マオラン株式会社

防風網

ポリエチレン/2・3・4・6mm/青強風・寒風から作物を保護する農業用防風網。1.8m・2.0m幅、30m・50m長などを展開。

日本マタイ株式会社

防風ネット

ポリエチレン系ネット/複数規格強風・寒風による果樹・柑橘類の落果・落葉対策、ハウス・トンネルの防風、飛砂対策などに使用。

東京戸張株式会社

スカイラッセル防風網

ポリエチレン/2・4・6・12mmラッセル編の多目的防災網。防風を中心に、防砂、防虫、防鳥、防雹などにも利用。メーカー参考遮風率は2mm約60%、4mm約40%、6mm約30%、12mm約15%。

関連する資材分類・農業用語

まとめ

防風ネットは、強風や寒風を完全に遮断するのではなく、風の勢いを弱めて作物や施設への負担を軽減する資材です。

選定では、目合いだけでなく、必要な遮風性能、風向、ネットの高さ・長さ、材質・構造、支柱・固定方法まで含めて検討することが重要です。

また、台風などの強風時にはネット自体にも大きな負荷が掛かるため、破損、緩み、支柱、アンカー等を定期的に点検し、防風施設全体として維持管理してください。

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