防鳥・防獣・防雹ネットとは
防鳥・防獣・防雹ネットとは、鳥類や野生動物による農作物の食害・侵入被害や、降雹による果実・葉・枝などの損傷を軽減するために使用する農業用ネットです。
同じ「ネット」でも、防鳥、防獣、防雹では必要となる目合い、強度、設置高さ、固定方法が大きく異なります。
対象となる鳥・動物や、圃場・果樹棚・畜舎などの使用場所を確認して製品を選定してください。
主な素材にはポリエチレンやポリプロピレンなどが使用され、結節網、ラッセル編、一体成形ネットなどさまざまな構造があります。
目合いだけでなく、糸の太さ、編み方、耐候性、ネットの重量、施工方法なども確認することが重要です。
防鳥ネット
防鳥ネットは、スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、カラス、ハトなどの鳥類が作物へ接近・侵入するのを物理的に防ぐために使用します。
水稲、麦、トウモロコシなどのほか、ブルーベリー、サクランボ、ブドウ、ナシ、イチジクなど、収穫前に鳥害を受けやすい果樹でも広く利用されています。
必要な目合いは対象鳥種や使用目的によって異なります。
一般的な農業用防鳥網には15~20mm程度の細かな目合いから、30mm、45mm、75mmなどさまざまな規格があります。
「目合いが細かいほど良い」と一律に判断するのではなく、対象鳥種、ネット重量、施工面積、風の影響などを考慮して選定してください。
鶏舎などで使用する防鳥ネット
鶏、あひる、うずらなどの家きんを飼養する農場では、作物の鳥害防止とは別に、野鳥などの野生動物による病原体の侵入を防止するため、防鳥ネットが重要な衛生管理設備となります。
現在の飼養衛生管理基準では、家きん舎、飼料保管庫などへ野鳥等が侵入しないよう、網目の大きさが2cm以下の防鳥ネット、またはこれと同等の効果を持つ設備を設置し、定期的に破損状況を確認して、破損があれば速やかに修繕することが求められています。
この2cm以下という基準は、一般的な農作物用防鳥ネットすべてに共通する目合い基準ではありません。
家きんの飼養衛生管理を目的とする場合の基準として区別してください。
また、防鳥ネットを設置するだけで高病原性鳥インフルエンザを防げるわけではありません。
人・車両・器具の消毒、給餌・給水設備の管理、野生動物の侵入防止などを含む飼養衛生管理全体の一部として使用します。
防獣ネット
防獣ネットは、イノシシ、シカ、サル、ハクビシン、タヌキ、アライグマなどによる農地への侵入や農作物の食害を抑えるために使用します。
対象動物によって体格や行動が大きく異なるため、ネットの高さや目合いだけでなく、糸の強度、支柱間隔、地際の固定方法などを対象獣に合わせる必要があります。
特にイノシシやシカでは、柵を飛び越えるだけでなく、ネットの下や継ぎ目の隙間から侵入しようとするため、ネット下部を十分に固定し、地面との隙間を作らないことが重要です。
また、サルは一般的なネットや金網を登ることができます。
サル対策では、ネットだけでなく電気柵などを組み合わせた専用の侵入防止方法が必要になる場合があります。
大型獣の侵入圧が高い圃場では、樹脂ネットだけでなく、ワイヤーメッシュ、金網フェンス、電気柵などを含めて対策方法を比較してください。
防雹ネット
防雹ネットは、降ってくる雹をネットで受け止めたり衝撃を分散させたりすることで、果実、葉、新梢などへの直接的な損傷を軽減するための資材です。
リンゴ、ナシ、ブドウ、モモなどの果樹園では、果樹棚や専用支柱へ展張して利用することがあります。
農研機構でも、果樹の雹害を避ける事前対策として防雹ネットの利用を挙げています。
ただし、防雹ネットを設置すればすべての雹害を防げるわけではありません。
雹の大きさ・量、風を伴う降雹、ネットの目合い・強度、施工方法などによって被害軽減効果は異なります。
また、広い面積へ展張するネットは風や降雹などによる荷重を受けるため、果樹棚や支柱、アンカーなどを含めた支持構造にも注意してください。
メーカーが指定する施工方法や展張条件に従って使用します。
防鳥・防獣・防雹ネットを選ぶポイント
- 鳥、イノシシ、シカ、サル、雹など、まず防ぎたい対象を明確にする
- 対象に適した目合いと糸強度を確認する
- ネットの素材、編み方、耐候性を確認する
- 必要な幅・長さと、オーダー加工の可否を確認する
- 支柱、ワイヤー、ロープ、アンカーなど必要な施工部材を確認する
- 防獣用途では地際やネット接続部に隙間を作らない
- 防雹用途では既存の果樹棚や支持構造がネット展張に適しているか確認する
- 常設か季節使用かを考え、耐久性と撤去・収納性も確認する
ネットは設置後の点検も重要
防鳥・防獣ネットは、設置時に隙間がなくても、強風、紫外線、動物との接触、農作業などによって破損や緩みが生じることがあります。
ネット本体だけでなく、地際、出入口、継ぎ目、支柱、固定ロープなどを定期的に確認し、破損や隙間が見つかった場合は早めに補修してください。
特に家きん飼養施設では、防鳥ネットの破損状況を定期的に確認し、破損箇所を速やかに修繕することが飼養衛生管理上も重要です。
防鳥・防獣・防雹ネット取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元・取扱元 | 製品名 | 区分 | 目合い(mm) | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 東京戸張株式会社 | PE防鳥網 | 防鳥 | 20/30/45/75 | 水稲・麦・果樹・露地野菜などの鳥害対策用。軽量なポリエチレン製で、対象鳥種や圃場に合わせて複数の目合い・サイズを設定 |
| 東京戸張株式会社 | 強力防鳥網 | 防鳥 | 20/30 | 強力糸を使用した高強度タイプ。耳糸や中央部を補強した規格があり、大面積の果樹園・水田などにも対応 |
| 東京戸張株式会社 | 防疫対策ネット | 畜舎・防鳥 | 17×17.5 | 家きん舎などで野鳥・野生動物の侵入防止に使用。飼養衛生管理基準の2cm以下に対応する目合い |
| 東京戸張株式会社 | 防獣ネット・バリヤーくん・強力バリヤーくん | 防獣 | 100/12/25×20 | シカ・イノシシなど大型獣から、ハクビシン等の中型獣まで対象に応じた規格を設定 |
| 東京戸張株式会社 | スカイラッセル 防蛾・防雹ネット | 防雹・防鳥 | 製品規格を確認 | 果樹の防蛾・防雹用。雹、鳥類、カメムシなどを対象とする多目的ネット |
| 株式会社イノベックス | 強力防鳥獣ネット アニマルガードネット | 防鳥・防獣 | 製品規格を確認 | ポリエチレン製。鳥や小動物などから圃場・作物を保護する強力ネット。2020TR・2520R・1616を設定 |
| 株式会社イノベックス | ダイオネット(結節網) | 防鳥 | 20/30 | 結節タイプの防鳥ネット。2000デニール・2500デニールタイプを設定し、特注サイズ加工にも対応 |
| 株式会社イノベックス | ダイオサンシャイン 6010S | 防雹・防鳥 | 約2×6 | 果樹棚向け防災ネット。防風・防鳥・防雹・防虫用途に対応するカラミ織ポリエチレンネット |
| 日本ワイドクロス株式会社 | アニマルネット GR-16・ホールタイプ HGR-16 | 防鳥・防獣 | 16 | ポリエチレン製の防鳥・防獣ネット。ホールタイプは支柱をネットへ直接通せる構造で施工を簡略化 |
| 望月編織工業株式会社 | YM ブルーベリー防鳥ネット | 防鳥 | 15×15 | ブルーベリーなど果樹向け。透明ポリエチレン糸を使用したラッセル編で、軽量・再利用可能 |
| 石本マオラン株式会社 | 防鳥網 | 防鳥 | 30 | ポリエチレン製。800デニール・1000デニールなど、果樹園向けの複数サイズを設定 |
| 石本マオラン株式会社 | 日石バードネット OV1670 | 防鳥 | 18×20 | ポリプロピレン製の一体成形ネット。軽量で目ずれしにくく、果樹・作物などの鳥害対策向け |