マルハナバチ逃亡防止ネット(ハチネット・蜂ネット)

マルハナバチ逃亡防止ネット(ハチネット・蜂ネット)

ハチネット(マルハナバチ逃亡防止ネット)とは

ハチネットとは、施設園芸で花粉交配に利用するマルハナバチが、ビニールハウスや温室の外へ逸出するのを抑えるために設置するネットです。

トマトをはじめとする施設園芸では、マルハナバチが花粉交配用昆虫として利用されています。ハチネットは、ハウスの側窓、天窓、出入口、換気扇などの開口部へ張り、マルハナバチを施設内で適切に管理するために使用します。

一般的なアザミウマ類やコナジラミ類対策の防虫ネットより粗い目合いが用いられ、マルハナバチ用では3.6~4mm程度の目合いを持つ専用品が多く利用されています。

ただし、ハチネットは単なる「粗目の防虫ネット」ではありません。マルハナバチの逸出を防止する目的では、目合い、目ずれのしにくさ、設置箇所、隙間の有無を確認することが重要です。

セイヨウオオマルハナバチとハチネット

セイヨウオオマルハナバチは、トマトなどの花粉交配用として農業利用されてきましたが、2006年に特定外来生物に指定されています。

農業目的でセイヨウオオマルハナバチを利用する場合は、外来生物法に基づく飼養等の許可が必要で、施設外へ逸出しない構造で使用することが条件となります。

逸出防止措置には、ハウス開口部へのネット展張、出入口の二重構造などが含まれます。

現在は国の方針として、セイヨウオオマルハナバチの利用を縮小し、本州・四国・九州などでは在来種であるクロマルハナバチへの転換が進められています。

クロマルハナバチでも逸出防止が重要

クロマルハナバチは在来種であり、セイヨウオオマルハナバチのような特定外来生物としての飼養規制はありません。

しかし、商業利用されるクロマルハナバチが施設外へ逸出すると、地域個体群との交雑などによって遺伝的多様性へ影響を与える可能性があります。

そのため、農林水産省・環境省では、クロマルハナバチなどの代替種についても、施設からの逸出を防止して適切に管理することを推奨しています。

ハチネットの目合い

マルハナバチの逸出防止では、ネットの目の1辺が4mm以下となるものが基本的な目安です。

例えば4mm×4mm、3.6mm×3.6mmなどの専用ネットが市販されています。

一方、1.5mm×5mmのように、一方向が4mmを超えるネットは、現在のマルハナバチ管理で示されている「目の1辺4mm以下」という条件には当てはまりません。

また、使用中にネットの目が広がらないよう、糸の交点を熱融着したタイプや、一体成形などによって目ずれしにくい構造の製品が適しています。

ハチネットを設置する場所

マルハナバチは、側窓だけでなく施設内のさまざまな開口部から外へ出る可能性があります。

  • 側窓
  • 天窓・谷換気部
  • 妻面の換気口
  • 出入口
  • 換気扇
  • 煙突・ダクト周辺
  • 雨どいなど施設外へつながる隙間

ネットを設置していても、ネットの端部や支柱周辺、窓の角、蝶番などに隙間があるとマルハナバチが逸出することがあります。

出入口の対策

人が頻繁に出入りする場所は、マルハナバチが施設外へ逸出しやすい場所です。

セイヨウオオマルハナバチを利用する施設では、出入口を二重構造とするなど、扉を開けてもハチが直接施設外へ出にくい構造にする必要があります。

ネット付きのファスナー入口や前室を設ける場合も、上部・側部・地際に隙間を作らないよう施工します。

ネット選びのポイント

  • 目合い:マルハナバチの逸出防止では、目の1辺4mm以下を目安とします。
  • 目ずれ:使用中に網目が広がらない熱融着・一体成形タイプなどを選びます。
  • 通気性:細かすぎるネットは換気抵抗が大きくなるため、逸出防止性能とのバランスを考えます。
  • 耐候性:天窓や側窓など屋外環境で使用する場合は、紫外線や風雨への耐久性を確認します。
  • 加工性:天窓、妻面、出入口などに合わせ、縫製、ロープ加工、ファスナー加工などが可能か確認します。
  • 固定方法:ビニペットやスプリングなどで確実に固定し、端部に隙間を残さないようにします。

防虫ネットとの違い

防虫ネットは、アザミウマ類、コナジラミ類、アブラムシ類など、施設外から侵入する害虫を防ぐことが主目的です。

一方、ハチネットは施設内で利用しているマルハナバチを外へ逃がさないことを主目的とします。

4mm前後のハチネットでは大型の蛾やカメムシ類などの侵入を抑えられる場合がありますが、アザミウマ類やコナジラミ類などの微小害虫を防ぐことはできません。

害虫防除とマルハナバチ逸出防止を両方必要とする場合は、対象害虫に応じた細かい目合いの防虫ネットを使用する方法もあります。ただし、目合いを細かくするほど換気抵抗が大きくなるため、ハウス内温度や換気能力も考慮してください。

ミツバチ用ネットとの違い

マルハナバチ用として販売されている4mm前後のネットが、すべての花粉交配用ミツバチの逸出防止に適しているとは限りません。

利用する昆虫の種類に応じて、販売元や花粉交配用昆虫の供給業者が示す管理方法を確認してください。

マルハナバチ逃亡防止ネット取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名目合い・材質主な特徴

株式会社イノベックス

サンシャインマルハナネット P6060

4.0×4.0mm/樹脂ネットマルハナバチの施設外への逸出防止用。タテ糸・ヨコ糸の交点を熱融着しており目ずれしにくい。大型昆虫の侵入防止にも使用。

日本ワイドクロス株式会社

サンサンはちネット HM3388

3.6×3.6mm/ポリエチレンマルハナバチ栽培用の逃亡防止ネット。目くずれしにくい熱融着タイプ。ナチュラル色、透光性・通気性を確保。

日祥株式会社

キラ虫ネット E4040

4.0×4.0mm/ポリプロピレンマルハナバチ用として流通する4mm目ネット。交点接着で目ずれ・ほつれが起こりにくく、透光率約98%。小型害虫の侵入防止用途には適さない。

関連する資材分類・農業用語

まとめ

ハチネットは、施設園芸で利用するマルハナバチの逸出を防止し、花粉交配用昆虫を適切に管理するための資材です。

特にセイヨウオオマルハナバチは特定外来生物として規制されており、許可された施設ではネット展張や出入口対策などの逸出防止措置が必要です。

在来種のクロマルハナバチについても、生態系や地域個体群への影響を抑えるため、施設外へ逃がさない管理が推奨されています。

製品選定では、4mm以下の目合い、目ずれしにくい構造、施設開口部の隙間対策、通気性を確認し、ネット単体ではなく施設全体の逸出防止構造として考えることが重要です。

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