土壌殺菌乾燥機(焼土式土壌消毒機)とは
土壌殺菌乾燥機とは、土壌や育苗用土、培養土、砂などを加熱し、土壌病原菌や害虫、雑草種子などを熱によって抑制するとともに、用土を乾燥させる装置です。
焼土式土壌消毒機とも呼ばれます。
一般的な焼土式の装置では、用土を回転ドラムへ投入し、バーナーの火炎や加熱空気によって土壌を加熱しながら攪拌・移送します。
蒸気土壌消毒や熱水土壌消毒のように圃場をその場で処理する方法とは異なり、機械へ投入できる土壌・培土などを連続的に処理する用途に適しています。
育苗用土や鉢物用土、使用済み培土の再利用、砂など、一定量の用土を殺菌・乾燥したい場合に利用されます。
処理後は乾燥した状態になるため、冷却後の運搬やふるい分け、培土調製などの作業を行いやすいことも特徴です。
土壌殺菌乾燥機の仕組み
焼土式土壌消毒機では、回転するドラム内部で土壌を攪拌しながら、バーナーで発生させた火炎や高温の空気から熱を与えます。
土壌を連続的に動かすことで加熱し、病原菌や害虫、雑草種子などに熱を作用させると同時に水分を蒸発させます。
消毒効果は、単に機械内部の温度が高ければよいわけではありません。
土壌そのものが到達した温度と、その温度にさらされた時間によって効果が変わります。
また、土壌の含水率、土塊の大きさ、投入量、送り速度、ドラム回転速度などによって加熱状態が変わるため、使用する機種や処理する用土に応じた調整が必要です。
主な用途
- 育苗用土・床土の加熱消毒
- 培養土の殺菌・乾燥
- 使用済み用土を再利用する際の熱処理
- 砂などの殺菌・乾燥
- 土壌病原菌や一部の土壌害虫、雑草種子の抑制
ただし、病原菌・害虫・雑草種子はそれぞれ耐熱性が異なります。
一定の温度に達しただけですべてを同時に完全死滅できるとは限らないため、処理目的に応じた温度・処理時間の確認が必要です。
加熱しすぎにも注意
焼土処理では「温度が高いほど効果が高い」と考えて過度に加熱することは適切ではありません。
過剰な加熱によって有機物や肥料成分が失われたり、土壌の物理性や化学性が変化したりすることがあります。
従来の焼土法では70~80℃程度で一定時間処理する方法が示されていますが、必要な処理条件は対象となる病原菌や害虫、雑草種子、用土の状態、使用する機械によって異なります。
実際の装置では、メーカーが指定する処理条件に従ってください。
また、酸性土壌では加熱によってマンガンが可溶化し、作物によってはマンガン過剰障害の原因となる場合があります。
育苗用土として使用する場合は、処理後のpHやEC、肥料成分などを確認したうえで培土調製を行うことが重要です。
処理する土壌の状態も重要
土塊が大きい状態や、水分量に大きなばらつきがある状態で投入すると、土壌内部まで十分に加熱されず、処理ムラが生じる可能性があります。
処理前には、必要に応じて砕土やふるい分けを行い、投入する用土の状態をできるだけ均一にします。
また、機種によって処理できる土壌量や適した含水状態が異なるため、メーカーへ処理対象となる土壌の性質や必要処理量を伝えて機種を選定してください。
蒸気・熱水土壌消毒との違い
蒸気土壌消毒や熱水土壌消毒は、基本的に圃場や土壌へ蒸気・熱水を送り込み、その場所で地温を上昇させる方法です。
一方、土壌殺菌乾燥機は、土壌や培土などを機械へ投入して加熱処理する方式です。
そのため、大面積の圃場土壌をその場で処理する用途より、育苗用土、培養土、再利用土、砂など一定量の用土を処理する用途に適しています。
土壌殺菌乾燥機(焼土式土壌消毒機)メーカー
| 製造・発売元 | 製品名 | 主な用途・特徴 | 電源・処理能力 |
|---|---|---|---|
| 株式会社三研 | ヘクサペット2000-550型 | 土壌・砂・培養土などを連続的に殺菌・乾燥する焼土式。丸型回転ドラム、ドラム回転速度調整、灯油バーナー | 三相200V・2t/h以上 |
| 株式会社三研 | ヘクサペット3000-550型 | 土壌・砂・培養土などを連続的に殺菌・乾燥。インバーターによるドラム回転速度調整、灯油バーナー | 三相200V・3t/h以上 |
| 株式会社三研 | ヘクサペット プラント用 | 大量処理向け焼土式プラント。ドラム径1000mm×長さ5500mmまで製作可能。並流・向流、自動制御などに対応 | 灯油・ガス/仕様に応じて設計 |
| 開盛機械工業株式会社 | リサイクルマシン 砂太郎 | 土・砂などを加熱処理するリサイクルマシン。灯油バーナーと半密閉式ドラムを採用し、農園芸用土の熱殺菌、病害虫防除、雑草種子対策などに利用。バッチ式・連続式に対応 | 仕様はメーカーへ確認 |