温水暖房・地中暖房・蒸気ボイラとは
温水暖房、地中暖房(地中加温)、蒸気ボイラは、
施設園芸で熱を利用する設備や加温方式です。
同じ「暖房・加温設備」として扱われることがありますが、
熱をつくる設備と、熱を運ぶ方式、加温する場所はそれぞれ異なります。
温水暖房では、ボイラなどで加熱した水を配管へ循環させ、
放熱管、栽培ベッド、レールなどからハウス内や作物周辺へ熱を供給します。
地中暖房は、より正確には地中加温や根域加温と呼ばれることが多く、
温水管や電熱線などを土壌・培地・栽培ベッド付近に設置して、
主に根の周辺を加温する方法です。
蒸気ボイラは水を加熱して蒸気を発生させる設備です。
施設園芸では蒸気による土壌・培土・資機材の加熱消毒などにも利用されます。
温水暖房
温水暖房は、
加熱した水をポンプで循環させ、
配管や放熱器から熱を放出する暖房方式です。
施設園芸では、
ハウス内の空間暖房だけでなく、
栽培ベッド、地中、根域、
養液栽培の
培養液や
灌水用水の昇温などにも利用されています。
温風暖房のように暖めた空気を直接吹き出す方式とは異なり、
配管を適切に配置することで必要な場所へ熱を分配できます。
ハウス内の通路に温水管を配置し、
その配管を作業用トロリーのレールとして兼用する
レールヒーティング方式などもあります。
温水暖房だからハウス内の温度が自動的に均一になるわけではありません。
ボイラ能力、配管径、配管長、循環流量、
往水温度と還水温度、
放熱管の配置などによって温度分布は変わります。
地中暖房・地中加温
地中暖房は、
土壌や培地の中、または栽培ベッド付近へ熱を与える加温方式です。
農業分野では地中加温、
作物の根の周辺を対象とする場合には
根域加温と呼ぶほうが実態を正確に表します。
熱源には、
温水を循環させる温水管のほか、
電気式のヒーター線や温床線などがあります。
例えばイチゴの高設栽培では、
ハウス全体の気温だけを上げるのではなく、
栽培ベッドの培地付近を加温する方法があります。
加温対象を限定できるため、
条件によっては施設全体の暖房負荷を抑えられます。
根域加温だけでハウス全体の暖房を代替できるとは限りません。
必要な気温、根域温度、外気温、
作物・品種、生育段階、ハウスの保温性能によっては、
空間暖房との併用が必要です。
蒸気ボイラ
蒸気ボイラは、
水を加熱して水蒸気を発生させる設備です。
施設園芸では、
蒸気を利用して土壌や培土を加熱する
蒸気土壌消毒、
育苗用土や栽培資材の加熱処理などに利用されます。
蒸気が凝縮するときには大きな熱を放出するため、
土壌や培土へ効率よく熱を伝えることができます。
蒸気ボイラはそれ自体が「地中暖房」ではありません。
蒸気を発生させる熱源設備と、その蒸気を利用する装置を分けて考える必要があります。
また、ボイラの種類や能力によって、
設置・取扱いに関する法令上の区分や必要な管理が異なります。
製品選定時はメーカー仕様と関係法令を確認してください。
熱源と加温方式は分けて考える
施設園芸の加温設備では、
「何で熱をつくるか」と
「どこを暖めるか」を分けて考える必要があります。
A重油、灯油、LPG、都市ガス、
木質バイオマス、電気などは熱源の違いです。
温水暖房、温風暖房、地中加温、根域加温などは、
その熱をどのように作物や施設へ供給するかという違いです。
近年はヒートポンプや排熱、地中熱などを組み合わせる方法もあり、
環境制御設備と連動させるシステムもあります。
選定時に確認する項目
設備を選定する際は、
暖房面積だけで機種を決めないでください。
必要暖房負荷、
地域の最低外気温、
ハウスの被覆・保温性能、
設定する室温・根域温度、
配管距離、
循環ポンプの能力、
使用可能な燃料や電力、
設備費と運転費を確認します。
温水設備では凍結対策も必要です。
停止時に配管や熱交換器内の水が凍結すると、
配管や機器を破損する場合があります。
また燃焼式ボイラを使用する場合は、
給排気、煙突、燃料設備、
定期点検や保守体制まで含めて検討します。
温水暖房・地中暖房・蒸気ボイラ取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 兵神ファーム(兵神機械工業株式会社) | ボイラー(温水器) | 水耕栽培システムのオプションとして、冬季の養液温度管理などに利用する温水器 |
| トミタテクノロジー株式会社 | チューブレールヒーティング | 畝間に温水管を配置し、地上部・地下部の加温に利用。配管を作業用トロリーのレールとして利用可能 |
| トミタテクノロジー株式会社 | クロップヒーティング | 作物周辺を局所的に加温するヒーティング方式 |
| トミタテクノロジー株式会社 | モノレールヒーティング | 施設上部に配置する温水暖房方式 |
| 株式会社イクロス | バイオマス温水ボイラ | 木質系などのバイオマス燃料を熱源として温水を生成するボイラ |
| 株式会社イクロス | バイオマス蒸気ボイラ | バイオマス燃料を使用して蒸気を発生させるボイラ。用途・設備条件を確認して選定 |
| 株式会社タケザワ | BW-αシリーズ | 無圧開放式温水暖房機。A重油・灯油・LPG・都市ガスに対応する機種を展開 |
| 株式会社タケザワ | SBシリーズ 立て型 | 土壌へ蒸気熱を供給する蒸気消毒機。簡易ボイラーを使用 |
| ネポン株式会社 | ハウスボイラ HB-7型(小型)シリーズ | ベッド加温、地中加温、温水暖房、養液・灌水の昇温などに対応するA重油焚き温水発生機 |
| ネポン株式会社 | ハウスボイラ HB-7型(大型)シリーズ | 施設園芸向け大型温水発生機。地中加温や空間暖房などに利用 |
| ネポン株式会社 | ショウオンボイラ SHBシリーズ | 灯油焚き温水発生機。栽培ベッド加温、地中加温、養液加温向け |
| ネポン株式会社 | 大規模ハウス向け温水ボイラ シンクロヒータ SBB-1005 | 大規模施設向けの鋼製無圧式温水発生機 |
| 泉州電業株式会社 | ABILヒーター ヒーター線 | 施設園芸の土壌・培地・根域を局所加温する電気式ヒーター線 |
| 株式会社丸文製作所 | 蒸気土壌消毒機 | 蒸気の凝縮熱を利用して土壌や培土を加熱する農業用蒸気消毒設備 |
| 株式会社丸文製作所 | 低温蒸気土壌消毒 | 蒸気ボイラ、低温装置、消毒槽を組み合わせた低温蒸気消毒システム |
| 三和サービス株式会社 | ジェットウォーマー JW-2011 | 圃場の融雪や苗床の保温などに使用する業務用可搬式温水供給機 |
関連する資材分類・農業用語
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- 空調設備(エアコン他)
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- 複合制御盤
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