複合制御盤

複合制御盤

複合制御盤とは

複合制御盤とは、
施設園芸のハウス内で使用する換気窓、カーテン、暖房機、
換気扇、CO₂施用装置、灌水装置など、
複数の設備を1つの制御装置やシステムから管理・制御するための機器です。

温度、相対湿度、
日射量、CO₂濃度、
雨、風などのセンサー情報や時刻などを利用し、
設定条件に応じて各設備を自動運転します。

メーカーによって
複合環境制御盤、統合環境制御盤、環境制御盤、環境制御システム
などの名称が使われています。

これらの名称には、メーカーを横断した厳密な機能区分があるわけではありません。

製品を比較するときは名称だけで判断せず、
接続できるセンサー、制御できる設備、
設備同士の連動方法、制御点数などを確認します。

単機能の制御盤との違い

例えば、温度が上昇したときにサイド換気だけを開閉する制御盤は、
主として換気設備を制御する単機能型の装置です。

複合制御盤では、
天窓、側窓、カーテン、暖房機、換気扇、
CO₂施用装置など複数の設備を1台または1つのシステムで管理できます。

複数の設備を接続できることと、設備同士を適切に連動できることは別です。

単に複数の機器を個別に動かせる製品もあれば、
各設備の動作を相互に判断して制御する製品もあります。

複合制御と統合環境制御

施設園芸では、
複数の設備をまとめて制御する方式を「複合環境制御」、
さらに温度、湿度、日射、CO₂など複数の環境要素と設備を関連付けて制御する方式を
「統合環境制御」と表現することがあります。

しかし、製品名称としての使い分けはメーカーごとに異なります。

例えば暖房中に換気窓が大きく開けば、
加温した空気を施設外へ逃がしてしまいます。

CO₂施用中に換気を増やせば、
供給したCO₂も施設外へ流出します。

複数設備を連動できる制御盤では、
暖房中の窓開度を制限する、
CO₂施用時に換気窓を閉じるなど、
相反する設備動作を抑える制御が可能な製品があります。

「統合」と書かれているだけで高度な連動制御が保証されるわけではありません。

実際の制御内容を製品仕様で確認してください。

主に利用されるセンサー

複合制御盤では、
室温センサーを基本として、
製品や構成によって次のようなセンサーを利用します。

センサー数が多ければ優れた制御盤とは限りません。

センサー情報をどの制御に利用できるのか、
複数の測定値を組み合わせて判断できるのかまで確認します。

主な制御対象

代表的な制御対象は、
天窓、側窓、巻き上げ換気、
遮光・保温カーテン、暖房機、ヒートポンプ、
換気扇、循環扇、CO₂施用装置、ミストなどです。

製品によっては
灌水、
電照、除湿、冷房なども制御できます。

同じ「複合制御盤」でも制御できる機器数や系統数は大きく異なります。

窓を何系統制御できるのか、
カーテンを何層扱えるのか、
暖房やCO₂、灌水へ何点出力できるのかを確認してください。

既設ハウスへ後付けする場合の注意

制御盤だけ交換すれば既設設備をそのまま使用できるとは限りません。

例えば既設の巻き上げモーターを新しい制御盤へ接続する場合でも、
電源電圧、開閉方式、リミットスイッチ、
接点仕様、インターフェースの有無などを確認する必要があります。

暖房機、ヒートポンプ、カーテン、電磁弁などについても同様です。

制御盤の出力を機器へ直接接続できる場合と、
リレー盤やインターフェース盤を介する必要がある場合があります。

「AC200Vだから接続できる」といった判断はできません。

既設設備へ導入するときは、
制御盤だけでなく駆動機器、電源、配線、センサーまで含めて適合を確認します。

自動制御と遠隔操作は別の機能

自動制御は、
センサー値や時刻などの条件を基に制御盤自身が設備を動かす機能です。

遠隔操作は、
スマートフォンやパソコンなどから利用者が設備や設定を操作する機能です。

さらに環境データを記録・グラフ化するモニタリング機能も別の機能です。

近年はこれらを組み合わせた製品が増えていますが、
すべての複合制御盤がクラウド接続や遠隔操作に対応しているわけではありません。

詳しくは
ハウス内環境管理システム
も参照してください。

通信が切れても制御できるか確認する

クラウドやインターネットへ接続する製品では、
通信障害が発生したときの動作も確認します。

ハウスの基本制御をクラウド接続だけに依存させる設計は避けるべきです。

通信が切れても現地の制御盤が換気や暖房を継続できるのか、
スマートフォンが使えない場合でも盤面から操作できるのかを確認します。

特に夏季の換気停止や冬季の暖房停止は、
短時間でも大きな栽培被害につながる場合があります。

故障時の手動操作も確認する

自動制御盤では、
停電、センサー故障、制御装置故障、
モーターや接触器の故障なども想定します。

自動制御が停止したときに、
換気窓やカーテン、暖房機などを手動で操作できる構成か確認してください。

警報機能があっても、
設備そのものを動かせなければ作物を守れない場合があります。

遠隔監視は非常操作手段の代わりにはなりません。

複合制御盤を選ぶときの考え方

最初に決めるのは、
現在ある設備ではなく何を連動して制御したいかです。

換気と暖房だけを自動化したいハウスと、
カーテン、CO₂、ミスト、灌水まで連動させたいハウスでは、
必要な制御盤が異なります。

将来設備を追加する予定がある場合は、
現在使用する入出力数だけで選ばず、
センサー入力数、制御出力数、増設方法、
通信方式なども確認します。

また、制御設定が細かくできるほど適切な管理ができるとは限りません。

設定項目が複雑になれば、
設定ミスや担当者しか操作できない状態も起こります。

設備能力、作物、管理者の運用能力まで含めて選定します。

複合制御盤取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名特徴
三基計装株式会社ふくごう君Ⅲ施設園芸用複合環境制御装置。天窓・側窓、カーテン、暖房、換気扇、CO₂施用などを制御。窓と暖房、窓とCO₂施用などの連動制御に対応。UECSやクラウド連携による遠隔制御にも対応。
三基計装株式会社ふくごう君Light既設ハウスの更新や新規導入を想定した小型複合環境制御装置。窓、カーテン、暖房、換気扇、CO₂施用などを制御。近距離無線、UECS、クラウド連携にも対応。
三基計装株式会社スーパーミニNTⅡ天窓、側窓、カーテン、暖房、換気扇などを制御する複合環境制御装置。温度、日射、湿度、風向、風速、雨などの入力に対応し、LAN通信・UECSにも対応。
ネポン株式会社環境制御盤 MCシリーズ(MC-6001・MC-3501・MC-3001)ハウス規模や必要機能に応じて選択できる環境制御盤。MC-6001では換気、カーテン、暖冷房、除湿、CO₂、循環扇などを総合的に制御し、アグリネットとのクラウド連携にも対応。
株式会社ニッポーHouse NAVI ADVANCE(ハウスナビ・アドバンス)換気窓、遮光・保温カーテン、暖房、ヒートポンプ、循環扇、CO₂、灌水、除湿、換気扇などを連動して制御する統合環境制御盤。クラウドによるモニタリング・遠隔操作にも対応。
株式会社誠和プロファインダーNext80プロファインダーと外気象センサーから取得した環境データを利用し、換気、カーテン、暖房、冷房、CO₂、循環扇、ミスト、灌水などを制御する統合環境制御システム。
イノチオアグリ株式会社AERO BEAT(エアロビート)最大10区画または10棟まで管理できる環境制御システム。環境制御とモニタリングを一体化し、複数ハウスや灌水設備との連携、遠隔操作などに対応。
イノチオアグリ株式会社IIVOホーヘンドールン社の高性能環境制御システム。気候、CO₂、水利用などを監視し、センサー、灌漑設備などを連携して高度な温室環境制御を行う。
トミタテクノロジー株式会社Priva Connext換気、暖冷房、CO₂、スクリーン、照明、水・肥料供給などを統合的に管理する温室環境制御システム。トミタテクノロジーはPriva社の日本正規ディーラー。
株式会社ネクサスACSIS(アクシス)温度・湿度・雨などに応じたハウス設備の自動制御、遠隔操作、モニタリング、データ記録、警報などに対応。現場設備に合わせた制御盤設計にも対応。
渡辺パイプ株式会社ウルトラエースシリーズハウス内の環境制御をスマート化する制御盤シリーズ。2026年のGPECでも現行シリーズとして展示されています。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。

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