ハウス内環境管理システム

ハウス内環境管理システム

ハウス内環境管理システムとは

ハウス内環境管理システムとは、
ビニールハウスや温室内の温度、相対湿度、
日射量、二酸化炭素(CO₂)濃度、
飽差、土壌・培地水分などをセンサーで測定し、
栽培環境の把握や設備の制御に利用するシステムです。

測定したデータを記録・表示する環境モニタリングシステムから、
換気窓、暖房機、換気扇、カーテン、
CO₂施用装置、
灌水設備などを連携して動かす
統合環境制御システムまで、機能には大きな幅があります。

「環境を測れること」と「環境を自動制御できること」は別です。

製品を比較するときは、
センサーの種類だけでなく、何を計測し、何を記録し、
どの設備まで制御できるのかを確認する必要があります。

環境モニタリングと環境制御の違い

例えば、外出先のスマートフォンでハウス温度を確認できても、
温度上昇に応じて換気窓が自動的に開くとは限りません。

環境モニタリングは、
温度、湿度、日射量、CO₂濃度などを測定・記録し、
グラフ表示や異常通知などによって栽培判断を支援する仕組みです。

データロガーやクラウドサービスを利用し、
過去の環境変化を確認できる製品もあります。

環境制御では、
センサーの測定値、時刻、日射量などの条件と設定値を基に、
換気、暖房、カーテン、
CO₂施用、灌水などの設備を動かします。

複数の環境要素と設備を相互に連携させる方式は、
統合環境制御と呼ばれます。

遠隔操作も自動制御とは別です。

スマートフォンから換気窓を開閉できる製品でも、
設定条件に応じて装置自身が判断して動作する機能を備えているとは限りません。

主に計測される環境データ

施設園芸では、温度、相対湿度、日射量、CO₂濃度などが基本的な計測項目です。

製品によっては、
飽差、地温、培地温度、土壌・培地水分、
EC、風向、風速、雨、光量子束密度なども計測できます。

センサー数が多ければ優れたシステムとは限りません。

測定値を栽培判断や制御に利用できなければ、
センサーを増やしても管理負担と維持費が増えるだけになる場合があります。

また、測定精度はセンサー本体だけでは決まりません。
設置位置、日射の影響、通風、結露、汚れ、経年変化、
校正や交換時期によって測定値は変化します。

環境データと設備を連携させる

ハウス内の温度が上昇した場合、
換気窓や換気扇を動かして温度を下げる方法があります。

しかしCO₂施用中に換気を増やせば、
供給したCO₂が施設外へ流出します。

湿度を下げるための換気が、
ハウス温度を下げすぎて暖房を作動させる場合もあります。

個々の設備を別々に自動化するだけでは、
設備同士が相反する動きをすることがあります。

統合環境制御では、
温度、湿度、日射、CO₂、外気条件などを確認しながら、
換気、暖房、カーテン、CO₂施用、灌水などの動作を組み合わせます。

制御装置は作物そのものを見て判断しているわけではありません。

設定値が作物、生育段階、季節、施設能力に合っていなければ、
自動制御でも不適切な環境を作ります。

クラウド・スマートフォン連携

インターネットに接続し、
パソコンやスマートフォンからハウス内の環境データを確認できる製品があります。

クラウドへデータを保存する製品では、
複数施設のデータ確認、グラフ表示、警報通知、
CSV出力、遠隔設定などが可能な場合があります。

クラウドを利用しているだけでデータ保全や設備運転が保証されるわけではありません。

通信障害やクラウドサービス停止時でも現地制御を継続できるか、
データ保存期間、データ出力方法、通信費、
クラウド利用料、サービス終了時のデータ取得方法を確認してください。

月額料金が不要な製品もあります。
料金体系は製品ごとに異なります。

導入前に確認するポイント

最初に確認するのは「何を自動化したいか」です。

環境を見るだけならモニタリングシステムで足りる場合があります。
換気窓、暖房機、カーテン、CO₂施用、灌水まで連携させたい場合は、
制御出力や接続条件を含めて検討します。

既設設備へ後付けする場合は、
制御盤の入出力方式、接点仕様、電源、
モーターや電磁弁との接続方法を確認しなければなりません。

通信規格やメーカーが異なる機器同士は、
そのまま接続できるとは限りません。

将来の増設を予定している場合は、
センサー入力数、制御出力数、対応機器、
通信方式、ソフトウェアの拡張性も確認します。

停電・故障・通信障害への備え

環境管理システムが停止すると、
高温時に換気できない、低温時に暖房できない、
灌水が停止するといった被害につながる場合があります。

特に夏季の施設では、換気停止が短時間でも
急激な温度上昇につながることがあります。

警報機能だけでなく、
停電時や通信障害時の動作、
センサー異常時の制御、
手動運転への切り替え方法、
制御盤故障時の設備操作方法を確認してください。

スマートフォンで監視できることは、フェイルセーフの代わりにはなりません。

導入効果は設定と栽培管理で決まる

環境管理システムは、
光合成に関係する環境の把握、
設備運転の自動化、見回り回数の削減、
栽培データの蓄積などに利用できます。

しかし、装置を導入しただけで収量や品質が向上するわけではありません。

センサー値が正確でも、
設定値が不適切なら不適切な制御が正確に繰り返されます。

導入後は作物の生育、収量、品質、設備稼働、
燃料・電力・水・肥料の使用量などと環境データを照合し、
制御条件を調整していく必要があります。

ハウス内環境管理システム取り扱いメーカー・代理店

メーカー・販売元製品名区分主な特徴
株式会社オネストスマートガーデナーモニタリング・自動制御・遠隔操作温度・湿度・照度・CO₂などを計測し、環境情報の確認、警報、設備の自動制御・遠隔操作に対応。既設設備へ制御ユニットを接続する構成にも対応。
株式会社セラクみどりモニタ環境モニタリング温度・湿度・飽差・日射量・CO₂濃度・土壌水分などを計測し、クラウド上で確認。構成により環境制御機器との連携にも対応。
株式会社誠和プロファインダー環境モニタリング温度・湿度・CO₂・日射量を測定し、グラフ表示やCSV記録に対応。積算温度、積算日射量、飽差、露点などの算出が可能。
株式会社誠和プロファインダーNext80統合環境制御プロファインダーや外気象センサーの測定値を利用し、換気・暖房・カーテンなど各種設備を制御。クラウドサービス「どこでも80」による遠隔監視・操作にも対応。
株式会社誠和プロファインダークラウドクラウドモニタリングプロファインダーで取得したハウス環境をスマートフォンなどから確認可能。対応コンテンツにより遠隔操作や光合成量の推定などにも対応。
イノチオアグリ株式会社IIVO統合環境制御温室環境、CO₂、水利用などを監視・記録し、各種センサー、灌水設備、栽培設備などを統合して制御する環境制御システム。旧iSiiの後継機種。
トヨタネ株式会社Profarm-Controller統合環境制御ハウス内外のセンサー情報を基に、天窓・側窓・カーテン・CO₂発生機・暖房機・循環扇・ヒートポンプ・換気扇・ミスト・灌水などを制御。
トミタテクノロジー株式会社Priva Connext統合環境制御換気、暖冷房、CO₂、スクリーン、照明、灌水、施肥などを総合的に管理するPriva社の温室環境制御システム。トミタテクノロジーは日本正規ディーラー。
株式会社ジョイ・ワールド・パシフィックあぐりセンスクラウド環境モニタリング施設園芸モデルでは温度・湿度・CO₂濃度を標準計測。土壌温度・水分・EC、日射、気象センサーなどを追加可能。クラウドへの蓄積・グラフ表示に対応。
スマートロジック株式会社Agriware環境モニタリングビニールハウス・植物工場向けの環境モニタリングシステム。温湿度、CO₂、日射、土壌水分・EC、風向風速など多様なセンサーに対応し、PC・スマートフォンから確認可能。
株式会社ネクサスACSIS(アクシス)モニタリング・自動制御・遠隔操作ビニールハウスの環境データをモニタリングし、換気設備などを自動制御・遠隔操作。センサーや設備構成に応じた制御盤設計にも対応。
株式会社farmoハウスファーモ環境モニタリング気温・湿度・照度・CO₂濃度・地中温度などを計測しスマートフォンで確認。通信費・月額利用料不要の製品構成を採用。
ネポン株式会社アグリネットアドバンスモニタリング・遠隔制御ハウス環境のモニタリング、異常警報、遠隔操作に対応。統合環境制御盤MC-6001との組み合わせによりセンサー情報に基づく自動制御やデータ記録が可能。
ネポン株式会社MC-6001 統合環境制御盤統合環境制御換気、カーテン、暖冷房、除湿、CO₂、循環扇などを集中制御。アグリネットアドバンスとのクラウド連携に対応。
渡辺パイプ株式会社ウルトラエースシリーズ/ウルトラネット環境制御・クラウド管理ハウスの各種センサー情報を利用して換気・灌水などの設備を制御し、ウルトラネットとの連携により遠隔モニタリング・制御やデータ蓄積に対応。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。
株式会社クボタハウスナビ・アドバンス統合環境制御換気、暖房、カーテン、CO₂施用などを連携して自動制御する統合環境制御盤。遠隔操作・モニタリングにもオプション対応。

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