風媒花(ふうばいか)

風媒花
風媒花(ふうばいか)は風で運ばれる花粉で受粉が成立する花で、受粉条件と花粉飛散の影響を管理対象として扱う用語です。

風媒花とは

風媒花(ふうばいか)とは、
花粉が主に風によって運ばれ、
受粉する花をいいます。

昆虫によって花粉が運ばれる虫媒花とは、
花粉を運ぶ主な方法が異なります。

農作物では、イネ、コムギ、トウモロコシなどのイネ科植物や、
ホウレンソウなどに風媒による受粉が見られます。

風媒花に多く見られる特徴

風媒花では、昆虫などの送粉者を花へ誘引する必要がないため、
大きく鮮やかな花弁や強い香り、蜜などを発達させないものが多く、
花が小さく目立たない場合があります。

また、
葯から花粉を空中へ放出しやすい構造や、
風で運ばれてきた花粉を
柱頭で受け取りやすい構造を持つ植物もあります。

一般に多量の花粉を放出するものが多く、
その一部が同じ種類の植物の柱頭へ到達することで受粉が成立します。

ただし、花の形や花粉量などの特徴は植物によって異なります。
花が小さい、花粉が多いといった外観だけで風媒花と断定することはできません。

風媒花と自家受粉・他家受粉は別の分類

風媒花を理解するときに注意したいのが、
「花粉を何が運ぶか」と「どの個体の花粉で受粉するか」は別の問題
という点です。

風媒は、風によって花粉が運ばれる花粉の移動方法を示します。

これに対して、
自家受粉は同じ個体由来の花粉による受粉、
他家受粉は別の個体由来の花粉による受粉を示します。

例えばイネは風媒花として扱われますが、自家受粉が主体の自殖性作物です。
トウモロコシも代表的な風媒花ですが、こちらは他家受粉の割合が高い作物です。

「風媒花だから他家受粉する」と判断するのは誤りです。

農業での風媒花と受粉管理

風媒花では昆虫による訪花を受粉の前提としませんが、
「風に任せておけば必ず正常に受粉する」という意味ではありません。

花粉が放出される時期と柱頭が受粉可能な時期、
栽植密度や株の配置、開花期の気象条件などの影響は、
作物によって異なります。

受粉不良が疑われる場合は、
「風媒花だから風が弱かったことが原因」と決めつけず、
開花状況、花粉の形成・放出、柱頭の状態、温度、降雨、
栽植状況などを作物ごとに確認する必要があります。

採種・品種管理では花粉飛散に注意

他家受粉が起こりやすい風媒作物では、
近隣に同じ種類の別品種が栽培されていると、
飛散した花粉によって交雑する可能性があります。

特に採種や育種では、
周囲の作付け状況、隔離距離、開花期の重なりなどを確認し、
対象作物に定められた採種・交雑防止方法に従って管理します。

防風ネットや防風林を設置しただけで、花粉による交雑を完全に防げるとは考えないでください。
花粉は条件によって比較的遠くまで飛散することがあり、
必要な隔離方法は作物や目的によって異なります。

風媒花と種子の風散布は別の現象

「風媒」と、種子や果実が風で運ばれる「風散布」は別の現象です。

風媒花は花粉が風によって運ばれる受粉の仕組みを表します。
種子が風で飛ぶかどうかを示す言葉ではありません。

そのため、
風媒花だから種子も風で散布されるとは限らず、
反対に、種子が風で散布される植物が必ず風媒花であるわけでもありません。

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