腋芽(えきが)

腋芽

腋芽(えきが)とは

腋芽(えきが)とは、植物の茎や枝にある葉の付け根、すなわち葉腋(ようえき・葉えき)に形成される芽のことです。英語では「Axillary bud」と呼ばれ、農業現場では「わき芽」「脇芽」という名称も広く使われています。

腋芽は、伸長すると新しい枝(側枝)になる芽です。植物によっては花芽や混芽として発達する場合もあり、枝分かれや開花、植物全体の形態形成に関わります。

腋芽は形成されても、すべてが伸長するわけではありません。芽の形成と伸長は異なる過程であり、植物の種類や生育段階、植物ホルモンなどによって調節されています。

腋芽と頂芽・側芽の違い

植物の芽は、形成される位置によって区別されます。

  • 腋芽(えきが):葉腋に形成される芽。成長すると側枝などになります。
  • 頂芽(ちょうが):茎や枝の先端に形成される芽。茎の先端方向への成長に関わります。
  • 側芽(そくが):茎や枝の側方に形成される芽。一般に腋芽とほぼ同じ意味で使用されます。

腋芽は芽の形成位置を示す名称です。一方、葉芽・花芽・混芽という分類は、芽が成長した際に何を形成するかに着目したものです。

そのため、腋芽と花芽は対立する分類ではありません。葉腋に形成された芽が花芽となる場合もあります。

腋芽の形成と伸長

腋芽の形成

腋芽は、通常、葉腋に生じる腋生分裂組織から形成されます。

多くの植物では葉の形成に伴って腋芽が分化しますが、植物の種類や品種、生育条件によっては、腋芽が形成されないこともあります。

例えば、キクの一部の品種では、高温条件によって腋芽の形成が抑制されることが報告されています。

腋芽の伸長と頂芽優勢

形成された腋芽の多くは、すぐに伸長するわけではありません。

植物には、茎の先端にある頂芽の働きによって、下位の腋芽の伸長が抑制される頂芽優勢(ちょうがゆうせい)という性質があります。

この調節には、オーキシン、サイトカイニン、ストリゴラクトンなどの植物ホルモンが関係しています。

頂芽を取り除く摘心によって腋芽の伸長が促される場合がありますが、すべての腋芽が一斉に伸びるとは限りません。光、温度、養分状態、植物の種類や生育段階なども影響します。

農作物における腋芽の役割

トマトの腋芽

トマトでは、主茎と葉の付け根に腋芽が形成され、伸長すると側枝になります。

主茎1本仕立てでは、基本的に不要な腋芽を取り除く芽かきを行います。一方、2本仕立てなどでは、特定の腋芽を伸ばして栽培に利用します。

また、トマトでは腋芽を利用した挿し芽苗の研究も行われています。ただし、腋芽苗の利用が必ずしも実生苗より有利になるわけではなく、栽培方式や育苗条件によって収量や品質が異なります。

イネの分げつ

イネでは、茎の基部付近に形成された腋芽が伸長して、新たな茎となります。この枝分かれを分げつ(ぶんげつ)と呼びます。

分げつは穂数の形成に関係しますが、すべての分げつ茎が有効穂になるわけではありません。腋芽の伸長や分げつ茎の生育は、品種、栽植密度、窒素栄養、光条件などの影響を受けます。

花き類の腋芽

キクなどの花き類では、腋芽の形成や伸長が枝数や草姿に関係します。

分枝を利用する栽培では腋芽の伸長を促す場合があり、側枝を抑える栽培では不要な芽を取り除くことがあります。

腋芽の形成自体が抑制される品種もあるため、芽が見えない場合に、単純に生育不足や養分欠乏と判断することはできません。

腋芽の観察と栽培管理での注意点

芽の形成と伸長を区別する

葉腋に芽が見えない場合、腋芽がまだ小さい、伸長が抑制されている、または形成されていないなど、複数の可能性があります。

原因を判断するには、作物の種類や品種、生育段階、温度履歴、摘心や整枝の履歴などを確認する必要があります。

腋芽をすべて不要な芽と判断しない

腋芽を取り除くかどうかは、作物の仕立て方によって異なります。

必要な側枝となる腋芽を誤って除去すると、枝数不足や着果位置の減少などにつながる場合があります。

腋芽を残す場合も、枝数を増やせば必ず収量が増えるわけではありません。受光条件、葉量、養水分供給、着果負担などを合わせて考える必要があります。

腋芽の存在と病害虫の発生を混同しない

腋芽が形成されること自体は、病害虫の発生原因ではありません。

芽かきや整枝によって生じる傷口は、病原体の侵入口となる場合があります。また、作業時の接触によって伝染する病害もあるため、作物と対象病原体に応じた衛生管理が必要です。

芽かきは枝数や草姿を調整する作業であり、病害虫防除そのものを目的とした作業とは区別します。

腋芽の参考動画

腋芽の位置を理解するには、実際の植物で葉の付け根から芽が伸びる様子を観察することが参考になります。

次の動画では、JAの営農指導員がミニトマトの芽かきと葉かきについて解説しています。葉腋に形成された腋芽の位置と、栽培管理での取り扱いを確認できます。

【農作業】スーパー指導員が教える!ミニトマト編~芽かき・葉かき~
JAふくしま未来「みらいろチャンネル」

ミニトマト編~芽かき・葉かき~(YouTube)を見る

動画について:
この動画は、腋芽の発生位置と芽かき作業を理解するための参考資料として紹介しています。腋芽の形成や植物ホルモンの作用を直接解説した動画ではありません。農材ドットコムが制作・管理している動画ではなく、内容や公開状況は公開元の都合により変更される場合があります。実際の芽かき方法は、作物、品種、仕立て方、生育段階などによって異なります。

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