農業用鋼管(ハウスパイプ)は、ビニールハウスやトンネル栽培施設の骨組み、支柱、栽培棚などに用いられる構造用鋼管です。 一般に「農ビ管」「農芸用鋼管」とも呼ばれますが、実際には JIS規格(JIS G3445 または JIS G3444)に基づく鋼管が使用されるケースが大半です。
どの規格を選ぶかで、曲げ加工性・耐久性・雪害や風害への耐性が大きく変わるため、 名称だけでなく規格内容を理解した上での選定が不可欠です。
JIS G3445(機械構造用炭素鋼管:STKM)
- 主な用途:ビニールハウス骨組み、トンネル支柱、アーチ部材など
- 特徴:曲げ加工性に優れ、現場でのアーチ成形や加工がしやすい
- 判断ポイント:施工時に曲げ加工が必要な場合、軽量ハウスや中小規模施設向き
JIS G3444(一般構造用炭素鋼鋼管:STK)
- 主な用途:大型ハウス、耐雪型施設、常設構造物
- 特徴:肉厚設計が可能で、強度・耐久性を重視した用途に適する
- 判断ポイント:積雪荷重・強風対策が必要な地域や長期使用前提の施設向き
防錆処理と耐久性の考え方
農業用鋼管には、亜鉛メッキ加工や防錆塗装が施されるのが一般的ですが、 防錆処理だけで耐用年数が決まるわけではありません。
切断端面の処理有無、結露・湿度条件、沿岸部などの塩害環境によって 腐食速度は大きく異なります。
導入時は「防錆処理の種類」だけでなく、 使用環境・施工後の管理条件を含めて判断することが、長期的なコスト削減につながります。
製造元・発売元及び製品名
| 製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 従来材に比べ2倍の強度を持つ高抗張力鋼管 サビを防ぐからハウスが長持ち | ||
| 厚く亜鉛メッされた鋼管の内外面にポリエステルコーティングを施した、巻き取り軸専用のパイプ 耐食性、耐候性に優れている | ||
| グリーンハウスの建築や果樹園の支柱などに最適な処理を施した農芸用鋼管 | ||
| 優れた耐食性 クロムフリ-処理品を採用で環境にやさしい鋼管 | ||
| 鋼管表面の白錆発生を防止する安定した保護皮膜で耐食性 耐候性 施工時に便利なピッチマーク付き有り |
農業用鋼管の主な特徴(判断に使う視点)
- 規格に基づく品質管理
- 農業用鋼管は、JIS G3445(STKM)またはJIS G3444(STK)に準拠した鋼管が用いられることが一般的です。
- ただし規格名だけで耐久性が保証されるわけではなく、肉厚・径・使用条件を含めて評価する必要があります。
- 防錆処理による耐久性向上
- 亜鉛メッキや防錆塗装により腐食を抑制します。
- 一方で、切断端面・接合部・結露が集中する部位は腐食が進みやすく、使用環境によって寿命は大きく変わります。
- 軽量だが強度設計が重要
- 鋼管は軽量で施工性に優れますが、軽さ=安全ではありません。
- スパンが長い場合や積雪地域では、径・肉厚不足が座屈や変形の原因になります。
- 用途別サイズ展開
- 一般的な径は19.1mm、22.2mm、25.4mm。
- 積雪地域や常設施設では32mm以上が選定されるケースが多く、地域条件を無視した径選択は避けるべきです。
- スウェージ加工による接続性
- 片端を絞ったスウェージ加工により、鋼管同士を差し込んで接続できます。
- ただし、接合部が弱点になりやすいため、補強や固定方法も併せて検討します。
農業用鋼管の同意語として「農ビ管」「農芸用パイプ」が使われることがありますが、 正式な規格名称ではないため、購入時はJIS規格と仕様を必ず確認します。
農業用鋼管の選び方(失敗しない判断軸)
用途・荷重条件に応じたサイズ選択
- 小型施設・短スパン:19.1mm~25.4mm(無積雪・簡易施設向け)
- 大型施設・積雪地域:32mm以上(耐雪・常設用途向け)
- 径の選定は地域の積雪量・スパン長・補強材の有無を含めて判断します。
規格・加工内容の確認
- JIS G3445 STKM:曲げ加工が必要なハウス構造向け
- JIS G3444 STK:強度重視・常設構造向け
- 防錆処理の有無だけでなく、処理方法と使用環境の適合を確認します。
接続方法と注意点
スウェージ加工済み鋼管は施工性に優れますが、接合部は応力が集中しやすい箇所です。 ジョイント金具使用時は、フィルム接触部の保護処理を行わないと破損や摩耗の原因になります。
農業用鋼管の主な活用例
ビニールハウスの骨組み
アーチ加工した鋼管を用いて骨組みを構成します。 耐風・耐雪性能は、径・間隔・補強設計に大きく左右されます。
トンネル栽培
簡易施設として設置・撤去が容易ですが、細径鋼管は強風時に変形しやすいため注意が必要です。
支柱・栽培棚
果樹・野菜の支柱や棚に使用され、長期利用では地際部の腐食が最も劣化しやすい箇所です。
農業用鋼管のメンテナンス(実務視点)
- 重点点検箇所の確認:地際部、接合部、切断端面の錆・変形を確認。
- 清掃:泥・肥料成分の付着を放置しない。
- 保管:未使用時は直置きを避け、通気性を確保。
まとめ(判断の要点)
農業用鋼管は、JIS G3445またはJIS G3444に基づく構造用鋼管であり、 用途・地域条件・施工方法によって適否が大きく変わります。 防錆処理や規格名だけで判断せず、使用条件を整理した上で選定・管理することが、 事故防止と長期コスト削減につながります。







