屋根型ハウス・丸型ハウスメーカー

屋根型ハウス・丸型ハウスメーカー

屋根型ハウス・丸型ハウスとは

農業用ハウスには、
屋根の形状や骨組みの構成が異なるさまざまな構造があります。

このページでは、
主に柱・梁などを備えた屋根型ハウス、丸型ハウス、高軒高・多連棟型ハウスを扱います。

アーチパイプを主骨材とする比較的簡易なパイプハウスについては、
パイプハウスメーカー・施工企業
をご覧ください。

「屋根型」「丸型」は屋根形状を表す分類の一つです。

屋根の形だけでは、ハウスの耐風性、耐雪性、採光性、換気性能は決まりません。

主骨材、
柱・梁、
基礎、
間口、
軒高、
連棟数、
開口部、
被覆資材などを含めた施設全体の仕様で判断します。

屋根型農業用ハウスの施工例

屋根型ハウス

屋根型ハウスは、
柱の上部に梁や合掌材などを配置し、
棟を持つ傾斜屋根を形成した農業用ハウスです。

主骨材には、
角形鋼管、軽量形鋼、H形鋼など、
製品や規模に応じた鋼材が使用されます。

軒高や間口を大きく取りやすく、
高設栽培、
ハイワイヤー栽培、
カーテン、
暖房設備、
環境制御設備などを組み込みやすい製品があります。

しかし、

「屋根型だから強い」とは判断できません。

必要となる耐風・耐雪条件に対して、
どの構造仕様で設計されているかを確認します。

丸型ハウス

丸型ハウスは、
屋根部分をアーチ状に形成した農業用ハウスです。

柱・梁を備えた鉄骨系の丸型ハウスから、
角パイプや鋼管を組み合わせたものまで構造はさまざまです。

比較的シンプルな構造によって、
屋根型ハウスより建設費を抑えた製品もあります。

丸い形状は風荷重の受け方に影響しますが、

丸屋根であることだけを根拠に「耐風性が高い」と判断してはいけません。

同じ丸型でも、
骨材、
基礎、
柱間隔、
間口、
軒高、
補強構造によって性能は変わります。

簡易なアーチパイプ主体のパイプハウスと、
柱・梁を備えた丸型ハウスも区別して比較してください。

フェンロー型・高軒高ハウス

大規模な施設園芸では、
高い軒高と多連棟構造を持つハウスが利用されています。

フェンロー型をはじめ、
国内メーカー独自の高軒高ハウスもあります。

高軒高にすると施設内の空気容積が大きくなり、
温度変化が緩やかになる場合があります。

ハイワイヤー栽培や大型の栽培設備を設置しやすくなることも利点です。

しかし、

高軒高にすれば夏の最高気温が自動的に下がるわけではありません。

実際の温熱環境には、
天窓・側窓の開口面積、
外気条件、
日射、
換気方式、
防虫ネット、
作物群落などが影響します。

冬期には、
ハウスの表面積、
被覆資材、
隙間換気、
内張りカーテンなども暖房負荷に関係します。

屋根形状だけで採光性を比較しない

「丸型だから明るい」
「フェンロー型だから採光性が高い」
という比較だけでは不十分です。

施設内へ入る光には、

  • 屋根形状と勾配
  • 柱、梁、合掌、母屋などの遮光
  • 骨材の配置間隔
  • 被覆材の光線透過特性
  • 被覆材の汚れや劣化
  • 連棟数
  • 方位
  • カーテンや設備の配置

などが影響します。

同じ屋根形状でも、
骨材や設備配置が変われば内部の光環境は変わります。

換気性能は天窓・側窓まで確認する

施設園芸では、
ハウス形状だけでなく
換気設備の仕様が栽培環境を大きく左右します。

特に確認したいのは、

  • 天窓の有無と開口面積
  • 片天窓か両天窓か
  • 谷換気の有無
  • 側窓の開口高さ
  • 妻面換気の有無
  • 自然換気か強制換気か
  • 防虫ネット設置後の通気条件

です。

例えば高軒高ハウスでも、
天窓開口が小さければ期待した換気量を得られないことがあります。

「高軒高=涼しい」と読み替えないでください。

必要な耐風・耐雪性能から構造を決める

ハウスを選ぶときは、
製品名より先に設置地域の風と雪の条件を確認します。

必要となる強度は、
地域、
施設を使用する予定年数、
経営上許容できる災害リスクなどによって変わります。

メーカーが表示する耐風速や耐積雪荷重についても、
数値だけを比較してはいけません。

確認するのは、

  • どのハウス仕様に対する数値か
  • 間口、軒高、柱間隔などの条件
  • 基礎の仕様
  • 補強材を含んだ数値か
  • 単棟か連棟か
  • 被覆状態を含む前提条件
  • 設計値なのか、別の評価による値なのか

です。

「耐風速50m/s」と表示されたハウスが、実際の最大瞬間風速50m/sまで必ず無被害という意味ではありません。

風向、
周辺地形、
開口部からの吹き込み、
施工状態、
経年劣化などによって実際の被害条件は変わります。

積雪は「cm」だけで比較しない

積雪深が同じでも、
雪の密度によって屋根へ加わる重量は変わります。

乾いた軽い雪と、
水分を多く含んだ重い雪では荷重が同じではありません。

メーカーの耐雪表示を見る場合は、
可能であればkg/㎡などの荷重条件と、
その数値の前提を確認してください。

積雪深だけを比較して優劣を決めるのは危険です。

基礎を確認する

大型化・高軒高化するほど、
骨組みだけでなく基礎と地盤条件の確認が欠かせません。

同じ上部構造でも、
基礎形式や地盤条件が異なれば施設全体の挙動は変わります。

独立基礎、
杭、
メーカー独自の基礎工法など、
採用する構造によって方法も異なります。

上部骨組みの仕様だけでハウス強度を比較しないでください。

栽培設備と作物荷重を設計時に伝える

トマトやキュウリなどの高軒高栽培では、
誘引設備や作物そのものから骨組みへ荷重が加わる場合があります。

さらに、

内張りカーテン、
暖房ダクト、
灌水配管、
栽培ガター、
照明、
循環扇などを吊り下げることがあります。

「取り付ける場所がある」と「構造上載せられる」は別です。

導入予定設備と支持方法を、
ハウス設計前にメーカーや施工企業へ伝えてください。

単棟・連棟をどう選ぶか

連棟化すると、
大面積を一体的に利用しやすく、
栽培設備や作業動線をまとめやすくなります。

その反面、
谷部の排水、
積雪、
換気、
設備故障時の影響範囲なども確認が必要です。

単棟は棟ごとに管理を分けやすい反面、
同じ総面積でも被覆面積や通路配置などの条件が変わります。

面積だけで単棟・連棟を決めないでください。

作物、
作業動線、
機械、
換気、
排水、
災害リスクを合わせて判断します。

屋根型・丸型ハウスメーカーの選び方

メーカー比較では、
坪単価だけを見るべきではありません。

同じ面積でも、

柱高、
基礎、
骨材、
被覆材、
天窓、
側窓、
入口、
カーテン、
灌水設備、
電気設備、

などの範囲が違えば価格は比較できません。

見積もりは、
同じ完成条件まで揃えて比較します。

また、
施工後の保守体制も確認してください。

被覆材、
天窓駆動部、
巻き上げ装置、
カーテン部品、
ドア、
谷樋などは、
長期使用中に補修・交換が必要になります。

よくある失敗パターン

丸型なら台風に強いと考える

なぜ間違いなのか:
耐風性能は屋根形状だけでなく、骨組み、基礎、接合部、間口、軒高などを含む施設全体で決まります。

誤解されやすい点:
丸い形状が風を受け流すという説明を、施設全体の耐風性能へそのまま置き換えてしまうことです。

正しい判断:
対象製品の設計条件と耐風性能を仕様ごとに確認します。

屋根型なら雪に強いと考える

なぜ間違いなのか:
屋根勾配だけで耐雪性能は決まりません。

誤解されやすい点:
雪が滑りやすい形状と、構造上耐えられる積雪荷重を混同することです。

正しい判断:
地域の積雪条件とメーカーの耐雪荷重、基礎・骨組み仕様を確認します。

高軒高にすれば高温対策になると考える

なぜ間違いなのか:
空気容積は増えますが、日射による熱取得と換気能力が不足すれば高温になります。

誤解されやすい点:
温度上昇速度が緩やかになることと、最高温度が十分下がることを同じと考えることです。

正しい判断:
軒高と同時に天窓・側窓・谷換気などの換気能力を確認します。

耐風速・耐積雪の数字が大きい製品を選べばよいと考える

なぜ間違いなのか:
比較条件が同一とは限りません。

誤解されやすい点:
数値を自動車の最高速度のような単純比較値として見ることです。

正しい判断:
数値の前提となる間口、軒高、基礎、補強、評価方法まで確認します。

ハウス本体だけ決めて設備を後から考える

なぜ間違いなのか:
カーテン、栽培ガター、誘引設備などは骨組みへ荷重を加える場合があります。

誤解されやすい点:
設備を物理的に取り付けられれば問題ないと考えることです。

正しい判断:
将来導入する設備も含めて設計条件へ入れます。

屋根型ハウス・丸型ハウス取り扱いメーカー・代理店

メーカーごとに、
丸型、屋根型、高軒高、多連棟などの構造や標準仕様が異なります。

同じメーカーでも製品ごとに耐風・耐雪条件は異なるため、
会社名だけで性能を判断しないでください。

製造・施工企業製品名・製品群特徴・確認事項
サンケンハウス株式会社屋根型ハウス(H鋼仕様)軽量H形鋼を主骨材に使用する屋根型ハウス。各種被覆材、天窓、二重カーテン等に対応。必要な耐風・耐雪性能は対象仕様ごとに確認。
サンケンハウス株式会社屋根型ハウス(角パイ仕様)角パイプを主骨材に使用する屋根型ハウス。間口6~10mに対応する仕様を掲載。被覆材や設備条件を含めて選定。
サンケンハウス株式会社丸型合掌ハウスアーチ状に加工した角パイプを主骨材とする丸型ハウス。間口5.4~7.2mに対応する仕様を掲載。
イノチオアグリ株式会社丸型ハウスD-1アーチ状のスチール角パイプを合掌に使用する丸型ハウス。側部・谷部換気や自動天窓にも対応。
イノチオアグリ株式会社屋根型ハウス自由設計型の農業用屋根型ハウス。栽培作物、設備、地域条件に応じて仕様を確認。
イノチオアグリ株式会社ドリームフィールド丸型D-1と屋根型ハウスの特徴を組み合わせた高軒高・耐候性ハウス。公表耐風・耐積雪性能は標準仕様の条件を確認して利用。
イノチオアグリ株式会社SANTAROOF高軒高・多連棟型の大型農業用ハウス。ハイワイヤー栽培や各種環境制御設備に対応。耐風・耐雪性能は仕様ごとに異なる。
イノチオアグリ株式会社SANTAFE高軒高・多連棟トラス構造を採用した農業用温室。大型栽培設備や複合環境制御の導入を想定する場合は設計条件を確認。
サンキンB&G株式会社JAPハウス角形鋼管等を使用する丸屋根型ハウス。天窓、谷換気、サイド換気等に対応。標準仕様と必要強度を確認。
株式会社大仙屋根型ビニールハウス硬質・軟質フィルム等に対応する屋根型ハウスを展開。製品ごとの被覆材、構造、換気方式を確認。
株式会社大仙アーチ型ビニールハウス天窓式、谷換気式、多連棟型などを展開。丸型という形状だけでなく製品ごとの構造仕様で比較。
トミタテクノロジー株式会社フェンロー温室・カブリオレ温室・リッシェルハウス高軒高温室、左右独立天窓、複層フィルム型など複数形式を展開。目的と地域条件に応じて個別仕様を確認。
株式会社タカミヤG-Castle 鉄骨ハウス栽培品目や設計基準に応じた複数タイプを展開。現行仕様では日本施設園芸協会の構造指針に基づいた設計を案内。
タキイ種苗株式会社高強度486ハウス/ハイテン486ハウス48.6mm系鋼管等を用いた高強度ハウス。製品仕様と設置条件を確認したうえで選定。
渡辺パイプ株式会社 グリーン事業部Uハウスシリーズ角パイプ等を使用する丸屋根型鉄骨ハウスを展開。製品ごとに構造・適用地域・強度条件が異なる。
渡辺パイプ株式会社 グリーン事業部Wハウスシリーズ高軒高・大面積・多連棟向けの鉄骨ハウスシリーズ。ハイワイヤー栽培や環境制御設備導入時は設備荷重を含めて設計確認。
日之出産業株式会社フェンロー型ハウス高軒高、多連棟、ラチス梁構造の大型ハウス。メーカー公表の耐風速性能は対象仕様・設計条件を確認。
日之出産業株式会社高強度型・切妻型ハウスアーチ型、切妻型、大型高強度型などを展開。用途に応じて個別仕様を確認。
トヨタネ株式会社TSKハウスシリーズ柱・合掌等を備えた丸型ハウス。高設栽培や各種設備にも対応する仕様を掲載。
トヨタネ株式会社屋根型ハウス天窓、各種被覆材、高設栽培などに対応する屋根型ハウス。標準仕様と地域条件を確認。

導入前のチェックリスト

  • 栽培する作物と作型を決めているか
  • 必要な間口、軒高、誘引高を整理したか
  • トラクター、高所作業車などの寸法を確認したか
  • 設置地域の風・積雪条件を確認したか
  • 必要な耐風・耐雪条件をメーカーへ伝えたか
  • 基礎形式と地盤条件を確認したか
  • 天窓、側窓、谷換気などの換気方式を確認したか
  • 防虫ネット設置後の通気条件を確認したか
  • カーテン、暖房、灌水、誘引、栽培ガターなどの設備を整理したか
  • 設備や作物から骨組みへ加わる荷重を確認したか
  • 被覆材の種類と交換方法を確認したか
  • 施工後の修理・部品供給体制を確認したか
  • 同じ完成仕様で複数社の見積もりを比較したか

既設ハウスを改修する場合

既設ハウスのかさ上げ、
被覆材変更、
天窓追加、
カーテン設置、
設備更新などを行える場合があります。

しかし、
既設構造の腐食や変形を確認せずに設備を追加してはいけません。

また、
中古ハウスを解体して別の圃場へ移設する場合も、
元の設計性能がそのまま維持されるとは限りません。

既設施設の改修については、
ハウスリフォーム
をご覧ください。

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