温室カーテンメーカー・カーテン施工企業とは
温室カーテンは、
温室やビニールハウスの内部または外部に設置し、
カーテン資材を開閉することで、
保温、遮光、日射負荷の低減、日長調節、作業の省力化などを行う設備です。
「カーテン」という名称から資材だけを想像しやすいですが、
実際の設備は、
スクリーンやフィルムなどのカーテン資材、支持部材、駆動装置、開閉機構、制御機器
などを組み合わせて構成されます。
施設園芸では、
日射量、
温度、時間などを条件として自動開閉するシステムも利用され、
環境制御
設備の一部として組み込まれる場合があります。
温室カーテンを設置すれば、温度・湿度・日射の問題がまとめて解決するわけではありません。
必要な設備は、
設置位置、使用するカーテン資材、ハウス構造、暖房設備、
換気能力、
栽培作物、作型、地域の気象条件によって変わります。
メーカー名や製品名から選ぶのではなく、
改善したい環境要因と既設設備を先に確認してから方式を選定します。
温室カーテンでできること
保温
内張りカーテンを閉じると、
作物側の栽培空間と屋根面との間に仕切りができ、
夜間の熱損失を抑えることができます。
暖房を行う施設では、暖房負荷の低減につながる場合があります。
効果はカーテン資材の断熱・放射特性だけでは決まりません。
カーテンの層数、隙間、施工状態、開閉時刻、
外気温、設定温度、ハウス本体の気密性などでも変わります。
暖房能力そのものが不足している施設を、カーテンだけで補うことはできません。
遮光
遮光用のカーテンでは、
作物や施設内へ入る光量を調節します。
高日射時の光環境調整や、作物によっては日長調節にも利用されます。
遮光率を高くすればよいわけではありません。
光を減らしすぎると、
光合成
に利用できる光も減少します。
必要な遮光率は作物、生育段階、季節、地域、
ハウス内へ実際に入る日射量によって判断します。
遮熱・日射熱負荷の低減
遮熱を目的とする資材では、
太陽光による熱負荷を減らすため、
反射や透過特性を利用した製品が使用されます。
遮光率と遮熱性能は同じ指標ではありません。
光を大きく減らす資材が、
作物にとって最適な遮熱資材とは限りません。
遮光率だけでなく、透過率、反射特性、使用位置、
換気条件などを含めて比較します。
開閉作業の省力化
モーターや制御盤を使用すると、
手作業で行っていたカーテンの開閉を自動化できます。
複数棟を管理する施設や、毎日開閉する設備では省力化効果が大きくなります。
自動化されるのは「開閉動作」です。
設定条件が適切でなければ、誤った開閉も自動で繰り返されます。
温室カーテンの分類
温室カーテンは、
設置位置、カーテン資材の展張・収納方法、
駆動方法、制御方法を分けて考えると整理しやすくなります。
1.設置位置
内張りカーテン
ハウス内部に設置する方式です。
保温、遮光、遮熱、日長調節などに使用されます。
既設ハウスへ設置する場合は、
梁、トラス、筋交い、暖房ダクト、循環扇、
換気装置、誘引設備などとの干渉を確認します。
外部遮光カーテン
ハウス外側で日射を遮る方式です。
施設内部へ日射が入る前に負荷を減らせることが利点ですが、
屋外に設置するため、風雨、紫外線、支持構造、
駆動部の耐候性などを考慮した設計が必要です。
既設ハウスへの外部遮光は、支持強度を確認せずに追加してはいけません。
2.展張・収納方式
スライド式
カーテン資材を水平方向などへ展張・収束させて開閉する方式です。
内張りカーテンで広く利用されています。
収納位置、カーテンの収束幅、支持線やレール、
梁やトラスとの位置関係によって、
全開時に生じる影や施工条件が変わります。
巻取式
カーテン資材をパイプなどへ巻き取って開閉する方式です。
使用できる資材、巻取長さ、駆動方式などは製品によって異なります。
長尺施工では偏巻きや左右差が動作不良につながるため、
施工精度と張力調整も確認します。
3.駆動・伝達方式
カーテンを実際に動かす機構には、
ワイヤーを利用する方式、ラック&ピニオンを利用する方式、
ロッドや専用駆動部材を使用する方式などがあります。
ラック&ピニオンは「スライド式」と対になる分類ではありません。
スライド式カーテンをラック&ピニオン機構で駆動する設備もあります。
駆動方式は、
ハウス構造、開閉距離、カーテン面積、荷重、
施工条件、使用するスクリーンとの適合を確認して選定します。
4.操作・制御方式
手動式
人がハンドルやスイッチなどを操作して開閉します。
構成を単純にしやすい反面、
開閉回数が多い施設や複数棟管理では作業負担が増えます。
自動制御式
制御盤やセンサーを利用して、
時間、温度、日射・照度などを条件に開閉する方式です。
対応する制御項目は製品によって異なります。
ハウス内環境管理システム
や
複合制御盤
と連携できる製品もあります。
停電、センサー異常、モーター故障、通信障害などが発生した場合に、
手動操作や非常時運転ができるかも確認します。
温室カーテンの選び方
例えば、真夏にハウス内が高温になるからといって、
すぐに高遮光率のカーテンを選ぶのは危険です。
原因が大きな日射負荷なら遮光・遮熱が有効ですが、
換気能力不足が主因なら、
カーテンだけでは十分に改善しません。
光量だけを減らし、栽培条件を悪化させる可能性もあります。
先に原因を確認し、その原因に効く設備を選びます。
- 主目的と副目的を分ける
夜間保温、遮光、遮熱、日長調節、省力化のうち、
何を最優先にするかを整理します。
複数機能を持つ製品もあるため、目的を一つだけに限定する必要はありません。 - 必要なカーテン性能を確認する
遮光率だけでなく、
透光性、反射特性、保温性、通気・透湿性、
耐久性など、目的に関係するメーカー公表値を確認します。 - ハウス構造との適合を確認する
間口、奥行、連棟数、柱・梁・トラスの位置、
天窓や谷換気、暖房設備、循環扇、
配管、誘引設備との干渉を確認します。 - 駆動方式を決める
カーテン面積、開閉距離、使用資材、
支持構造などに適した駆動装置を選びます。
既設ハウスでは現地調査を行わなければ正確な判断はできません。 - 必要な制御機能だけを選ぶ
時間、温度、日射・照度、外部環境との連携など、
実際に使用する制御条件を整理します。
高機能な制御盤でも、設定と管理ができなければ効果は出ません。 - 補修・再調整まで確認する
モーター、ワイヤー、ラック、制御盤、
リミット機構、スクリーン、専用金具などの供給体制と、
施工後の張力調整や修理対応を確認します。
導入前に確認したい注意点
遮光率だけで高温対策を判断しない
高遮光率ほど高温対策に優れるとは限りません。
遮光と
遮熱は分けて評価します。
カーテンを除湿設備として考えない
カーテンを閉じると施設内部の空気の動きや水蒸気の移動も変化します。
条件によってはカーテン下部の
相対湿度
が高くなることがあります。
結露の発生には表面温度と
露点
の関係も影響します。
カーテンだけを「結露防止設備」として評価するのは不適切です。
外部遮光は構造条件を確認する
屋外に設置するカーテンは風の影響を受けます。
既設施設への後付けでは、
支持部材とハウス本体を含めて施工企業へ確認します。
自動制御は設定を固定したままにしない
季節、作型、生育段階、被覆状態が変われば、
適切な開閉条件も変わることがあります。
設定値を変更できる担当者と管理方法を決めておきます。
施工後の再調整を想定する
カーテンは長期間の開閉によって、
張力、停止位置、巻取り状態などが変化することがあります。
定期点検や調整方法、補修部材の入手方法を導入時に確認します。
温室カーテン・開閉装置取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名・製品群 | 特徴 |
|---|---|---|
| トミタテクノロジー株式会社 | フェンロー温室 スクリーンシステム | ラック&ピニオン方式とワイヤー方式を設定する温室用スクリーンシステム。カーテンの展張方式と駆動方式を分けて検討したい施設向け。 |
| トミタテクノロジー株式会社 | リッシェルハウス 遮光スクリーンシステム | ラック&ピニオン方式で水平開閉する遮光スクリーンシステム。日射量・タイマーによる自動開閉に対応。 |
| サンクールシステム株式会社 | SF Neo+ | 複数系統のハウス開閉を制御する上位モデル。温度・雨・湿度・外気温・風・CO2など対応センサーが多く、カーテンを含む複数設備の制御に対応。 |
| サンクールシステム株式会社 | サンパワーNEXT | 1~2系統向け自動開閉制御盤。温度制御、時間制御、遮光制御などに対応。 |
| サンクールシステム株式会社 | サンパワーLIGHT | 小規模施設向け自動開閉装置。サイド・谷巻上げ・内張りカーテンに対応し、温度・時間制御などを行う。 |
| シンワ株式会社 | 農業用カーテン装置 | 手動スライド、自動内張り、巻上タイプ、自動開閉制御機器などを展開。旧個別製品URLではなく現行カーテン製品一覧へ統合。 |
| 株式会社誠和 | 自動カーテン | 内張りカーテン用の自動開閉装置。手動、24時間タイマー、照度センサー、サーモスタットによる開閉に対応。 |
| 株式会社誠和 | ツインカーテン | 既存の自動カーテン装置にLSスクリーンを1枚追加し、保温性能を高めるための製品。取付可能なハウス・既設装置に条件あり。 |
| 株式会社誠和 | SHフィット | 全開時のスクリーン収束性と影の低減を重視したカーテン装置。LSスクリーン専用、2枚張り。 |
| 株式会社誠和 | SHラック | ダッチライト型ハウス向け。ラック&ピニオン駆動とロッドパイプを使用するカーテン装置。LSスクリーン専用。 |
| 株式会社誠和 | SHハンディ | パイプハウス向け内張りカーテン装置。手動・自動化に対応する製品群。 |
| 渡辺パイプ株式会社 グリーン事業部 | カーテンエース | 遮光・保温兼用資材を使用するカーテン装置。手動・自動を選択でき、自動仕様ではタイマー・温度設定による制御に対応。 |
| 渡辺パイプ株式会社 グリーン事業部 | ABSスクリーン | ダッチライト型ハウス専用の自動妻引きカーテン装置。収束時の収納幅を抑えた構造。 |
| イノチオアグリ株式会社 | なつみスクリーン アルミ50・65 | 遮光・遮熱・保温用途の内張りカーテン資材。遮光率50%・65%を設定。装置ではなくカーテン資材として掲載。 |
| 株式会社吉武製作所 | 温室カーテン開閉装置用部品・駆動部材 | 「吉武製作所(旧:みづほ物産)」の表記で温室カーテン関連部材の現行流通を確認。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 株式会社 森田興産 | 農業用自動カーテン | 農業用遮光カーテンの自動開閉により、日射・温度を調整し生育環境を整えます。 |
よくある失敗パターン
- 「暑いから遮光率を上げる」
原因を確認せず遮光率だけを高めるのは誤りです。
日射負荷、外気温、換気能力などを分けて確認します。 - 遮光と遮熱を同じ性能として比較する
遮光率は光をどの程度減らすかを見る指標です。
遮熱性能とは一致しません。 - 保温カーテンで暖房能力不足を補おうとする
カーテンは熱損失を減らす設備です。
必要な暖房能力そのものを発生させる設備ではありません。 - スライド式とラック&ピニオン式を二者択一で比較する
分類が違います。
スライド式はカーテンの展張・収納方法、
ラック&ピニオンは駆動・伝達機構の一つです。 - 既設ハウスを現地確認せずに見積りだけで決める
梁、筋交い、換気設備、暖房設備、配管、
誘引設備などとの干渉は図面だけでは判断できない場合があります。 - 自動化すれば環境制御まで自動的に最適化されると考える
自動装置は設定された条件で動きます。
設定が誤っていれば、誤った動作も繰り返します。
温室カーテンメーカー・施工企業に関するよくある質問
Q1. 温室カーテンは既設ハウスにも後付けできますか
後付けできる製品はあります。
ただし、すべてのハウスへ適合するわけではありません。
柱・梁・トラスの位置、支持強度、開閉スペース、
換気設備、暖房設備、電源、配線経路などを確認して判断します。
現地確認なしでは適否を断定できません。
Q2. 手動式と自動式はどちらが良いですか
面積、棟数、開閉頻度、必要な制御精度によって変わります。
小面積で開閉回数が少なければ手動式が合理的な場合があります。
複数棟や毎日の細かな開閉管理では自動式の効果が大きくなります。
Q3. 遮光と保温を1枚のカーテンで兼用できますか
兼用を前提に設計されたカーテン資材があります。
また、保温用と遮光用を複数層で使い分ける設備もあります。
兼用が良いか用途別に分けるべきかは、
必要な保温性能、遮光率、使用時期、設置可能な層数、
予算によって判断します。
兼用だから性能が低いとは限りません。
Q4. 外部遮光と内張り遮光はどちらが良いですか
設置条件が異なるため単純な優劣では比較できません。
外部遮光は施設へ入る前の日射負荷を減らしやすい反面、
風雨への対応が必要です。
内張りは施設内部へ設置しやすく、
保温設備と組み合わせられる製品もあります。
Q5. 見積り前に準備する情報は何ですか
ハウスの間口・奥行・連棟数・軒高、
柱・梁・トラスの構造、
現在の被覆材、換気方式、暖房設備、
電源、既設制御盤、栽培作物と作型、
現在発生している問題を整理します。
高温対策を目的とする場合は、
可能であれば外気温、施設内温度、
日射量、
湿度、換気設備の運転状況などの記録も用意します。
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まとめ
温室カーテンを選ぶときは、
カーテン資材、展張・収納方式、駆動方式、制御方式を分けて比較します。
先に確認するのは製品名ではありません。
保温、遮光、遮熱、省力化などの目的と、
現在のハウス構造・換気・暖房条件です。
高温の原因が換気不足なのに遮光設備だけを追加する、
暖房能力不足を保温カーテンだけで補う、
既設ハウスへ構造確認なしで後付けする。
こうした選定は避けるべきです。
メーカー・施工企業へ相談する際は、
設備価格だけでなく、
構造適合、使用できるカーテン資材、制御条件、非常時操作、補修部材、施工後の調整体制
まで確認してください。