換気とは
換気(かんき)とは、
施設内の空気と外気を入れ替えることです。
施設園芸では、
ハウス内にたまった熱や水蒸気を外へ排出したり、
外気を取り入れたりするために行います。
温度、湿度、二酸化炭素(CO2)濃度などを調整する
環境制御の基本的な操作の一つです。
換気と空気循環は同じではありません。
換気は施設内外の空気交換です。
循環扇などによる空気循環は、
施設内部の空気を動かして気温、湿度、気流などの偏りを小さくする操作であり、
循環扇だけを運転しても施設内外の空気交換にはなりません。
施設園芸で行われる換気
施設園芸の換気は、
大きく自然換気と強制換気に分けられます。
自然換気
自然換気は、
サイド、天窓、谷部、妻面などの換気開口部を開け、
主に風による圧力差や施設内外の温度差によって生じる空気の流れを利用する方法です。
サイド換気では、
ハウス側面のフィルムを巻き上げて開口部を作ります。
屋根や谷部に設けた
谷・屋根換気と
組み合わせる施設もあります。
換気量は開口面積だけでは決まりません。
外部の風速・風向、
開口部の位置、
施設の形状や規模、
周辺の建物や防風施設、
作物の繁茂状態などによって空気の流れは変わります。
換気開口部に
防虫ネットを張る場合は、
ネットによる通気抵抗も加わります。
特に目合いの細かなネットでは、
害虫の侵入を抑えやすくなる反面、
自然換気量が低下する場合があります。
強制換気
強制換気は、
農事用換気扇(農業用換気扇)などを使用して
施設内外の空気を強制的に入れ替える方法です。
一般的には換気扇で施設内の空気を排出し、
反対側などに設けた吸気口から外気を取り入れます。
自然換気だけでは必要な換気量を確保しにくい施設や、
換気条件をある程度安定させたい場合などに利用されます。
換気扇のカタログ風量が、そのままハウスの実換気量になるわけではありません。
吸気口が小さい場合や、
防虫ネット、シャッターなどの通気抵抗が大きい場合には、
換気扇へかかる抵抗が増え、
実際の風量が低下します。
換気扇を選定する際は、
換気扇の風量だけでなく、
吸気口の面積や位置、
防虫ネットなどを含めた換気経路全体で考えます。
換気と循環扇の違い
換気扇と
循環扇は
似た形の機器がありますが、役割が異なります。
換気扇は、
施設内の空気を排出して外気を取り入れ、
施設内外の空気交換を行います。
循環扇は、
ハウス内部の空気を動かすための機器です。
暖房時の温度ムラの緩和、
高湿度になりやすい場所の空気流動、
作物群落内の気流確保などに使用されます。
循環扇を設置しただけで換気能力が増えるわけではありません。
換気と空気循環は、
目的を分けて考える必要があります。
換気と温度
日射を受けたハウスでは、
被覆を透過した日射によって施設内や作物、床面などが温められ、
外気温より施設内温度が高くなることがあります。
換気によって熱を持った空気を排出し、
外気を取り入れることで、
この温度上昇を抑えます。
高温期には、
側窓だけでなく屋根部などの開口を組み合わせることで、
換気条件が改善する場合があります。
換気は、外気そのものを冷却する方法ではありません。
十分に換気できても、
基本的には施設内温度を外気温へ近づけていく方法です。
外気温そのものが高い条件では、
換気だけで作物に適した温度まで下げられないことがあります。
高温障害対策では、
換気に加えて
遮光、
遮熱、
細霧冷房などを組み合わせる場合があります。
換気と湿度
作物の蒸散、
土壌や培地、
灌水などから発生した水蒸気は、
ハウス内に蓄積します。
換気によって施設内の湿った空気を排出し、
外気と入れ替えることで、
施設内の水蒸気を減らせる場合があります。
換気すれば必ず湿度が下がるわけではありません。
除湿できるかどうかは、
施設内と外気の温度や水蒸気量によって変わります。
例えば冬の朝は、
外気の相対湿度が高く表示されていても、
気温が低いため空気中に含まれる水蒸気量が少ない場合があります。
その外気を取り込み、
施設内で加温すると、
相対湿度が下がることがあります。
反対に、
高温多湿時や降雨時など、
外気にも多くの水蒸気が含まれている場合には、
換気による除湿効果が小さくなることがあります。
相対湿度の数値だけで換気による除湿効果を判断してはいけません。
露点なども確認すると、
空気中の水蒸気の状態を判断しやすくなります。
換気による温度・湿度の変化は、
飽差にも影響します。
換気と結露
夜間から早朝にかけて被覆面や植物体の温度が低下すると、
空気中の水蒸気が凝結して結露することがあります。
高湿度状態が続く場合には、
換気によって水蒸気を排出する方法があります。
寒い時期には、
換気だけを行うと施設内温度も低下します。
このため、
加温しながら換気するなど、
温度を維持しながら水蒸気を排出する管理が行われることがあります。
換気を行えば病害が防げるという意味ではありません。
病害の発生は、
病原体、葉面の濡れ、生育状態、温度など多くの条件に左右されます。
換気とCO2濃度
施設内の二酸化炭素(CO2)濃度も換気によって変化します。
換気の少ない状態で日中に
光合成が活発になると、
作物によってCO2が消費され、
施設内のCO2濃度が外気より低くなることがあります。
この場合は、
換気によって外気を取り入れることで、
CO2濃度を外気に近い状態へ戻すことができます。
反対に、
CO2施用を行って
施設内のCO2濃度を外気より高めているときに換気量を増やすと、
施用したCO2が施設外へ流出します。
換気とCO2施用は別々に制御するものではありません。
換気窓の開度、
施設内外の温度、
日射、
CO2濃度などを見ながら組み合わせて管理します。
換気量を左右する主な条件
同じハウスでも、
換気能力は一定ではありません。
特に自然換気では、
次のような条件によって大きく変わります。
- サイド、天窓、谷部、妻面などの開口面積と位置
- 風速と風向
- ハウスの間口、奥行き、軒高などの施設形状
- 単棟・連棟などの施設形式
- 周辺の建物、防風ネット、樹木など
- 防虫ネットの目合い、糸径、開口率
- 作物の草丈や繁茂状態
強制換気では、
これらに加えて換気扇の能力、
吸気口の大きさ、
換気経路の通気抵抗なども関係します。
換気で注意すること
換気開口部は、大きく開ければよいとは限りません。
強風時に大きく開放すると、
フィルムや換気装置へ大きな風圧がかかったり、
作物へ強い気流が当たったりする場合があります。
反対に、
風が弱い日や、
施設周辺に建物などがある条件では、
サイドを大きく開けても十分な換気量を得られないことがあります。
冬季の過剰な換気は、
暖めた空気を施設外へ排出するため、
暖房負荷を増加させます。
換気は、
作物、生育段階、
施設構造、
外気温、
日射、
風速・風向、
湿度、
CO2濃度などを見ながら調整します。
換気窓や巻上げ装置を自動制御する場合でも、
センサー値だけでなく、
実際の開口状態や機器の動作を定期的に確認します。
換気に使用する機器
施設園芸では、
換気方法に応じてさまざまな機器や部材が使用されます。
サイドフィルムを巻き上げる手動・電動巻上げ機、
巻上げパイプ、
フィルム固定部材、
天窓・谷換気装置、
換気扇、
温度センサーや制御盤などがあります。
これらの機器については
換気関連器具、
サイド換気、
谷・屋根換気、
農事用換気扇(農業用換気扇)
などで紹介しています。
関連する資材分類・農業用語
- 換気関連器具
- サイド換気
- 谷・屋根換気
- 農事用換気扇(農業用換気扇)
- 循環扇
- サイド換気(農PO)
- サイド換気用(農ビ)
- 環境制御
- 高温障害
- 相対湿度
- 露点
- 飽差
- 蒸散
- 防虫ネット
- CO2施用
- 光合成
- 複合制御盤
- ハウス内環境管理システム
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