バイオスティミュラントとは
バイオスティミュラント(Plant Biostimulant、略称:BS)とは、
農作物または土壌に施用し、
作物やその周辺土壌が本来持つ機能を補助することで、
養分の利用性や利用効率、
高温、乾燥、塩類などの非生物的ストレスへの対応を助け、
結果として作物の品質や収量の維持・改善につなげることを目的とする資材です。
バイオスティミュラントは「自然由来の資材」や「生物由来の資材」だけを意味する言葉ではありません。
海藻抽出物、アミノ酸、腐植物質、微生物などを利用した製品が多くありますが、
原料の由来そのものがバイオスティミュラントの定義ではありません。
日本での位置づけ
農林水産省は2025年5月に、
バイオスティミュラントの表示等に関するガイドラインを公表しています。
バイオスティミュラントという名称は、
肥料、農薬、土壌改良資材などの法的区分を置き換えるものではありません。
肥料に該当する製品であれば肥料に関する法令、
農薬に該当する用途や表示を行う製品であれば農薬に関する法令に従う必要があります。
したがって、
「バイオスティミュラントだから肥料でも農薬でもない」という理解は誤りです。
主な種類
バイオスティミュラントには、
次のような素材を利用した製品があります。
- 海藻・海藻抽出物
- アミノ酸、ペプチド、タンパク質加水分解物
- 腐植酸、フルボ酸などの腐植物質
- 微生物
- 微量元素、ビタミン類
- キチン、キトサン、多糖類
- 植物、動物、微生物などから得られる抽出物
これらは原料・素材の分類です。
「海藻だから高温に効く」「微生物だから根が増える」と原料名だけから効果を決めることはできません。
製品ごとの組成、濃度、施用方法、対象作物、試験結果を確認します。
期待される作用
バイオスティミュラントでは、
作物が利用できる養分の増加、
養分の吸収・利用効率の改善、
高温、乾燥、塩類などの非生物的ストレスへの対応などが対象になります。
これらの結果として、
生育、収量、品質などの改善につながる場合があります。
効果の有無や程度は、
作物、品種、生育段階、栽培環境、施用量、施用時期などによって変わります。
肥料との違い
肥料は、
作物に必要な養分を供給することなどを目的として使用されます。
バイオスティミュラントとして評価される作用は、
単純な養分供給量とは別に考えます。
肥料登録・届出された製品が、
バイオスティミュラントとして評価される作用を併せ持つこともあります。
したがって、
肥料とバイオスティミュラントを完全に別の資材群として分けることはできません。
農薬・植物成長調整剤との違い
病害虫や雑草の防除などを目的とする作用は、
農薬との区分を確認する必要があります。
高温や乾燥などの非生物的ストレスと、
病原菌や害虫などによる生物的ストレスは分けて考えます。
また、
植物の生理機能を促進または抑制する植物成長調整剤として農薬に該当する作用については、
その作用をバイオスティミュラント作用として置き換えて扱うことは適切ではありません。
効果の確認方法
「バイオスティミュラント」と表示されていること自体は、
すべての作物、作型、環境で効果が得られることを意味しません。
対象作物、使用量、希釈倍率、施用時期、施用回数、
試験条件、無処理区との差、
効果が得られにくい条件などを確認します。
試験結果を見る場合は、
比較対象が設定されているか、
測定値によって効果が示されているかも確認します。
施設園芸での考え方
例えば夏季の施設栽培で生育が低下した場合、
最初に
高温障害、
環境制御、
灌水、
EC、
飽差
などを確認します。
換気不足、根域の高温、灌水不足、高ECなどが主因なら、
バイオスティミュラントだけで解決することはできません。
基本的な栽培管理を補完する資材として考えるのが適切です。
使用する場合は、
自園で問題となっているストレスと、
製品で効果が確認されている条件が一致するかを確認します。
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