特殊品 糸入り・遮光・着色品(農ビ)

特殊品 糸入り・遮光・着色品(農ビ)

機能性・特殊品 糸入り・遮光・着色・光質調整(農ビ)とは

機能性・特殊品(農ビ)とは、
一般的な透明農ビとは異なり、
引裂きへの抵抗性、遮光、光質調整、散乱光、UVカットなど、
特定の用途や栽培目的に合わせた機能を持たせた農業用ビニールです。

この分類には性質の異なる製品が含まれます。
糸を補強材として組み込んだ糸入り農ビ、
光量を減らす遮光農ビ、
特定の波長域の透過を調整する着色・光質調整農ビ、
光を拡散させる散乱光農ビ、
近紫外線域を抑えるUVカット農ビなどがあります。

「色が付いている=遮光」「特殊品=高耐久」という意味ではありません。
光量、波長特性、耐久性、強度は別々に確認します。

糸入り農ビ

糸入り農ビは、フィルム内部などに補強用の糸を配置し、
引裂きが発生した場合に破れが広がりにくいようにした農ビです。
妻面、天窓、サイドなど、局部的に強度が求められる場所で利用されてきました。

糸入りだから長期展張できるとは限りません。
糸による補強は主に引裂きへの抵抗性に関係し、
紫外線や熱などによるフィルム本体の経年劣化を防ぐ機能とは別です。
使用可能期間は製品の耐候設計、施工部位、気象条件などで変わります。

また、「農ビは他の農業用フィルムより穴が広がりやすいから糸を入れる」
という一般化も適切ではありません。
引裂きの発生・進展は材質だけでなく、
厚さ、配合、補強構造、傷の位置、張力、風荷重、部材との擦れなどに左右されます。

糸入り農ビは複数素材で構成される場合があるため、
地域の農業用廃プラスチック回収で通常の農ビと同じ扱いができないことがあります。
回収区分を確認してから排出してください。

遮光農ビ

遮光農ビは、ハウス内へ入る太陽光の一部を遮るための農ビです。
強い日射による葉焼け・果実焼けの軽減、
高温期の栽培環境改善、育苗、キノコ栽培など、
製品の遮光特性に応じた用途があります。

遮光率は作物名だけで決められません。
作物の生育段階、季節、地域、外部日射量、
遮光する時間帯、外張り・内張りなどの設置位置、
換気条件を含めて判断します。

遮光しすぎれば光合成に使える光も減ります。
遮光率を高くすれば栽培環境が良くなるという考え方は誤りです。
作物が必要とする光量を確保しながら過剰な日射を抑える必要があります。

遮光と遮熱は同じではない

遮光は主に入射する光量を減らすこと、
遮熱は施設内へ入る熱負荷を抑えることを目的とします。
遮光性と遮熱性を併せ持つ製品もありますが、
遮光率だけから温度低下効果を判断することはできません。

反射、吸収、透過の特性や設置位置、換気量などによって、
同じ程度の遮光率でもハウス内温度への影響は変わります。

遮光と電照栽培を混同しない

遮光フィルムによる日長操作と光周性を利用した電照は、
どちらも開花調節に使われる場合がありますが、同じ操作ではありません。

例えば短日植物のキクでは、
夜間に光を与える電照によって長日条件をつくり、
花芽分化を抑制する栽培があります。
これに対してシェードによる短日処理では、
外光を遮って連続した暗期を確保し、花芽分化・開花を進めます。

「遮光フィルムは電照栽培に適した資材」という説明は不正確です。
電照と遮光・シェードは、目的と作型に応じて使い分けます。

着色・光質調整農ビ

着色農ビには、単に光量を減らすのではなく、
透過する光の波長構成を変えることを目的とした製品があります。
青色、赤色、黄緑色、近紫外線などの透過特性を調整し、
作物の生育、形態、着色などへの作用を利用します。

例えばブルー着色農ビには、
黄緑色波長帯の透過を抑えながら青色・赤色光線の透過特性を調整し、
水稲育苗や軟弱野菜などを対象とする製品があります。

着色しているからといって、一般的な「遮光資材」と同じ作用をするわけではありません。
色ではなく、メーカーが示す分光透過特性と対象作物を確認します。

散乱光農ビ

散乱光農ビは、入射した太陽光の一部を多方向へ拡散させる農ビです。
直射光を単純に遮る遮光資材とは機能が異なります。

葉群内部、連棟ハウスの谷部、ハウス北側などへ光が届きやすくなり、
生育や果実着色のばらつき、葉焼け・果実焼けの軽減が期待される製品があります。

散乱光が多ければ常に有利とは限りません。
曇天が続く条件では、透明農ビとの違いが作物生育へ現れる場合があります。
作物、地域、作型に合った製品を選びます。

UVカット農ビ

UVカット農ビは、近紫外線域の透過を抑える機能を持つ農ビです。
製品によってはアザミウマ類、アブラムシ類、コナジラミ類などの活動や侵入、
灰色かび病などの発生を抑制する目的で利用されます。

殺虫・殺菌するフィルムではありません。
通常の病害虫管理は必要です。

紫外線は作物の着色や訪花昆虫の行動にも関係します。
製品によってはイチゴ、ナス、一部花き、
ミツバチを利用する栽培に使用できません。
マルハナバチについても製品と飼養条件を確認してください。

機能性・特殊農ビを選ぶポイント

  • 目的:補強、遮光、遮熱、光質調整、散乱光、UVカットなど、必要な機能を明確にする。
  • 対象作物:作物だけでなく、生育段階と作型まで確認する。
  • 光の特性:遮光率だけでなく、透過率、散乱性、波長特性を確認する。
  • 使用部位:外張り、内張り、妻面、サイド、育苗被覆などメーカー指定用途を守る。
  • 受粉方法:UVカット品ではミツバチ・マルハナバチなどへの適否を確認する。
  • 廃棄方法:糸入りや複合フィルムでは地域の回収区分を事前に確認する。

機能性・特殊品(農ビ)取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名・製品群用途分類特徴・注意点
タキロンシーアイ株式会社ハイメタリックシルバー遮光・遮熱農ビ外張り・内張り用。遮光性・遮熱性を持ち、防滴(練込)仕様。厚さ0.075・0.1mm。遮光による高温抑制と夜間の放熱抑制を目的とする。
アキレス株式会社ノンキリー青・青ブルー着色・光質調整農ビ野菜・水稲育苗向け外張り用。黄緑色波長帯を抑え、青色・赤色光線の透過特性を調整。近紫外線の一部もカットする。厚さ0.1mm。イチゴ・ナス・ミツバチ利用栽培には不向き。受注生産。
アキレス株式会社ノンキリーとおしま線UVカット・光質調整農ビ380nm以下の紫外線透過を抑制する外張り用農ビ。防霧滴透明。厚さ0.075・0.1mm。特注・受注生産。イチゴ・ナス・ミツバチ利用栽培には使用しない。
MKVアドバンス株式会社SUNRUN散乱光農ビ全光線透過量を大きく減らすことを目的とせず、入射光の一部を散乱光化。葉・果実焼け、生育・着色のばらつき軽減を目的とする。厚さ0.075・0.1mm。地域限定販売品のため最新の販売地域をメーカーへ確認。
MKVアドバンス株式会社ブルーキリカット光質調整農ビ透過する太陽光線を調整し、青色光を利用した生育・早穫り等を目的とする機能性農ビ。防霧・無滴・透明、厚さ0.1mm。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。
MKVアドバンス株式会社カットエースONUVカット農ビ380nm以下の紫外線をカットする外張り・内張り用農ビ。防霧・無滴・透明。厚さ0.075・0.1mm。ナス・ミツバチ利用栽培には使用不可。マルハナバチは供給元の使用条件を確認。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。
MKVアドバンス株式会社カットエース・クリーンだいちUVカット・防塵農ビUVカット機能と防塵性を組み合わせた外張り用農ビ。防霧・無滴・透明、厚さ0.1mm。ナス・ミツバチ利用栽培には使用不可。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。

販売終了した主な糸入り農ビ

以下は、MKVアドバンス株式会社が過去に販売していた糸入り強化農ビです。
同社公式情報で販売終了が確認されています。
既設施設の資材確認や旧製品名を調べるための参考として掲載します。

メーカー 製品名 主な特徴 販売状況
MKVアドバンス株式会社 ウェーブロックムテキ 糸入り強化農ビ。引裂きに強く、破れが広がりにくいタイプ 2024年販売終了
MKVアドバンス株式会社 ウェーブロッククリーン 防塵機能を持たせた糸入り強化農ビ 2025年販売終了
MKVアドバンス株式会社 ウェーブロックムテキ 梨地 糸入り強化農ビの梨地タイプ 2025年販売終了

※販売終了製品の仕様は販売当時の情報です。
現在使用できる代替資材については、メーカーまたは農業資材販売店へ確認してください。

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