汎用・一般品(農PO)とは
汎用・一般品(農PO)とは、
農業用ポリオレフィン系フィルム(農PO)のうち、
メーカーが幅広い用途で使用できる標準的な製品として設定している
被覆資材です。
製品によって、外張り、内張り、サイド、トンネルなど対応する用途が異なります。
「汎用」「一般品」「標準品」などの呼び方に統一された業界区分があるわけではありません。
また、汎用品だから一定年数で張り替える、長期展張品ではないから短期間しか使用できない、
という一律の判断もできません。
用途と展張条件は製品ごとのメーカー表示を優先します。
汎用農POには、透明性、強度、保温性、
防滴(無滴・流滴)、
防霧などを組み合わせた製品があります。
防滴剤をフィルムへ練り込んだタイプと、
フィルム内面へ塗布したタイプがあり、性能の発現方法や持続性も同じではありません。

汎用農POを選ぶときの確認点
外張り・内張りなどの対応用途を確認する
同じ汎用農POでも、外張りから内張り、サイド、トンネルまで使用できる製品がある一方、
用途が限定されている製品もあります。
たとえば内張りカーテンでは、フィルム上に結露水がたまる「水たまり」を避けるため、
水抜き孔を設けた専用品があります。
外張り用の標準品を、そのまま内張り専用品と同じ用途へ使用できるとは限りません。
防滴方式と防霧性能を確認する
農POの防滴には、
防滴剤を樹脂へ練り込む方式と、フィルム内面へコーティングする方式があります。
塗布型では、防滴処理面を強くこすったり傷付けたりすると性能が低下する場合があります。
防霧は、ハウス内の空気中に発生する霧やモヤを抑える性能です。
防滴とは役割が異なります。
いずれも高湿度や結露そのものをなくす機能ではありません。
広幅でも中継ぎの有無を製品ごとに確認する
農POには、幅1000cm前後まで規格化された広幅製品があります。
必要な展張幅が原反や加工可能幅の範囲内であれば、
中継ぎせずに加工できる場合があります。
「農POなら中継ぎ加工が不要」とは限りません。
最大幅は製品、厚さ、原反規格によって異なり、
必要寸法が規格を超える場合は中継ぎ加工や別の施工方法が必要になります。
加工寸法はハウスの間口だけでは決まりません。
屋根のアーチ長、肩高、フィルムの固定位置、裾部、施工方法などを含めて、
使用する製品に合わせて農業資材販売店や加工所へ確認してください。
汎用・一般品(農PO)取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名・製品群 | 用途分類 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| タキロンシーアイ株式会社 | コーティング5+1 | 外張り・内張り・サイド | 汎用塗布型農PO。透明・防霧・防滴塗布型。厚さ0.075・0.1mm。幅は製品規格上最大1000cm。表裏指定あり。 |
| タキロンシーアイ株式会社 | コーティング5+1UV | 外張り・内張り・サイド | 近紫外線カットタイプの汎用塗布型農PO。厚さ0.1mm。ナス、一部の花、ミツバチを利用する栽培には使用を避けるようメーカーが指定。殺虫・殺菌資材ではない。 |
| タキロンシーアイ株式会社 | スカイコート | 外張り・内張り・サイド・トンネル | 汎用練込型農PO。透明・防霧・防滴。厚さ0.05・0.075・0.1mm。用途と厚さにより加工可能幅が異なる。 |
| タキロンシーアイ株式会社 | アグリトップ | 外張り・内張り・サイド・トンネル | JAブランドの汎用練込型農PO。透明・防霧・防滴。厚さ0.05・0.075・0.1mm。厚さによって規格幅が異なる。 |
| タキロンシーアイ株式会社 | アグリトップ散ライト | 外張り・内張り・サイド | 散乱光塗布型農PO。厚さ0.075・0.1mm。防霧・防滴。受注生産。 |
| アキレス株式会社 | ハイベールEX | 外張り・内張り・トンネル | 防滴剤練込型の汎用農PO。透明性・保温性・強度・柔軟性を備える。現行公式規格は厚さ0.075・0.1mm。地域限定品。 |
| 昭和パックス株式会社 | ハイクリアー・フルーツ物語 | 雨よけ・外張り等 | 強度・耐久性・耐熱性・透明性を重視した農PO。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 昭和パックス株式会社 | ニューサリーズ | 雨よけ等 | さくらんぼ雨よけ用途などで流通実績のある製品。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 北越化成株式会社 | ニューウルトラ複合フィルム | 内張り・雨よけ等 | 多層構造による強度・耐久性、作業性、流滴性を備え、内張りカーテンや雨よけなどに使用可能。 |
| 日新化学工業株式会社 | テクノセン光 | ハウス被覆等 | PO系三層特殊フィルム。防塵性・透明性・口開き性・耐候性を重視。現行公式ページ記載の厚さは0.05・0.07・0.1mm。別注対応あり。 |
| 住化積水フィルム株式会社 | ベジタロンNEXT | パイプハウス・内張り等 | 練込み型の汎用農PO。高透明・柔軟・高強度、防霧・保温性能を備える。厚さ0.05・0.075・0.1mm。表裏指定あり。 |
| MKVアドバンス株式会社 | アグリスター/イースター/イースターUVカット/アグリスカット/ソルーチェ | 外張り等 | 塗布無滴型を中心とする現行農PO製品群。透明、UVカット、紫外線透過など製品ごとに機能が異なる。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| オカモト株式会社 | クリーンソフト ゴリラ | 外張り・内張り・トンネル等 | 汎用練込型農PO。保温性・無水滴性・防塵性、ベタつきの少なさを重視。厚さ0.05・0.075・0.1・0.15mmで、0.05・0.15mmは地域限定品。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
内張り・特殊用途(農PO)取り扱いメーカー・代理店
汎用農POと同系統の材料を使用しながら、
内張りカーテン、水抜き、高保温など特定用途へ機能を持たせた製品があります。
一般的な外張り用汎用品とは用途が異なるため、分けて掲載します。
| 製造・発売元 | 製品名・製品群 | 用途分類 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| 繩甚協立株式会社 | ホッカーテンプラス1 | 二重膜・内張り保温システム | 常時送風で二重膜間に空気層を形成する保温システム。一般的な単層汎用農POそのものではないため特殊用途として掲載。24時間連続送風を前提とする。 |
| タキロンシーアイ株式会社 | スカイコート 有孔 | 内張り | 水抜き孔を設けた汎用練込型農PO。フィルム上の水たまりを防ぎ、水抜き作業を軽減。厚さ0.05・0.075mm。 |
| タキロンシーアイ株式会社 | スカイコート エアプラス | 内張り・サイド | 独立気泡型農PO。空気層による断熱性を利用した高保温タイプ。厚さ約0.2mm。一般汎用品とは構造・用途が異なる。 |
| 住化積水フィルム株式会社 | ベジタロン水抜きカーテン | 内張りカーテン | ベジタロンNEXT系の有孔タイプ。内張り上に水たまりができにくい水抜き仕様。 |
| みかど化工株式会社 | みかど長寿シリーズ | 内張りカーテン | 練込型農PO。内張りカーテン用として設定。通常品と水抜き孔加工品をラインアップ。 |
| みかど化工株式会社 | みかど長寿水抜き | 内張りカーテン | 水抜き孔加工を施した内張り用農PO。金魚鉢現象対策を目的とする。 |
| オカモト株式会社 | サンピエラ7カーテン | 内張りカーテン | 遮熱・散乱光機能を持つサンピエラ7クールに水抜き孔を設けた内張りカーテン用。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
使用上の注意点
農ビから農POへ変更するときは加工寸法を取り直す
農業用ビニール(農ビ)と農POでは、
フィルムの伸び方、温度による伸縮、適切な展張方法が異なります。
以前使用していた農ビの加工寸法を、そのまま農POへ流用すると、
寸法不足や余り、固定位置のずれが生じることがあります。
自己判断で「少し長めにしておけばよい」と寸法を増やす方法も適切ではありません。
ハウス寸法、製品名、固定位置、展張方法を販売店や加工所へ伝え、
使用する製品に合わせて加工寸法を決めます。
張り方は製品の施工指示を優先する
農POには、しわやたるみを取る程度に軽く引っ張って展張するよう指定された製品があります。
温度による伸縮を考慮して季節ごとの張り方を指定するメーカーもあります。
「農POは強く張る」「農POは緩く張る」と一律に決めないでください。
使用する製品の施工説明を優先します。
ハウスバンドや骨材との摩擦に注意する
農POには引張強度や引裂強度に優れた製品がありますが、
継続的な摩擦に強いという意味ではありません。
ハウスバンド、
骨材、スプリングなどとの接触部でフィルムがこすれると、
局部的な傷から破損することがあります。
農PO対応の固定資材を使用し、
フィルム止めレールやスプリングを含め、
メーカーが指定する施工方法を確認してください。
フィルムの表裏を間違えない
農POには表裏が指定されている製品があります。
特に防滴剤を塗布した製品では、処理面をハウス内側へ向ける必要があります。
製品に印刷された文字やメーカーの施工説明を確認して展張します。
塗布面を傷付けない
塗布型農POの防滴処理面を地面や骨材の上で引きずったり、
強くこすったりすると、塗布層が傷付き防滴性能が低下することがあります。
濡れた状態で巻き上げたり、重ねたまま保管すると、
フィルム同士が付着する場合もあります。
硫黄燻蒸・硫黄系薬剤などの影響を確認する
農POの中には、硫黄燻蒸、硫黄を含む農薬、
塩素系薬剤などの付着によって劣化が促進される製品があります。
耐硫黄性を高めた製品もあるため、農PO全体を同じ条件で扱うことはできません。
硫黄燻蒸や硫黄系薬剤を使用する栽培では、
使用するフィルムのメーカー資料で薬剤との適合性と使用条件を確認してください。