中・長期品(農PO)

中・長期品(農PO)

農業用ポリオレフィン(農PO)の中・長期展張品とは

農PO(農業用ポリオレフィン系フィルム)には、
外張り用を中心に、耐候性や強度、防滴性能などを高め、
中期・長期の連続展張を想定した製品があります。

中・長期展張品には、ハウス内側となる面に防滴剤をコーティングした塗布型製品が多くあります。
塗布面では結露水を大きな水滴として落下させにくくし、フィルム面に沿って流れやすくすることで、
作物への水滴落下や光線透過の低下を抑えます。

防滴と防霧は同じ性能ではありません。
防滴はフィルム内面に付着した結露水を膜状に広げて流しやすくする性能、
防霧はハウス内にキリやモヤが発生しにくくなるようにする性能です。
製品によって備える機能と持続期間が異なります。

フィルムの耐久期間と、防滴・防霧など各機能の持続期間は分けて考えてください。
長期展張品だからといって、すべての機能がフィルム交換時まで同じ水準で維持されるとは限りません。

「中期」「長期」は一律の年数区分ではない

農POの「中期展張」「長期展張」は、すべてのメーカーに共通する統一された年数区分ではありません。
メーカーは製品ごとに「中期展張用」「長期展張用」「5年耐久」「8年連続展張」などの表現を用いています。

例えばMKVアドバンスのスーパーダイヤスターは「8年連続展張」を掲げています。
これは農PO全般が8年間使用できるという意味ではありません。
地域、紫外線量、気象条件、ハウス構造、固定方法、風によるばたつき、
薬剤や硫黄成分の影響などによって耐用期間は変わります。

メーカー表示の年数を、無条件の保証年数として扱わないでください。
製品ごとの使用条件と注意事項を確認します。

フィルム止めレールとスプリングで固定できる製品が多い

農POは軟質フィルムで、
フィルム止めレールとスプリングを使用して固定できる製品が多くあります。

問題になりやすいのは固定できるかどうかではなく、固定部での摩擦です。
スプリング、骨材、ハウスバンドとの接触部でフィルムがこすれると、
局部的に傷が入り、そこから破損することがあります。
製品によっては被覆スプリングや専用補助部材が指定されています。

広幅製品でも中継ぎの有無は製品ごとに確認する

農POには10m前後まで中継ぎなしで加工できる製品があります。
住化積水フィルムの複数の塗布型農POでは1000cm幅までの規格が設定され、
1000cmを超える幅は中継ぎ対応とされています。

日新化学工業の「テクノセン光」では、
0.15mm厚で最大12m幅まで中継ぎ加工なしで製造できると案内されています。
これは製品固有の仕様です。

「農POなら中継ぎ不要」と判断してはいけません。
必要な展張幅、厚さ、原反幅、加工方法を確認し、販売店や加工所へ寸法を指定してください。

中・長期品(農PO)取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名・製品群展張区分特徴・注意点
オカモト株式会社
取扱先:ファーマーズサポートネット
POクール ALL SEASON関連機能品(現行公式ページで中期・長期の区分表記は確認できず)赤外線の透過を抑え、夏季の昇温抑制と冬季の保温を目的とした塗布型農PO。厚さ0.075・0.1・0.15mm。製造元はオカモト株式会社。
タキロンシーアイ株式会社バツグン5長期型0.15mm。透明・防霧・防滴塗布型。耐農薬性・耐硫黄性を高めた製品。硫黄・塩素系農薬などの酸性物質で劣化が促進する場合がある。
タキロンシーアイ株式会社カゲナシ5長期型散乱光・防霧・防滴塗布型。厚さ0.1・0.15mm。従来表の0.15mmのみという記載は修正。
タキロンシーアイ株式会社バツグン5UV長期型0.15mm。380nm以下の近紫外線領域をカットする防霧・防滴塗布型。ナス・一部の花・ミツバチを利用する栽培は避けるようメーカーが明記。
タキロンシーアイ株式会社サンサクシアキング長期型長期展張塗布型農PO。耐候剤により硫黄系農薬による劣化を軽減。現行公式ページでは厚さの規格値を確認できないため、厚さはメーカーへ確認。
アキレス株式会社ハイベールコート50+/75+/100+中期展張用特殊防滴コーティング。厚さ0.05・0.075・0.1mm。50+は九州地区限定品。現行公式製品ページでは130を中・長期ラインアップに掲載していない。
アキレス株式会社ハイベールコート150長期展張用0.15mm。特殊防滴コーティング、防霧、透明、保温性。地域・規格は注文時に確認。
MKVアドバンス株式会社スーパーダイヤスター8年連続展張耐久無滴農PO。現行メーカー表示は「8年連続展張」。地域、ハウス構造、気象条件によって耐用年数が短くなる場合がある。「10年展張可能」という旧表記は削除。
MKVアドバンス株式会社ダイヤスター耐久無滴農PO0.15mm。透明・塗布無滴。耐硫黄性を向上しているが効果は完全ではなく、硫黄燻蒸・硫黄系農薬はできるだけ避けるようメーカーが案内。
MKVアドバンス株式会社ダイヤスターUVカット5年耐久外張り・塗布無滴。380nm以下の紫外線域をカット。ナス栽培やミツバチ利用栽培には使用できない旨の注意がある。
MKVアドバンス株式会社美サンランスーパーダイヤスター耐久散乱光農PO散乱光タイプの塗布無滴農PO。現行公式製品一覧・カタログ掲載を確認。
住化積水フィルム株式会社花野果®蒼天
花野果®蒼天UVロング
花野果®SUN-X「サンクロス」
長期展張用いずれも0.15mmの塗布型農PO。蒼天は透明、UVロングは380nm以下UVカット、サンクロスは散乱光・梨地タイプ。
住化積水フィルム株式会社健野果®蒼天
伸野果®
伸野果SUN-X
伸野果® UV CUT
中期展張用健野果蒼天は0.13mm。伸野果系は中期展張用として現行掲載。SUN-Xは散乱光、UV CUTは紫外線カットタイプ。
みかど化工株式会社スーパーシャイン
ソフトシャイン
UVシャイン
外張り長期展張用現行スーパーシャインシリーズ。スーパーシャインは透明、ソフトシャインは散乱光、UVシャインはUVカット。いずれも0.15mm。旧ソフトソーラーBD・UVソーラーBDから現行ラインアップへ更新。
オカモト株式会社TETSUJIN/TETSUJIN UVC長期展張0.15mm。耐久性・無水滴性・防霧・透明性・耐硫黄性を備えた外張り用。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。
オカモト株式会社クリーンソフト コートNew/コートNew UVC中期展張0.13mm。塗布型の中期外張り用。UVCは紫外線カットタイプ。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。

使用上の注意点

農ビから農POへ変更する場合は加工寸法を取り直す

農ビと農POでは、伸び方、温度による伸縮、適切な展張方法が異なります。
以前使用していた農ビの加工寸法をそのまま農POへ流用すると、
寸法不足や余り、固定位置のずれが生じることがあります。

自己判断で「少し長めにしておけばよい」と寸法を加える方法も適切ではありません。
ハウス寸法、フィルムの製品名、固定位置、展張方法を販売店や加工所へ伝え、
使用する製品に合わせて加工寸法を決めます。

張力は「農POだから強く張る」と一律に決めない

展張時の張り方は製品によって指示が異なります。
例えば住化積水フィルムは一部製品について、
夏場はたるみが出ない程度にゆるく、冬場は夏季の伸びを見込んで強めに張るよう案内しています。
タキロンシーアイでは、しわやたるみを伸ばす程度に軽く引っ張るよう案内する製品があります。

つまり「農POは強く張る」「農POは緩く張る」という施工基準は成立しません。
使用する製品の施工指示を優先してください。

摩擦による破損を防ぐ

農POは継続的な摩擦で傷付きます。
特にハウスバンドを強く締めた部分、
スプリング端部、骨材との接触部、風でばたつく部分は破損の起点になりやすい場所です。

農ビ用ハウスバンドとの組み合わせを避けるよう指定している製品もあります。
農PO対応の固定資材や被覆スプリング、メーカー指定の補助部材を使用してください。

塗布面を傷付けない・濡れたまま巻かない

塗布型農POのハウス内面側を強くこすると、塗布層が欠落して
防滴性能が低下することがあります。
展張時に地面や骨材の上を引きずらないでください。

濡れた状態で巻き上げたり、たくし上げたまま長期間重ねたりすると、
フィルム同士が貼り付く製品があります。
乾燥させてから巻き上げ・保管します。

土壌熱消毒などでハウス内が高温になる場合や、絞り加工を行った場合に
防滴性能が低下する製品もあります。
「塗布型だから防滴性能が一定」とは考えないでください。

硫黄燻蒸・硫黄系農薬・塩素系薬剤に注意する

硫黄燻蒸、硫黄系農薬、
製品によっては塩素系薬剤などの影響で農POの劣化が早まることがあります。
近隣圃場で使用された硫黄系薬剤の影響について注意を求めるメーカーもあります。

耐硫黄性を高めた製品もあります。
「耐硫黄」は、硫黄燻蒸や硫黄系農薬を自由に使用できるという意味ではありません。
耐硫黄性をうたう製品でも、硫黄燻蒸や硫黄系薬剤の使用を避けるよう案内されている場合があります。

UVカット品は作物と訪花昆虫への影響を確認する

UVカット農POには、近紫外線を減らすことでアザミウマ類、アブラムシ類、
コナジラミ類などの侵入・活動や、一部病害の発生を抑制することを目的とした製品があります。
これは農薬のような殺虫・殺菌作用ではありません。
必要な薬剤散布や防除を省略する根拠にはなりません。

製品によっては、ナス、一部の花き、ミツバチを利用する栽培への使用を避ける、
または適さない場合があると明記されています。
訪花昆虫を導入しているハウスでは、
フィルムとハチの双方のメーカー情報を確認してください。

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