テンションメーターとは
テンションメーター(tensiometer)とは、
土壌中に含まれる水分量そのものではなく、
土壌が水を保持している強さである土壌水分張力を測定する機器です。
作物の根が水を吸収する際の土壌側の水分状態を把握し、
灌水・かん水の時期を判断するために利用されます。
一般的なテンションメーターは、
土中に埋設する多孔質のポーラスカップ、
水を満たした管、
内部の負圧を測定する圧力計または圧力センサーなどで構成されています。
土壌が乾燥すると、ポーラスカップを通して内部の水が土壌側へ引かれ、
管内部の圧力が低下します。
その負圧を測定することで、土壌が水をどの程度強く保持しているかを把握します。
表示単位にはkPaやcbarなどが使用されます。
土壌水分計との違い
「テンションメーター」と「土壌水分計」は同義語ではありません。
土壌水分計は土壌の水分状態を測定する機器の総称であり、
TDR、TDT、ADR、FDR、静電容量式などによって体積含水率を測定・推定する機器も含まれます。
体積含水率を測定する土壌水分計が
「土壌中にどの程度の水が存在するか」を示すのに対し、
テンションメーターは
「土壌がその水をどの程度強く保持しているか」を示します。
そのため、テンションメーターの測定値から体積含水率を求める場合には、
対象となる土壌の水分特性を把握する必要があります。
同じ土壌水分張力であっても、砂質土、壌土、粘土質土などでは含まれる水分量が異なります。
pFメーターとの関係
pFは、土壌水の吸引圧を水柱の高さ(cm)で表し、
その常用対数をとった値です。
一般にpF値が大きくなるほど、土壌が水を強く保持しており、
作物から見れば乾燥側の状態になります。
農業用のpFメーターにはテンションメーターと同じ原理を利用し、
測定した土壌水分張力をpF値として表示する機器があります。
そのため「pFメーター」と「テンションメーター」が近い意味で扱われることがありますが、
表示方法や測定範囲は機種によって異なります。
テンションメーターの測定範囲
テンションメーターは、比較的湿潤な土壌の水分管理に適した測定方法です。
土壌が強く乾燥すると、ポーラスカップや管内に空気が入り、
土壌水分張力を正常に測定できなくなります。
実用的な測定上限は機種によって異なりますが、
一般的なテンションメーターではおおむねpF2.7~2.8程度までが測定可能な範囲となります。
それ以上の乾燥域を測定する場合は、
水ポテンシャルセンサーなど別方式の測定機器を検討します。
農業での利用
テンションメーターは、施設野菜、露地野菜、果樹、花きなどの栽培で、
根域の水分状態を確認し、灌水開始時期を判断するために利用されます。
圧力センサー式の機器では、
データロガーによる連続記録や、
環境制御システムと組み合わせた自動灌水にも利用できます。
ただし、灌水を開始するpF値や土壌水分張力には、
すべての作物に共通する基準値はありません。
作物、品種、生育ステージ、土性、根域、作型、灌水方法、
日射量や蒸散の状況などによって適正値は変わります。
実際の作物の生育と併せて管理基準を設定する必要があります。
設置・管理上の注意点
- ポーラスカップを土壌へ密着させる:カップと土壌の間に空隙があると、正しい土壌水分張力を測定できません。
- 測定深度を根域に合わせる:表層だけでなく、作物が実際に吸水している深さを考慮して設置します。
- 圃場内のばらつきを考慮する:1地点だけで圃場全体を代表させず、必要に応じて複数地点へ設置します。
- 内部の水と気泡を確認する:水不足、気泡、漏れがあると測定誤差や測定不能の原因になります。
- 乾燥しすぎた状態では使用限界がある:測定可能範囲を超えた場合は、表示値をそのまま信用せず、別方式の測定を検討します。
- 凍結に注意する:内部に水を使用するため、凍結する環境では破損する可能性があります。
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