体積含水率(たいせきがんすいりつ)

体積含水率とは

体積含水率(たいせきがんすいりつ、Volumetric Water Content:VWC)とは、
一定体積の土壌や培地の中に、どれだけの体積の水が含まれているかを表す指標です。

一般にm³/m³または%で表します。
例えば体積含水率0.30m³/m³は、土壌全体の体積の30%に相当する水が存在することを意味します。

農業では、土壌や培地の乾燥・湿潤状態を数値化し、
灌水・かん水の管理や
環境制御に利用されます。

体積含水率の計算

体積含水率は、次の関係で表されます。

体積含水率 θv = 水の体積 Vw ÷ 土壌または培地全体の体積 Vt

例えば、100cm³の土壌中に30cm³の水が含まれていれば、
体積含水率は0.30cm³/cm³、または30%となります。

重量含水率との違い

「含水率」という名称だけでは、何を基準にした数値なのか判断できない場合があります。
特に体積含水率と重量含水率は区別する必要があります。

体積含水率は、土壌全体の体積を基準として水分量を示します。
一方、重量含水率は一般に、乾燥土壌の質量に対する水の質量の割合として表します。

両者は同じ数値ではありません。
重量含水率から体積含水率へ換算する場合には、
土壌の乾燥密度(仮比重・容積重)などの情報が必要になります。

pF値との違い

pF値と体積含水率も異なる指標です。

体積含水率が「どれだけ水が存在するか」を示すのに対し、
pF値は「その水が土壌にどれだけ強く保持されているか」を示します。

例えば、砂質土と粘土質土が同じ体積含水率であっても、
水の保持状態や作物が利用できる水分量は同じとは限りません。
反対に同じpF値であっても、土壌によって体積含水率は異なります。

このため、土壌ごとにpF値と体積含水率の関係を示した
pF-水分曲線または土壌水分特性曲線を利用して評価します。

体積含水率の測定方法

体積含水率を測定する方法には、土壌試料を採取して乾燥・秤量する方法のほか、
TDR、TDT、ADR、FDR、静電容量式など、土壌の誘電特性を利用する土壌水分センサーがあります。

水の比誘電率は土粒子や空気と比較して非常に大きいため、
土壌中の水分が増えると土壌全体の誘電特性も変化します。
誘電式土壌水分計はこの性質を利用して体積含水率を測定・推定します。

センサーをデータロガーへ接続することで、
土壌水分の変化を連続的に記録できます。
また、施設園芸では環境制御装置や自動灌水装置と組み合わせて利用されることがあります。

測定値に影響する条件

誘電式土壌水分センサーの測定値は、
土壌や培地の種類、かさ密度、塩類濃度、温度、センサー周囲の空隙、
設置状態などの影響を受ける場合があります。

特に、メーカーの標準校正式が使用する土壌・培地に適合しない場合、
表示された体積含水率と実際の含水量に差が生じる可能性があります。
精密な水分管理を行う場合には、
対象となる土壌・培地に合わせて校正することが重要です。

体積含水率と灌水管理

体積含水率を継続的に測定すると、
灌水後の水分上昇、作物の吸水や蒸散による水分低下、
排水による水分変化などを把握できます。

このため、施設園芸、露地栽培、果樹栽培、
固形培地を使用する養液栽培などで、
灌水量や灌水間隔を検討するための指標として利用できます。

ただし、「体積含水率○%なら適湿」という共通基準はありません。
適正な体積含水率は、土壌・培地の種類、作物、根域、生育ステージ、
灌水方法、排水性などによって大きく異なります。

また、センサーを1か所に設置しただけでは、
圃場や栽培ベッド全体の水分状態を代表しているとは限りません。
点滴灌水などでは、吐出口からの距離や深さによって体積含水率が大きく異なる場合があります。
測定位置と測定深度は根域や灌水方式に合わせて設定する必要があります。

体積含水率を見る際の注意点

体積含水率は土壌・培地に存在する水の「量」を把握するために有用ですが、
その水を作物がどの程度容易に吸収できるかを、体積含水率だけで判断することはできません。

作物の水分管理では、
pF値や土壌水分張力、
土壌・培地の水分特性、根の状態、日射や蒸散なども含めて総合的に判断する必要があります。

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