イチゴ栽培システムとは
イチゴ栽培システムとは、イチゴの本圃栽培に使用する
栽培槽、架台、培地、灌水・かん水設備、
施肥・給液設備などを組み合わせた栽培設備です。
施設栽培では、栽培槽を地面から持ち上げて設置する高設栽培システムが広く利用されています。
高設化すると、収穫、摘葉、芽かきなどを立った姿勢に近い状態で行いやすくなり、
土耕栽培で負担になりやすい中腰・しゃがみ姿勢を減らせます。
栽培槽を圃場土壌から分離できることも特徴です。
高設栽培と養液栽培は同義ではありません。
高設栽培は主に栽培位置や架台構造を表し、養液栽培は根域への水・養分供給方法を表します。
高設栽培には、培土やヤシ殻培地などを使用して
培養液を給液する方式のほか、
培地量を多く確保する方式や緩効性肥料を組み合わせる方式などがあります。
イチゴ高設栽培システムの主な方式
固定式高設栽培
栽培槽を一定の高さに固定する一般的な方式です。
構造が比較的単純で、作業高さや通路幅を栽培者や施設条件に合わせて設計できます。
栽培槽の材質、培地量、排水構造、給液方式は製品によって大きく異なります。
同じ「高設栽培」でも根域環境は同じではありません。
可動式高設栽培
栽培ベッドを横方向などへ移動させ、必要な場所だけに作業通路を確保する方式です。
固定式より施設内の栽培スペースを増やせる製品があります。
栽植株数を増やせることは利点ですが、可動機構、給液配管、作業動線、保守性まで含めて評価する必要があります。
高設化しただけで栽培面積や栽植株数が増えるわけではありません。
多段式高設栽培
栽培槽を上下または段状に配置し、ハウス内の立体空間を利用する方式です。
観光農園や限られた施設面積で栽植株数を確保したい場合などに利用されています。
段数を増やせば有利とは限りません。
上段による遮光、作業性、果実の見え方、灌水ムラなどを含めて配置を検討します。
イチゴ栽培システムを選ぶときの確認点
高設栽培システムは、架台価格だけを比較して選ぶべき設備ではありません。
特に確認したいのは、栽培槽・培地・給排液・作業性・保守体制です。
- 栽培槽と培地:培地量、保水性、排水性、通気性、培地交換方法を確認します。
- 灌水・施肥:給液量、給液回数、排液量、EC、pHなどをどの範囲まで管理できるか確認します。
- 架台構造:固定式、可動式、多段式の違いに加え、作業高さ、通路幅、積載荷重、既存ハウスへの設置条件を確認します。
- 作業体系:定植、摘葉、収穫、防除、栽培終了後の培地処理まで一連の作業で判断します。
- 設備停止時の対応:ポンプ、電磁弁、制御機器などの故障や停電時に給液を維持できるか確認します。
- 栽培支援と保守:施工後の栽培指導、部品供給、設備修理の対応範囲を確認します。
特に培地量の少ない栽培システムでは、土耕より根域の水分や肥料濃度が短時間で変化しやすくなります。
給液量だけで管理せず、排液量や排液率、EC、pH、根の状態などを組み合わせて判断します。
また、高設化すれば収量が自動的に増えるわけではありません。
品種、苗質、栽植密度、培地、灌水・施肥、温湿度、日射、
環境制御などを含めた栽培管理によって結果は変わります。
設備メーカーが示す収量・省力化データは、試験条件や栽培条件を確認したうえで比較してください。
イチゴ栽培システム取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名・製品群 | 用途分類 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| イノチオアグリ株式会社 | ストロベリーハイポ | 固定式高設栽培 | 一本足・二本足の高設ベンチを選択可能。自動灌水・給液設備、苗、培土、肥料、栽培支援まで含めた提案に対応。 |
| 株式会社ジャット | ジャット式高設栽培システム | 固定式高設・培地栽培 | 培土と排水層を分けた2層式構造を採用。培地量を確保し、自社肥料と栽培指導を含めたシステムとして提供。 |
| 株式会社誠和 | いちごステーション | 可動式高設栽培 | 可動式ベンチによって栽培空間を利用する方式。コーティング肥料と自動灌水を組み合わせる栽培システム。 |
| 株式会社誠和 | 新イチゴ養液栽培システム | 固定式高設・養液栽培 | ハウス上部からベッドを吊るハンギング方式と、地面に支柱を設けるサポートタイプに対応。 |
| 株式会社大仙 | ベリーグッドシステム(M型・E型・P型) | 固定式高設・養液栽培 | 培地容量と排水性を考慮した栽培ベッド。培地加温・冷却用配管に対応し、ロックウール粒状綿、ココヤシ繊維、有機質培地などを利用可能。現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 株式会社サンポリ | らくラック | 固定式高設栽培 | イチゴ用高設栽培架台。多段式や可動式を含む「らくラック」シリーズを展開。 |
| 株式会社サンポリ | スライドらくラック | 可動式高設栽培 | 栽培ベッドを水平移動させ、作業通路を集約する方式。ハウス面積当たりの栽植株数を増やせる。 |
| 株式会社サンポリ | 多段式らくラック | 多段式高設栽培 | 栽培槽を多段配置するタイプ。観光農園や施設内の栽植株数確保などに利用される。 |
| 浜商事株式会社 | イチゴ専用栽培システム | 固定式高設・養液栽培 | ヤシガラ培地を利用した高設栽培システム。流量比例制御方式、EC制御方式などの給液設計に対応。 |
| トヨタネ株式会社 | イチゴ高設栽培システム | 固定式高設・養液栽培 | 発泡スチロール製栽培ベッドなどを用いた高設栽培を設計提案。肥料、環境制御、栽培支援にも対応。 |
| 株式会社アグリス | Newベリーザキット | 多段式・固定式高設栽培 | 組立式ユニットによるイチゴ高設栽培システム。多段式・平式などハウス条件に応じた配置に対応。 |
| カネコ種苗株式会社 | カネコ ココベリーファーム® | 固定式高設・養液栽培 | ヤシ殻繊維「ココブロック」を培地に使用するイチゴ高設栽培プラント。排液量を利用した給液制御にも対応。 |
| 東海物産株式会社 | ネオサンアップ いちご高設栽培システム | 固定式高設・養液栽培 | 根圏の通気性や排水性を考慮したイチゴ用養液栽培システム。複数の培地に対応し、既存ハウスへの設置にも対応。 |
| ヤンマーグリーンシステム株式会社 | イチゴ移動栽培装置 | 可動式高設栽培 | 栽培ベンチを移動させて作業場所を集約する方式。移動時に灌水・養液供給や防除を行うシステムにも対応。 |