花被(かひ)

花被

花被とは

花被(かひ、perianth)とは、
花の雄しべや
雌しべの外側を取り囲む、
萼や花冠などの部分をまとめた呼び名です。

萼と花冠が明確に区別できる花では、
萼と
花冠を合わせたものが花被です。

つまり、

萼 + 花冠 = 花被

と考えることができます。

ただし、すべての植物で
萼と花冠を明確に区別できるわけではありません。

ユリやチューリップなどのように、
萼片と花弁に相当する部分が互いによく似ている場合は、
一枚一枚を花被片(かひへん、tepal)と呼びます。

花の構造を示した模式図

花被を構成する部分

典型的な花では、
花被は外側の萼と内側の花冠から構成されます。

萼は萼片の集合体、
花冠は花弁の集合体です。

したがって、それぞれの関係は次のようになります。

  • 萼片:萼を構成する一枚一枚
  • 萼:萼片全体
  • 花弁:花冠を構成する一枚一枚
  • 花冠:花弁全体
  • 花被:萼と花冠を含む、雄しべ・雌しべの外側の部分

このように、
花被は一枚の器官の名称ではなく、
花の外側を構成する器官をまとめた名称
です。

異花被花とは

萼と花冠が形態的に明確に区別できる花を、
異花被花(いかひか)といいます。

この場合、外側の花被は萼、
内側の花被は花冠として区別できます。

萼を構成する一枚一枚が萼片、
花冠を構成する一枚一枚が花弁です。

多くの植物で見られる、
「外側に緑色の萼片があり、
その内側に目立つ花弁がある」という花の構造は、
異花被花を理解しやすい例です。

ただし、
色だけを見て萼片と花弁を判断することはできません。

萼片が花弁のように色づく植物や、
花弁が目立たない植物もあります。

同花被花とは

外側と内側の花被が互いによく似ていて、
萼と花冠を明確に区別しにくい花を、
同花被花(どうかひか)といいます。

この場合、一枚一枚を
花被片(tepal)と呼びます。

ユリやチューリップなどでは、
外側と内側の花被片がともに花弁のような姿をしており、
一般にはすべて「花びら」のように見えます。

しかし植物形態学では、
これらすべてを単純に花弁と呼ぶより、
花被片として扱う方が適切です。

ハナショウブなどでも、
萼片と花弁の区別が明瞭でないため、
花被片として扱われます。

外花被と内花被

花被が内外の輪に分かれている場合、
外側を外花被、
内側を内花被と呼ぶことがあります。

異花被花では一般に、

外花被 → 萼

内花被 → 花冠

として分化しています。

一方、同花被花では外側と内側がよく似ているため、
それぞれを外花被片、
内花被片と呼んで区別する場合があります。

ユリなどでは、
外側3枚と内側3枚の計6枚の花被片が見られます。

花被片とは

花被片(かひへん、tepal)は、
花被を構成する一枚一枚の器官を指す言葉です。

特に、
萼片と花弁を明確に区別できない花で使われます。

花被と花被片は同じ意味ではありません。

花被片が一枚一枚の器官であるのに対し、
花被はそれらを含む花の外側の構造全体を示します。

これは、

萼片と萼、

花弁と花冠

の関係に似ています。

花被の主な役割

花被の働きは植物によって異なります。

つぼみの段階では、
内部の雄しべや雌しべなどを覆い、
乾燥や物理的な損傷などから保護する働きを持つことがあります。

また、昆虫や鳥などによって花粉が運ばれる植物では、
色や形、模様などによって
送粉者を花へ誘う働きを持つ花被もあります。

異花被花では、
外側の萼が保護、
内側の花冠が送粉者の誘引という役割を
比較的強く担う場合があります。

同花被花では、
同じような形をした花被片が
保護と送粉者の誘引の両方に関わる場合があります。

ただし、
すべての花被が目立つ色や形を持つわけではありません。

風によって花粉が運ばれる植物などでは、
花被が小さく目立たなかったり、
花被そのものを欠いたりする場合があります。

花被を持たない花もある

すべての被子植物の花に
発達した花被があるわけではありません。

花被を欠く花は、
無花被花(むかひか)と呼ばれます。

また、花被の構造や発達程度は植物によって大きく異なり、
萼と花冠の二つに明瞭に分かれるものだけが
花の基本形というわけではありません。

花を観察するときは、
「緑色の萼+色のついた花弁」という形だけを
すべての植物に当てはめないことが大切です。

花被と花冠の違い

花冠は花被の一部です。

花冠は
花弁全体をまとめた名称ですが、
花被は萼と花冠を含む、より広い名称です。

異花被花では、

萼 + 花冠 = 花被

という関係になります。

一方、同花被花では
萼と花冠を明確に分けず、
花被片からなる花被として扱います。

そのため、
「花被」と「花冠」を同じ意味として扱うのは誤りです。

花被と花弁の違い

花弁は、
花冠を構成する一枚一枚の器官です。

花被は、
それよりも広い範囲を示す名称です。

また、ユリやチューリップのような同花被花では、
見た目が花びらに見えても、
植物形態学上はすべてを「花弁」とせず、
花被片として扱います。

「花びらのように見える部分=必ず花弁」
ではありません。

農業・園芸で花被を見るときの注意点

花被の形、大きさ、色、枚数、合着の状態などは、
植物や品種を識別する際の特徴になります。

花きでは花被片の色や形が
商品性に直接関係することもあります。

一方で、
花被の変色、変形、斑点、傷、早期脱落などを見ただけでは、
その原因を特定できません。

病害、害虫、温度、湿度、薬害、
物理的な損傷、花の老化など、
複数の原因が考えられます。

花被の症状だけを根拠に、
農薬散布、施肥、遮光などの対策を決めるのは適切ではありません。

原因を調べる場合は、
作物・品種、発生時期、花以外の症状、
温湿度、農薬や肥料の使用履歴なども確認します。

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