シルバーマルチとは
シルバーマルチとは、
銀色の反射面や反射層を持つ
マルチフィルムです。
太陽光を反射する特性を利用し、
一部の飛来性害虫の飛来抑制、地温上昇の抑制、
製品によっては雑草抑制や果実の着色促進などを目的に使用します。
銀色に見えるフィルムでも構造は同じではありません。
アルミニウム系の反射層を多層フィルムの内部に設ける製品、
銀色顔料などを利用する製品、
表裏とも銀色の製品などがあります。
「銀色ならすべて同じ性能」とは判断できません。
反射特性、遮光性、フィルム構造によって用途と性能が異なります。
シルバーマルチの主な作用
一部の飛来害虫の飛来を抑える
シルバーマルチの代表的な用途は、
反射光を利用した飛来害虫対策です。
有翅アブラムシ類やアザミウマ類など、
一部の害虫の飛来を抑える目的で使用される製品があります。
害虫を直接殺す資材ではありません。
「シルバーマルチを張れば害虫を防げる」という理解は誤りです。
対象害虫、作物、時期、発生量、反射特性などによって効果は変わります。
害虫対策では、防虫ネット、ほ場衛生、
農薬など他の防除手段と組み合わせて考えます。
シルバーマルチを使用したことだけを理由に、
農薬散布回数を減らせるとは判断できません。
虫媒伝染性ウイルス病のリスク低減に利用される場合がある
アブラムシ類やアザミウマ類など、
ウイルスを媒介する害虫の飛来数を減らすことで、
虫媒伝染性ウイルス病の感染リスク低減につながる場合があります。
シルバーマルチがウイルスを防除するわけではありません。
すでに感染した苗、周辺の感染源、媒介虫の発生量などによって感染リスクは変わります。
地温上昇を抑える
銀色面が日射の一部を反射するため、
黒マルチなどと比較して高温期の地温上昇を抑えられる製品があります。
夏季に根域温度が問題となる作型では選択肢になります。
地温抑制の程度は、
反射率、フィルム構造、気温、日射、土壌水分、
畝形状、フィルムと土壌の密着状態などによって変わります。
シルバーが最も地温を下げるとは限りません。
高温期の地温抑制を最優先する場合は、
白黒マルチ・銀黒マルチ
なども比較します。
雑草抑制は遮光性で決まる
シルバーマルチの中には、光の透過を抑えて
雑草の発生や生育を抑制できる製品があります。
ここで重要なのは銀色そのものではなく、
フィルム全体の遮光性です。
反射性が高くても光を多く透過するフィルムでは、
十分な雑草抑制効果を得られない場合があります。
果実の着色促進に利用される製品もある
反射光を樹冠内部や果実へ当てることで、
果実の着色促進を目的とするシルバー系マルチもあります。
ミカンなどの果樹や、一部の果菜類で利用される製品があります。
この用途では、通常の野菜用マルチとは
反射性能、設置方法、必要な幅などが異なる場合があります。
果樹用途では
果樹用マルチ
も含めて比較します。
シルバーマルチ・銀黒マルチ・銀ネズの違い
| 種類 | 主な構造・特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| シルバーマルチ | 銀色の反射面または反射層を持つ。表裏とも銀色の製品や多層構造品などがある | 飛来害虫抑制、地温上昇抑制、雑草抑制、製品によって果実着色促進 |
| 銀黒マルチ | 一般に表面が銀色、裏面が黒色 | 反射による飛来害虫・地温対策と、黒色層による雑草抑制 |
| 銀ネズ系 | 灰色・薄い黒色に近いタイプなどがあり、反射性や遮光性は製品によって異なる | 地温や雑草への作用は製品仕様によって異なる |
特に銀ネズと高反射のシルバーマルチを同じものとして扱わないでください。
銀ネズには黒マルチより遮光率が低く、
地温上昇を利用する製品もあります。
反射面が葉で隠れた場合
作物が繁茂してマルチ表面が大きく隠れると、
地表から上方へ届く反射光が減り、
飛来害虫抑制を目的とした反射機能が得にくくなる場合があります。
しかし、
反射面を露出させるためだけに摘葉するとは考えません。
摘葉は光合成面積、
果実の日焼け、草勢、収量などへ影響するため、
作物ごとの栽培管理として判断します。
土壌水分への作用
シルバーマルチも地表面を覆うため、
土壌表面からの水分蒸発を抑える働きがあります。
これは水を供給する作用ではありません。
「シルバーマルチを使えば水やりを減らせる」と一律に判断せず、
土壌水分、作物、天候を確認して
灌水・かん水量を決めます。
マルチ下へ点滴チューブなどを設置する場合は、
展張前に配置や通水状態を確認します。
シルバーマルチの選び方
飛来害虫対策を優先する場合は、
単に「銀色」という名称ではなく、
対象害虫についてメーカーの試験・用途表示がある製品を選びます。
高温期の地温対策が主目的なら、
白黒・銀黒など他の反射性マルチと地温データを比較します。
雑草対策を重視する場合は遮光性も確認します。
果樹の着色促進が目的なら、
反射率だけでなく、樹冠下への設置方法、
反射面積、耐候性なども確認します。
使用時の注意
泥や土で反射面が大きく汚れると、
光反射を利用する機能が低下する場合があります。
泥はねが多い圃場では排水状態や
灌水方法も確認します。
強風でフィルムが浮くと破れや飛散の原因になります。
畝形状を整え、裾部を適切に覆土して固定します。
ポリエチレン製などの使用済みマルチフィルムは、
栽培終了後に回収し、地域の処理方法に従って適正に処理します。
シルバーマルチ取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 製品名・製品群 | 用途分類 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| 岩谷マテリアル株式会社 | 三層シルバーポリ防虫マルチ | 高反射シルバーマルチ | 三層シルバー構造。反射光を利用したアザミウマ類・アブラムシ類などの飛来抑制、雑草抑制、高温時の地温上昇抑制を目的とする。メーカーは白黒マルチより地温抑制効果は小さいとしている。 |
| 大倉工業株式会社 | シルバーSS | 機能性シルバーマルチ | 中間層にシルバー層を持つ多層構造。飛来虫に対する害虫忌避、雑草防除、作物の着色効果を目的とする。表面・裏面には透明層を設け耐候性を持たせている。 |
| 東罐興産株式会社 | トーカン ボーチューシルバーL | 機能性シルバーマルチ | アルミ粒子層をポリエチレン層で挟んだ多層構造。紫外線反射を利用したミナミキイロアザミウマ・アブラムシ類などへの飛来抑制、遮光による雑草抑制を目的とする。 |
| 辻野プラスチックス工業株式会社 | ツジロンシルバー | シルバーマルチ | シルバーマルチ製品として流通情報と過去の農業試験で使用実績を確認できる。メーカー法人は現在も確認できるが、現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。 |
| 住化積水フィルム株式会社 | ツインシルバー | 高反射シルバーマルチ | 表・裏ともシルバーの3層構造。雑草抑制、飛来害虫対策、地温上昇抑制のほか、ミカンなど果樹の着色促進用途にも使用される。 |
| 柴田屋加工紙株式会社 | 柴田の農ポリ シルバー | シルバーマルチ | 高い光線反射率と遮光率を持つシルバータイプ。雑草抑制、地温上昇抑制、アブラムシ類などへの反射利用を目的とする。銀ネズとは特性が異なる。 |