紙マルチ

紙マルチ

紙マルチとは

紙マルチとは、紙やセルロースを主な材料としてつくられ、
畝や田面などを覆うために使用するマルチ資材です。
畑作向けの製品と、水稲栽培向けの製品があります。

主な用途は、地表への光を遮ることによる雑草抑制です。
製品によっては地温上昇の抑制や、栽培終了後に土壌へすき込んで分解させることで
回収作業を減らすこともできます。

紙製だから同じ性能になるわけではありません。
原料、厚さ、表面処理、色、通気性、耐水性、湿潤時の強度などは製品ごとに異なり、
使用できる期間や地温への影響も変わります。

紙マルチと生分解性マルチの違い

紙マルチと生分解性マルチは、
どちらも使用後の回収負担を軽減できる製品がありますが、同じ資材ではありません。

紙マルチは紙やセルロースを主体とする資材です。
生分解性マルチは、生分解性プラスチックを使用したフィルムを指します。
土壌へすき込めるか、どの程度の期間使用できるか、どのように分解するかは
製品仕様を確認してください。

紙マルチの主な用途

雑草の抑制

紙マルチで地表を覆うと、地表へ届く光を減らすことができ、
雑草の発生や生育を抑える用途に利用できます。

例えば水稲用紙マルチでは、田面を紙で覆って光を遮り、
移植初期の雑草を抑える栽培方法があります。
専用の紙マルチ田植機などを使用し、紙を敷設しながら苗を植え付ける方式もあります。

雑草抑制効果は永久には続きません。
紙が破れたり分解が進んだりすれば、その後に雑草が発生する場合があります。
植え穴、継ぎ目、端部などの被覆されていない部分から雑草が生育することもあります。

地温上昇の抑制

畑用紙マルチの中には、黒色のポリエチレン製マルチなどと比較して、
高温期の地温上昇を抑えることを目的とした製品があります。
高温障害が問題となる夏秋作などでは選択肢になります。

「紙マルチは地温を一定にする」とは言えません。
実際の地温は、製品の色や構造だけでなく、
日射量、土壌水分、気温、畝形状、
マルチと土壌の状態などによって変化します。

使用後の回収作業の軽減

栽培終了後に土壌へすき込み、土壌中で分解させることを想定した紙マルチがあります。
このタイプでは、ポリエチレン製マルチのような剥ぎ取り・回収・処理作業を減らせます。

すべての紙製資材をそのまま土壌へすき込んでよいわけではありません。
使用後の処理方法は製品仕様に従ってください。

畑用紙マルチ

畑用紙マルチは、畝などの土壌表面を覆って使用します。
雑草抑制を主目的とし、製品によっては高温期の地温上昇抑制や、
使用後の回収作業軽減を目的とします。

ポリエチレンフィルムとは強度や伸び方が異なります。
強く張りすぎたり、植え穴や固定部分へ風が入り込んだりすると、
破れが広がることがあります。

また、「紙は水に弱いから雨に使用できない」という理解も正確ではありません。
農業用として耐水性や湿潤時の強度を考慮した製品があります。
反対に、集中豪雨や強い灌水・かん水、
水圧が集中する条件では損傷する製品もあります。

水稲用紙マルチ

水稲用紙マルチは、田面を紙で覆い、光を遮ることで雑草を抑えるために使用されます。
紙マルチを敷設しながら苗を植え付ける栽培方式もあります。

畑用紙マルチとは使用方法が大きく異なります。
代かき、田面の均平、水管理、敷設方法などが雑草抑制や苗の生育へ影響するため、
対象製品と使用する機械の仕様に従います。

紙マルチを敷くだけで雑草対策が完結するとは限りません。
紙の重なり不足、破損、分解後などに雑草が発生する場合があります。

紙マルチを選ぶときの注意点

「紙だから保湿できる」と考えない

マルチで土壌表面を覆うことと、土壌水分を十分に維持できることは同じではありません。
紙マルチには通気・透湿性を持つ製品もあり、
条件によってはポリエチレン製マルチより土壌が乾燥しやすくなる場合があります。

作物、土質、降雨、灌水方法を含めて水管理を決めます。

病害虫防除性能を一括して与えない

紙であること自体を、アブラムシやアザミウマなどに対する防虫性能とはみなしません。
反射光による害虫飛来抑制は、シルバー系など特定の光学特性を持つ
シルバーマルチなどで検討される機能です。
紙マルチ一般の特徴ではありません。

紙マルチを使用したことだけを理由に、
農薬の使用量を減らせると判断するのも不適切です。
病害虫防除は対象病害虫と栽培条件から判断します。

風と破れを確認する

紙マルチでは、土と接触している部分や植え穴などから劣化・破損が進む製品があります。
破れた部分へ風が入ると飛散につながります。
展張時の張力、端部の覆土、押さえ方などは対象製品の施工方法に従います。

使用期間と分解速度を確認する

分解速度は製品だけでなく、土壌水分、温度、微生物活性、季節などでも変わります。
長期作型では、収穫前に強度が不足しないかを確認します。

反対に、栽培終了後すぐに完全に消失するとは限りません。
「土壌中で分解する」と「短期間で完全に見えなくなる」は別の意味です。

有機JASで使用する場合

紙製という理由だけで有機JAS栽培に使用できるとは判断できません。
製品ごとに原材料や加工方法が異なるため、
使用前に最新の登録資材情報や認証機関への確認が必要です。

紙マルチ取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名・製品群用途分類特徴・注意点
三洋製紙株式会社水稲用 カミマルチ水稲用紙マルチ段ボール古紙を原料とした紙マルチ。田面を被覆して雑草抑制に利用される。カミグループの現行情報で水稲用製品の存在は確認できるが、現行公式メーカー製品ページを確認できなかったため外部リンクは付けておりません。
三洋製紙株式会社畑用 カミマルチ畑用紙マルチ段ボール古紙を原料とした紙マルチ。雑草抑制、標準タイプの地温上昇抑制、使用後の土壌へのすき込みに対応。風、集中豪雨、灌水時の水圧などによる破損に注意。
王子エフテックス株式会社OJIサステナマルチ畑用紙マルチセルロースを主体原料とする紙製マルチ。地温上昇抑制と使用後の土壌中での分解による回収作業の軽減を目的とする。使用期間・分解速度は作物、季節、気象、土壌条件によって異なる。

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