液体肥料

液体肥料

液体肥料とは

液体肥料とは、液体の状態で施用する肥料の総称として使われる言葉です。
農業現場では液肥とも呼ばれます。

水に希釈して使用する濃縮液肥のほか、
製品や栽培方式によっては原液を所定量施用するもの、
灌水水へ連続的に混入するもの、
葉面へ散布するものなどがあります。

液体肥料は、養液栽培だけに使用する肥料ではありません。

土耕栽培の追肥、
灌水同時施肥、
養液土耕栽培、
養液栽培、
葉面散布など、幅広い栽培方式で利用されています。

日本の肥料制度では、公定規格に「液状肥料」という肥料の種類があります。
これは一般的な呼称である「液体肥料」「液肥」と完全に同じ意味ではなく、
製品によって法令上の肥料の種類や登録・届出区分は異なります。

製品を選ぶ際は名称だけで判断せず、
肥料の種類、保証成分、使用方法などの表示を確認します。

液体肥料の主な使い方

土耕栽培での追肥・灌水施肥

液体肥料を水で希釈して株元へ施用したり、
灌水水へ混入して水と肥料を同時に供給したりする方法です。

点滴灌水や灌水チューブと
液肥混入器
を組み合わせることで、
灌水量と肥料供給量を管理しながら施肥できます。

同じ希釈倍率でも、
1回の灌水量や1日の灌水回数が変われば、
作物へ供給される肥料成分量も変わります。

養液栽培・固形培地耕

水耕、ロックウール、ヤシ殻培地などの養液栽培では、
肥料を原水へ溶解・希釈して
培養液を調製します。

養液栽培では、
窒素、リン、カリウムだけでなく、
カルシウム、マグネシウム、微量要素などを含めて肥料組成を設計します。

製品によっては1種類だけでは必要成分を構成できず、
A液・B液など複数の肥料を組み合わせて使用します。

葉面散布

葉面散布に対応した液体肥料では、
希釈液を茎葉へ散布して肥料成分を供給します。

葉面散布は微量要素の補給や生育途中の養分補給などに利用されますが、
根から行う施肥をすべて葉面散布へ置き換えられるわけではありません。

使用可能な作物、濃度、散布時期、混用可否は製品ごとに確認します。

液体肥料と培養液の違い

液体肥料と培養液は同じものではありません。

液体肥料は肥料資材・製品そのものを指します。
培養液は、肥料と原水を組み合わせ、
作物の根へ供給できる濃度と組成に調製した水溶液です。

養液栽培用の濃厚な肥料原液を、
そのまま培養液として使用するわけではありません。

肥料原液を所定量混入し、
EC、
pH、
肥料組成などを確認して給液します。

液体肥料を選ぶときの確認点

  • 保証成分:窒素、リン酸、加里、カルシウム、マグネシウム、微量要素など、何をどの程度含むか確認します。
  • 用途:土耕、灌水施肥、養液栽培、葉面散布など、使用する栽培方式に適合するか確認します。
  • 施用量:希釈倍率だけでなく、原液の成分濃度、灌水量、施用回数から実際の肥料供給量を確認します。
  • 原水との適合性:養液栽培では原水に含まれるカルシウム、マグネシウム、重炭酸なども肥料設計へ影響します。
  • 混合適合性:複数の肥料原液や農薬、酸・アルカリ性資材などとの混用可否を確認します。
  • 設備への適合性:粘度、沈殿、固形分などによっては、液肥混入器、フィルター、点滴口などの詰まりにつながる場合があります。

液体肥料を使用するときの注意

液体肥料は水に混ざりやすい製品が多いため、
生育途中の施肥量を調整しやすい利点があります。

しかし、
「液体だから必ず速く効く」とは限りません。

肥効は肥料成分の形態、
土壌・培地、
温度、
根の状態、
水分条件などによって変わります。

また、
ECは溶液中のイオンによる電気伝導度を示す指標であり、
窒素、リン、カリウムなど個々の肥料成分量を直接示す値ではありません。

ECが同じでも肥料組成が同じとは限りません。
養液栽培ではECだけでなく、
肥料処方、原水、pH、給液量、排液、生育状態などを併せて確認します。

複数の濃厚肥料原液を使用する場合は、
原液同士を不用意に混ぜないでください。

高濃度のカルシウムを含む原液と、
リン酸や硫酸を多く含む原液などを混合すると、
難溶性成分が沈殿することがあります。

沈殿すると肥料成分を正しく供給できなくなるだけでなく、
液肥混入器、フィルター、配管、点滴口の閉塞原因になります。

A液・B液など複数原液を使用する製品は、
肥料メーカーや設備メーカーが指定するタンク構成と調製方法に従います。

液体肥料取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名特徴
株式会社誠和アグリカルチャペンタキープHyper50005-アミノレブリン酸(5-ALA)とアルギニンを配合した液体肥料。葉面散布・根圏施用に利用される。ファーマーズサポートネット掲載ページ
OATアグリオ株式会社まるとく液肥 恵み・実り・和みN・P・Kの配合や含有成分が異なる液肥シリーズ。用途に応じて「恵み」「実り」「和み」が設定されている。
OATアグリオ株式会社ホスプラス水溶性りん酸31%、水溶性加里25%を保証する亜りん酸肥料。灌注処理や葉面散布などに利用される。
片倉コープアグリ株式会社トミー液肥糖蜜発酵副産液を使用した有機液肥。果菜類などの追肥、かん水施肥、養液土耕などに利用される。
片倉コープアグリ株式会社くみあい液肥1号・2号水稲、露地野菜、施設園芸、果樹など幅広い用途に対応する液肥。1号はN-P-K=12-5-7、2号は10-4-8。
朝日アグリア株式会社はつらつ君666N-P-K=6-6-6。有機態窒素を約50%含む設計で、施設野菜の追肥、灌水施肥、葉面散布などに使用される。
朝日アグリア株式会社亜リン酸入りPK液肥14-22窒素を含まないP-K型液肥。保証成分はりん酸14%、加里22%で、亜りん酸を配合。灌水施肥・葉面散布に対応。
トヨタネ株式会社フレッシュサンソ液剤過酸化水素を含み、土壌への酸素供給などを目的として利用される液体肥料。灌水・葉面散布などの使用方法が設定されている。
トヨタネ株式会社TFカルカルシウムを主体とする液体肥料。養液栽培・養液土耕・土耕・葉面散布に対応し、マンガン、ホウ素も配合。
トヨタネ株式会社TFミックスB(TF肥料シリーズ)養液栽培用TF肥料シリーズの液体B剤。A剤等と組み合わせて培養液を調製するため、単独の完全肥料として扱わない。

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