バイオスティミュラント

バイオスティミュラント

バイオスティミュラントとは

バイオスティミュラント(Biostimulant、略称:BS)とは、
農作物や土壌に施用し、作物や根圏が本来持つ機能を補助することで、
養分の利用性や利用効率、高温・乾燥・塩類などの非生物的ストレスへの対応を助け、
結果として収量や品質の維持・改善につなげることを目的とする資材です。

「自然由来の資材」という意味ではありません。

海藻抽出物、アミノ酸・ペプチド、腐植物質、微生物などを利用した製品がありますが、
原料の由来だけでバイオスティミュラントかどうかは判断できません。
天然に存在しない物質であっても、バイオスティミュラントとしての要件を満たす場合があります。

また、バイオスティミュラントは肥料や農薬とは別の法的区分を表す名称ではありません。
肥料に該当する製品は肥料に関する法令、
農薬に該当する用途・表示を行う製品は農薬に関する法令の対象になります。

農業用語:
バイオスティミュラント

バイオスティミュラントに使われる主な素材

バイオスティミュラントには、次のような素材を利用した製品があります。

  • 海藻や海藻抽出物
  • アミノ酸、ペプチド、タンパク質加水分解物
  • 腐植酸、フルボ酸などの腐植物質
  • 微生物
  • 微量元素やビタミン類
  • キチン、キトサン、多糖類
  • 植物、動物、微生物などから得られる抽出物

素材名と効果は同じものではありません。

例えば「海藻由来」「アミノ酸入り」「微生物資材」という表示だけでは、
高温ストレス対策、養分利用効率の改善、収量向上などの効果を判断できません。

製品ごとに原料、濃度、施用方法、対象作物、試験条件、確認されている効果を分けて確認します。

肥料・農薬との違い

肥料は、作物へ養分を供給したり、土壌の化学性に関係する成分を施用したりする資材です。

バイオスティミュラントとして評価する作用は、
単純な養分供給量とは分けて考えます。

したがって、
「肥料か、バイオスティミュラントか」の二者択一ではありません。

肥料として販売されている製品に、
バイオスティミュラントとして評価される作用が併存する場合があります。

病害虫や雑草の防除、植物の生理機能を人為的に調節する効果については、
農薬との区分に注意が必要です。

農薬登録のない資材について、
病害虫防除や農薬的な効果を示すような表示だけを根拠に選定するのは避けます。

施設園芸での使い方と注意点

真夏の施設トマトで生育低下や着果不良が発生したとします。

この場合、
バイオスティミュラントを投入する前に、
高温障害、
環境制御、
灌水、
EC、
飽差
などを確認します。

換気不足、過度の日射、灌水不足、根域の高ECなどが主因なら、
そこを直さずにバイオスティミュラントだけを追加しても根本的な改善にはなりません。

バイオスティミュラントは栽培環境の不備を帳消しにする資材ではありません。

基本的な環境管理や
施肥
を整えたうえで、
高温・乾燥など想定するストレスと製品の試験データが一致しているかを確認して利用します。

製品を選ぶときの確認点

製品名や原料だけではなく、
どの作物で、どのような条件下で、どの程度の効果が確認されたのかを確認します。

特に確認したいのは、
対象作物、使用量・希釈倍率、施用時期、施用回数、
試験時の環境条件、無処理区との差、
効果が得られにくい条件です。

試験結果がある場合でも、
試験条件と自園の作型や環境が大きく異なれば、
同じ結果になるとは限りません。

導入初年度は、
全面使用するよりも無処理区または慣行区を残し、
収量、秀品率、生育量、糖度など目的に合った指標で比較する方が判断しやすくなります。

バイオスティミュラントで起こりやすい誤判断

「自然由来だから安全」とは判断できません。
安全性は原料名だけでは決まらず、成分、濃度、使用方法、作物への適合性などを確認する必要があります。

「病害虫に強くなるからバイオスティミュラント」という整理も適切ではありません。
高温、乾燥、塩類などの非生物的ストレスと、
病原菌や害虫による生物的ストレスを分けて考えます。

「バイオスティミュラントを使えば肥料を減らせる」と一律には言えません。
養分利用効率の改善が確認された製品でも、
減肥可能量は作物、土壌、栽培方式、施肥条件、製品ごとの試験結果によって異なります。

同じ原料を使った製品でも同じ効果になるとは限りません。
原料の由来、抽出方法、濃度、配合、施用方法などが異なるためです。

バイオスティミュラント取り扱いメーカー・代理店

メーカー・販売元製品名・製品群概要
誠和アグリカルチャ株式会社ペンタキープHyper5000
ファーマーズサポートネット掲載
5-アミノレブリン酸(5-ALA)などを含む液体肥料。メーカーではバイオスティミュラント関連製品として展開。使用量・施用条件は現行ラベルと公式情報を確認。
誠和アグリカルチャ株式会社ASCOMAX海藻抽出物を利用したバイオスティミュラント液体肥料。2026年発売。対象作物、希釈倍率、施用時期は公式情報を確認。
味の素ヘルシーサプライ株式会社Tecaminシリーズ(Max・Flower・Brix)
Tecamin Max(FSN)/Tecamin Flower(FSN)/Tecamin Brix(FSN)
アミノ酸などを利用した農業用バイオスティミュラント製品群。製品ごとに目的と施用条件が異なるため、個別の使用方法を確認。
OATアグリオ株式会社バイオスティミュラント製品群炎天マスター、リダバイタル、アルガミックス、フルボディなどを展開。製品ごとに原料、対象となるストレス、使用方法が異なる。
片倉コープアグリ株式会社ストロングリキッド微量要素、ベタイン、有機酸などを含む液状資材。メーカーがバイオスティミュラント資材として掲載。農薬的な効果とは分けて判断する。
片倉コープアグリ株式会社/株式会社アクプランタSkeepon高温・乾燥などの非生物的ストレスに着目したバイオスティミュラント資材。2026年J-AGRI出展情報でも確認。
荒川化学工業株式会社EcoRosin®(EcoRosin-C・EcoRosin-E)松由来原料を利用したバイオスティミュラント製品。2026年から販売。高温・乾燥など非生物的ストレスへの利用を想定。
愛知製鋼株式会社鉄力シリーズ鉄供給資材。メーカーは鉄吸収に関わる作用や環境ストレス下での利用についてバイオスティミュラントの観点から説明している。養分供給作用とBS作用は分けて確認する。
タキイ種苗株式会社藻合力海藻由来成分、アミノ酸、有機酸、腐植物質などを利用したタキイオリジナルのバイオスティミュラント資材。2026年掲載。

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