STSR農法(えすてぃーえすあーるのうほう)

STSR農法

STSR農法とは

STSR農法(エスティーエスアールのうほう)
水稲の種籾を一定の間隔や粒数でシーダーテープに封入・加工し、
そのテープを乾田状態の圃場へ直接播種する水稲の直播技術です。

STSRは
Seeder-Tape Sowing Rice
の略称です。

育苗した苗を水田へ植える移植栽培とは異なり、
育苗や田植えの工程を省くことを目的とした
直播の一種として位置付けられます。

2026年10月には、
小津産業株式会社、日本プラントシーダー株式会社、
旭化成株式会社、バイオシード・テクノロジーズ株式会社、
株式会社NORINAの5社による
STSR農法を起点とした共創プロジェクトが公表されています。

STSR農法は比較的新しい技術であり、
地域や圃場条件に対する適用性や経済性については、
今後の検証が必要な段階です。

STSR農法の仕組み

STSR農法では、
種籾をシーダーテープの内部に一定間隔で配置し、
テープ状に加工したものを播種します。

通常の乾田直播では、
播種機から種籾そのものを土壌へ落とします。

STSR農法では、
あらかじめ種籾の位置や粒数を決めたシーダーテープを使用することで、
播種位置や播種量を制御しやすくすることを狙っています。

シーダーテープを使用する点が、
一般的な乾田直播との大きな違いです。

育苗と田植えを行わない

一般的な移植栽培では、

育苗、
苗の運搬、
田植え

などの作業が必要です。

STSR農法は乾田へ直接播種するため、
これらの工程を省くことができます。

そのため、
春季の作業集中を緩和したり、
育苗施設や田植機に関係する作業を減らしたりすることが
導入目的の一つとなっています。

ただし、
育苗や田植えを省略できることと、
水稲栽培全体の作業量や生産費が必ず減少することは同じではありません。

圃場整備、
播種前後の土壌水分管理、
雑草防除、
鳥害対策、
苗立ちの確保など、
直播栽培特有の管理が必要になります。

シーダーテープを利用する目的

シーダーテープには、
種籾を一定の間隔や粒数で配置することができます。

このためSTSR農法では、

・播種位置の安定化
・播種量の管理
・種籾の配置精度向上

などを狙っています。

シーダーテープを使えば必ず苗立ちが安定するわけではありません。

発芽や苗立ちは、
播種深度、土壌水分、鎮圧状態、降雨、
地温、土壌条件、種子の発芽能力などにも左右されます。

テープによって種子の配置を揃えることと、
圃場での出芽を揃えることは別の問題です。

バイオスティミュラントとの組み合わせ

2026年に公表されたSTSR農法のプロジェクトでは、
シーダーテープ技術に加えて、
菌根菌や窒素固定細菌などの微生物資材、
アミノ酸液肥などの
バイオスティミュラント
を組み合わせる取り組みが示されています。

種子と資材を一緒に加工し、
播種時に種子周辺へ配置する方法です。

高温や乾燥などの環境ストレスへの対応や、
化学肥料・農薬への依存低減などが開発上の目標として示されています。

これらの効果は、
STSRという名称だけから保証されるものではありません。

使用資材、菌株、施用量、
土壌条件、気象条件、栽培管理によって結果は変わります。

STSR農法そのものと、
特定の微生物資材やバイオスティミュラントの効果を
混同しないことが必要です。

STSR農法と乾田直播の違い

STSR農法も、
乾いた状態の水田へ種籾を直接播種するという点では
乾田直播の考え方に含まれます。

大きな違いは、
ばら状の種籾を直接播種するのではなく、
種籾をシーダーテープに加工して播種する点です。

したがって、

「STSR農法=乾田直播とは別の栽培方式」

と考えるのは正確ではありません。

乾田直播をシーダーテープ技術によって行う方式の一つ
と理解した方が実態に近くなります。

導入時に確認すべき条件

STSR農法を導入できるかどうかは、
シーダーテープだけでは判断できません。

特に確認が必要なのは、

・播種前の圃場表面の状態
・排水性
・土壌の砕土状態
・播種深度
・播種後の鎮圧
・播種期の降雨
・土壌水分
・雑草発生状況
・鳥害や獣害
・使用する品種
・播種後の水管理方法

などです。

乾田直播では、
初期の苗立ちが不安定になると
その後の生育や収量へ大きく影響することがあります。

田植え作業をなくすことだけを目的に導入すると、
苗立ち不良や雑草管理など別の工程で作業負担が増える可能性があります。

圃場条件と栽培体系全体を確認して判断する必要があります。

STSR農法について現在分かっていないこと

2026年10月時点では、
STSR農法について地域や圃場条件ごとの適用性を検証し、
普及可能性を見極めていく段階であることが
プロジェクト側から示されています。

そのため、

・一般的な乾田直播との収量比較
・苗立ち率
・労働時間削減率
・10a当たり総生産費
・除草体系
・地域別の適応性
・長期的な収量安定性

などについて、
全国共通で適用できる数値として断定できる段階ではありません。

導入を検討する場合は、
宣伝資料だけで判断せず、
地域条件が近い実証結果を確認する必要があります。

見つからない用語・製品の登録をリクエスト

個人情報の入力は不要です。掲載してほしい名称だけをお知らせください。

登録を希望する情報の種類

最近対応したリクエスト

  • 用語 鉢 掲載しました
  • 用語 がく 既存用語「萼」を再監修致しました
  • 用語 休眠解除 掲載しました