pF値(ぴーえふち)

pF値とは

pF値(ピーエフち)とは、土壌中の水が土壌にどの程度強く保持されているかを表す指標です。
土壌水の吸引圧を水柱の高さ(cm)に換算し、その常用対数で表します。

pF値が小さいほど土壌中の水は弱く保持されており、作物が利用しやすい湿潤な状態を示します。
反対にpF値が大きくなるほど、水は土壌に強く保持され、作物が吸収しにくい乾燥側の状態になります。

pF値は土壌中に含まれる水の「量」そのものを示す数値ではありません。
土壌水の保持の強さ、すなわち水のエネルギー状態を表す指標であることが重要です。

pF値の求め方

pF値は、土壌水の吸引圧を水柱の高さh(cm)で表した場合、次の関係で表されます。

pF = log10 h

例えば、水柱100cmに相当する吸引圧ではpF2.0、
水柱1,000cmではpF3.0となります。

農業現場では、
テンションメーターやpFメーターなどを利用して土壌水分張力を測定し、
pF値として表示・管理する方法があります。
機種によってはkPaなどの圧力単位で表示されます。

pF値と土壌水分量の違い

pF値と体積含水率は同じものではありません。

pF値は、土壌が水をどの程度強く保持しているかを表します。
これに対して体積含水率は、一定体積の土壌中にどれだけの体積の水が含まれているかを表します。

同じpF値であっても、砂質土、壌土、粘土質土、黒ボク土などでは体積含水率が異なります。
そのため、pF値を一定の計算だけで水分率へ変換することはできません。

対象土壌についてpF値と体積含水率の関係を測定して作成した
pF-水分曲線または土壌水分特性曲線を利用することで、
両者の関係を把握できます。

代表的なpF値と土壌水分状態

pF値の目安 土壌水分状態の例 注意点
pF0付近 飽和に近い状態 土壌孔隙の多くが水で満たされている状態
pF1.5~2.0程度 圃場容水量付近として扱われる範囲 土壌や評価方法によって値は異なる
pF2.7~3.0程度 乾燥が進み、作物によっては水分ストレスが問題になる領域 作物・土壌によって影響は大きく異なる
pF3.8程度 初期しおれ点の目安として扱われる場合がある すべての作物に共通する境界値ではない
pF4.2程度 永久しおれ点の代表的な指標 作物が利用できる水が極めて少ない状態

これらの値は土壌水分を理解するための代表的な目安です。
特に「pF1.8なら必ず適湿」「pF2.7になったら必ず灌水」といった一律の管理基準として使用することは適切ではありません。

pF値と灌水管理

農業では、pF値や土壌水分張力を
灌水・かん水開始時期の判断に利用することがあります。

ただし、適切な灌水開始値は、作物、品種、生育ステージ、土性、根域の深さ、
栽培方式、季節、日射量、
蒸散などによって変わります。

特に施設園芸では、同じpF値でも高日射時と低日射時では作物が受ける水分ストレスが異なることがあります。
pF値だけで灌水を判断するのではなく、作物の状態や気象・環境条件と併せて判断することが重要です。

pFメーター・テンションメーターの測定範囲

一般的なテンションメーターは、
比較的湿潤な土壌の水分状態を測定する方法です。
土壌が強く乾燥すると装置内部へ空気が入り、正常に測定できなくなります。

一般的なテンションメーターの実用的な測定範囲は、おおむねpF0~2.8程度までです。
これより乾燥した領域を測定する場合には、
水ポテンシャルセンサー、電気抵抗式、誘電式土壌水分計など、
目的に適した別方式の測定方法を検討します。

pF値を見る際の注意点

pF値が同じであっても、土壌の種類や構造が異なれば含まれている水の量は同じではありません。
また、同一土壌でも乾燥していく過程と、灌水などによって湿潤になっていく過程では、
pF値と含水率の関係が完全には一致しない場合があります。
この現象をヒステリシスといいます。

したがって、pF値は「土壌中の水分率」を直接示す数値ではなく、
作物が土壌水を吸収する際の水分状態を評価するための一つの指標として利用します。

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