フィルム止めスプリング

フィルム止めスプリングとは

フィルム止めスプリングとは、
フィルム止めレールの溝へ押し込み、
被覆フィルムをレールとの間に保持するための波形・ばね状の固定部材です。
ビニールハウスの外張り、内張り、妻面、側面などで使用されます。

一般的な製品は、波形に加工した金属線をフィルム止めレールへ押し込んで使用します。
金属線の両端または全体を樹脂で被覆したもの、
耐食性を考慮しためっき線やステンレス線を使用したもの、
保持力を高めるため線径を太くしたものなどがあります。

フィルム止めレールとフィルム止めスプリングは別の部材です。
レールの溝形状とスプリングの線径・形状を組み合わせてフィルムを保持します。

フィルム止めスプリングの役割

フィルム止めスプリングをレールへ押し込むと、
スプリングの弾性によってレール内部へ保持され、
その間に挟まれたフィルムを連続的に固定できます。

パッカーがパイプ上の限られた位置でフィルムを挟むのに対し、
フィルム止めレールとスプリングを組み合わせる方式では、
レールに沿って線状にフィルムを固定できます。

スプリング単体の力だけでフィルムを固定しているわけではありません。
保持状態は、レールの溝形状、スプリングの形状・線径、
フィルムの枚数・厚さ、施工状態などによって変わります。

フィルム止めスプリングの主な種類

両端被覆タイプ

金属線の両端など、フィルムや作業者の手へ接触しやすい部分を
樹脂で被覆したタイプです。
金属線全体を被覆するタイプよりレールへ挿入しやすい製品もあります。

農ビの短期展張や仮止めなどに使用される製品もありますが、
適した用途は製品ごとに異なります。

全面被覆タイプ

金属線全体を樹脂で覆ったタイプです。
金属とフィルムが直接接触しにくく、
金属線の腐食を抑える目的でも使用されます。

農業用ポリオレフィン(農PO)など、
長期間展張するフィルムに対応した製品もあります。

全面被覆されていれば、どの農POにも無条件で使用できるという意味ではありません。
使用するフィルムとレール、スプリングそれぞれのメーカー仕様を確認します。

太線・高保持力タイプ

標準品より線径を太くし、保持力を高めた製品があります。
例えば同じメーカーの製品群でも、
2.0mm程度の標準タイプと2.3mm程度の太線タイプが設定されている場合があります。

厚手フィルムや長期展張向けとして設定された製品がありますが、
線径が太ければ常に安全というわけではありません。
レール側がその線径や使用枚数に対応している必要があります。

ステンレス線タイプ

ステンレス線を使用し、耐食性を高めた製品もあります。
沿岸部、高湿度環境、長期使用など、
腐食条件を考慮して選定される場合があります。

ステンレスは一般的な鋼線より耐食性に優れますが、
「ステンレスだから絶対に腐食しない」という意味ではありません。
薬剤、塩分、異種金属との接触、使用環境によって腐食する可能性があります。

農ビ・農POとの適合

フィルム止めスプリングは、
農業用ビニール(農ビ)や
農業用ポリオレフィン(農PO)などの
軟質フィルムを固定するために広く使用されています。

農POでは、スプリングとの接触部へ局所的な力や摩擦が繰り返し加わると、
フィルムに傷が生じる場合があります。
農PO向けには、全面樹脂被覆や太線など、
長期展張を考慮した製品が設定されています。

例えば東都興業では、
「ヒフク®スプリングストロング」を農業用POフィルム向けとして設定し、
線径2.3mm、全面樹脂コーティング仕様としています。

「農POだから必ず太線を使う」と一律に決めることもできません。
フィルム、レール、重ね張り枚数、施工位置などに応じて選定します。

多重張りとスプリング

外張りフィルム、内張りフィルム、ネットなどを同じレールへ重ねて固定する場合があります。
深溝タイプの
フィルム止めレールには、
複数本のスプリングを収納できる製品もあります。

ここで注意したいのは、
レールの溝に入ることと、メーカーがその組み合わせを認めていることは別
という点です。

フィルムの厚さ、重ねる枚数、スプリング本数、
スエージ接続部の溝寸法などによって使用条件は変わります。
多重張りではレールメーカーの仕様を確認します。

スプリングの取り付け

フィルムをレールの溝へ合わせ、
その上からスプリングを押し込んで固定します。
製品によって波形の向きや挿入方向が指定されている場合があります。

取り付け時にスプリングの端部でフィルムを引っかいたり、
無理な角度で押し込んだりするとフィルムを傷付けることがあります。
端部を樹脂被覆した製品は、このような傷の軽減も考慮した構造です。

フィルムを傷付けたままスプリングで押さえ込まないでください。
小さな傷でも、風による繰り返し荷重によって破れが拡大する場合があります。

腐食と薬剤の影響

フィルム止めスプリングには金属線を使用する製品が多いため、
水分や薬剤の影響で腐食する場合があります。

ハウス内では結露が発生しやすく、
土壌消毒剤、農薬、硫黄を使用する環境などでは、
金属部材への影響も考慮する必要があります。

樹脂被覆や耐食性の高いめっき、ステンレス線などを利用した製品がありますが、
被覆の傷や端部から腐食が始まる場合があります。
フィルム交換時にはスプリングの状態も確認します。

フィルム止めスプリングと硬質フィルム

一般的なフィルム止めスプリングは、
農ビや農POなどの軟質フィルムを固定する用途で広く使用されています。

硬質フィルムを固定できる製品・施工方式もありますが、
軟質フィルム用スプリングなら何でも使用できるわけではありません。
硬質フィルムでは専用の押さえ材や対応スプリングを指定する製品があります。

硬質フィルムへ流用する場合は、対応可否を必ずメーカー仕様で確認します。

フィルム止めスプリングとパッカーの違い

パッカーとフィルム止めスプリングは、
どちらも被覆材を固定する部材ですが、使用方法が異なります。

パッカーはフィルムをパイプとの間へ直接挟み込みます。
フィルム止めスプリングは、
フィルム止めレールと組み合わせて使用します。

使用位置やフィルム交換時の作業方法も異なるため、
一方を単純にもう一方の代用品として扱うものではありません。

よくある誤解

線径が太いほど必ずよい

誤りです。
太線タイプは保持力を高められる場合がありますが、
レールやフィルムとの適合が必要です。
過剰な保持力が常に適切とは限りません。

全面被覆ならフィルムを傷めない

全面被覆は金属との直接接触を減らすための構造ですが、
施工状態、砂や異物の噛み込み、フィルムの動きなどによって傷が発生する可能性はあります。

ステンレスなら交換不要

耐食性が高いことと永久に使用できることは同じではありません。
変形、被覆の劣化、保持力低下なども点検します。

深溝レールならスプリングを何本でも入れられる

誤りです。
使用できる本数や重ね張り条件はレールごとに異なります。
メーカー仕様を超えて使用しないでください。

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