養液栽培メーカー・システム施工企業とは
養液栽培メーカー・システム施工企業とは、水や肥料、栽培ベッド、培地、給液装置、排液設備、環境制御機器などを組み合わせ、作物や施設条件に応じた養液栽培システムを設計・製造・施工する企業です。
養液栽培には、培地を使わず培養液中で根を管理する水耕栽培と、ロックウールやヤシ殻などの固形培地を使用する固形培地耕などがあります。
メーカーによって、葉菜類の水耕栽培、トマト・キュウリなどの果菜類、イチゴ高設栽培、植物工場、給液・排液管理など得意分野が異なります。
養液栽培システムは、設備を導入すれば自動的に高収量・高品質になるものではありません。作物、栽培方式、原水、肥料処方、給液・排液、根域温度、ハウス環境、栽培管理技術などを一体として設計することが重要です。
主な養液栽培方式
水耕栽培
土や固形培地を基本的に使用せず、培養液によって根へ水分・養分を供給する方式です。
NFT(薄膜水耕)、湛液式、毛管水耕、噴霧式など複数の方式があり、レタス、ミツバ、葉ネギなどの葉菜類からキュウリなどの果菜類まで利用されています。
固形培地耕
ロックウール、ヤシ殻(ココ)、有機質培地などへ作物を植え、点滴などで培養液を供給する方式です。
トマト、ミニトマト、キュウリ、パプリカ、ナス、イチゴ、花きなどで広く利用されています。
高設・隔離栽培
栽培槽やベンチを地面から離し、根域を圃場土壌から隔離して管理する方式です。イチゴや果菜類で多く利用されています。
作業姿勢の改善や根域管理がしやすくなる一方、ベッド、培地、給排液設備、支持構造などを含めた設計が必要です。
植物工場
太陽光利用型や完全人工光型などがあり、養液栽培設備に加えて、温度、湿度、光、CO₂、空調などを総合的に制御します。
一般的なハウス養液栽培とは設備規模・投資額・運用条件が大きく異なるため、同じ基準だけで比較することはできません。
養液栽培メーカーを選ぶポイント
1. 栽培する作物と方式
最初に、作物、作型、目標収量、栽培面積を決めます。
葉菜用NFTとトマトのココ培地栽培、イチゴ高設栽培では必要な設備が大きく異なります。メーカーがその作物・方式について導入実績や栽培ノウハウを持っているか確認してください。
2. 新設か既設ハウスへの導入か
温室・ハウス本体から新設する場合と、既存ハウスへ養液栽培設備だけを導入する場合では、選定する企業や工事範囲が異なります。
温室本体、暖房、換気、カーテン、環境制御、電気・給排水工事まで一括対応する企業もあれば、栽培システムや給液設備を中心に供給するメーカーもあります。
3. 原水を確認する
養液栽培では、井戸水、水道水、農業用水などの原水条件が肥料処方や設備設計に影響します。
導入前にはpH、ECだけでなく、必要に応じて重炭酸、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどを含む水質分析を行い、使用できる水か確認します。
4. 給液・排液管理
養液栽培では、作物へ与える給液量だけでなく、培地を通過した排液量やEC、pHなどの把握が重要です。
日射比例給液、タイマー制御、排液率管理、培地重量計測など、メーカー・システムによって管理方法が異なります。
5. 排液をどう処理するか
培養液を掛け流す方式、排液を回収・再利用する循環方式、排液量を抑える方式などがあります。
循環式では肥料・水の利用効率を高められる一方、病原菌が培養液を介して広がる可能性があるため、ろ過・殺菌・養液調整などを含めた管理が必要になる場合があります。
6. 環境制御設備との連携
養液栽培では給液だけでなく、日射、温度、湿度、CO₂、換気、暖房、根域温度などが生育に影響します。
大規模施設では、給液装置とハウス環境制御を連携できるかも重要な比較項目です。
7. 導入後の栽培支援
養液栽培では、設備そのものだけでなく、定植後の給液管理、肥料処方、EC・pH管理、生育診断などの運用技術が重要です。
導入後の現地指導、遠隔支援、栽培マニュアル、消耗部品の供給、故障時の対応体制まで確認してください。
導入前にメーカーへ伝えたい条件
- 作物・品種:トマト、キュウリ、イチゴ、葉菜類など
- 栽培面積:現在の面積と将来の増設計画
- 新設・既設:新規ハウスか既存施設への導入か
- 原水:井戸水、水道水、農業用水など
- 現在の栽培方式:土耕、養液土耕、水耕、固形培地耕など
- 希望する培地:ロックウール、ヤシ殻、その他培地など
- 給液管理:タイマー、日射比例、排液管理、自動EC・pH制御など
- 排液処理:掛け流し、回収、再利用の希望
- 既存設備:暖房、換気、環境制御、電源、給排水など
- 栽培支援:設備だけでなく栽培指導が必要か
初期価格だけで比較すると、導入後に給排液設備、電源、培地、環境制御、メンテナンスなどの追加費用が必要になる場合があります。設備本体だけでなく、施工範囲と運用コストまで含めて比較してください。
養液栽培システム取り扱いメーカー・代理店
| 製造・発売元 | 主な養液栽培システム | 主な方式・対象 | 特徴・対応領域 |
|---|---|---|---|
| NFT水耕/葉菜類 | 自然光利用型水耕栽培システム。移動式栽培台と養液管理装置を組み合わせ、設計・施工・設備導入から導入後の栽培支援まで対応。 | ||
| 固形培地耕/トマト・キュウリ・ナス・パプリカ | ベッド方式とココ・ロックウール培地を組み合わせる養液隔離栽培システム。既存ハウスのリフォームにも対応。 | ||
| 水耕・固形培地耕・植物工場/葉菜・果菜・イチゴ等 | EK式ハイドロポニック、ロックファーム、スプレーポニック、ココベリーファーム、CAN DOファームなどを展開。温室・栽培設備・栽培技術を含めて対応。 | ||
| 固形培地耕・極少量培地耕/トマト・イチゴ等 | ベリーグッドシステムM・E・P型、サンラックシステム、ハンギングシステムなどを展開。温室本体を含む設計・施工にも対応。 | ||
| 固形培地・高設栽培/イチゴ等 | EC制御による給液設備、栽培ベッド、培地加温等を組み合わせる養液栽培システム。既存ハウスへの導入にも対応。 | ||
| 養液栽培装置/施設園芸 | 温室・ビニールハウスの設計製造施工に加え、養液栽培装置、灌水、環境制御等の付属設備を設計・施工。 | ||
| 固形培地・高設等/トマト・イチゴほか | 養液栽培システムと灌水・モニタリング・遠隔制御等を組み合わせて提案。温室を含む施設全体にも対応。 | ||
| NFT・毛管水耕・植物工場/葉菜・キュウリ | 葉菜用太陽光利用型植物工場「ナッパーランド」、キュウリ用「かっぱランド」、人工光閉鎖型苗生産装置「苗テラス」等を展開。 | ||
| 給液制御・隔離栽培/果菜・イチゴ等 | 給液名人かけるくん、スイコーマンα、隔離栽培システム「樽」、イチゴ栽培システムなどを展開。環境制御機器との組み合わせにも対応。 | ||
| 固形培地・高設/果菜・イチゴ等 | ココバッグ栽培、イチゴ高設栽培、給液・排液管理、排液リサイクルなどを提案。導入後の栽培支援にも対応。 | ||
| 給液・固形培地養液栽培/果菜等 | 液肥混入器、フィルター、圧力制御弁、タイマー等を組み合わせた養液栽培システム。閉鎖型のEcoNoWaなども展開。 |
関連する資材分類・農業用語
まとめ
養液栽培メーカーを選ぶ際は、設備価格やシステム名称だけでなく、栽培する作物、養液栽培方式、原水、培地、給排液管理、環境制御、施工範囲、導入後の栽培支援まで確認することが重要です。
メーカーごとに、水耕栽培、固形培地耕、イチゴ高設栽培、植物工場、給液・排液設備など得意分野が異なります。
作物と圃場条件を整理したうえで複数のシステムを比較し、設備と栽培技術の両面から導入を検討してください。