暗渠排水とは
暗渠排水(あんきょはいすい)とは、地中に吸水管や疎水材などを設置し、圃場内の余剰水を集めて排水路などへ排出する地下排水の仕組みです。
地表に開いた溝をつくる明渠と異なり、排水施設の主要部分が地中に設けられます。
水田の畑地化、水田転換畑、排水性の低い畑などで利用されます。
暗渠排水の役割
大雨の後、地表の水が引いていても、土壌内部や地下水位が高い状態が続くことがあります。
暗渠排水は、このような余剰水を地中から集め、排水口へ導くための施設です。
主な目的は、圃場内の過剰な水を排出し、作物や農作業に適した水分状態を確保することです。
暗渠排水そのものが土壌構造を直接改善するわけではありません。
過湿状態が改善されることで、根域の気相が確保されやすくなったり、機械作業が可能になるまでの時間を短縮できたりする場合があります。
本暗渠とは
暗渠排水の中心となる施設を本暗渠と呼びます。
地中へ吸水性能を持つ管を埋設し、必要に応じてその周囲や上部へ籾殻、砕石などの疎水材を配置します。
土壌中の水は疎水材などを通って吸水管へ入り、集水された後、排水路などへ排出されます。
疎水材の種類や構造は、土壌条件や施工方法によって異なります。
単に穴の開いた管を埋めれば同じ性能になるわけではありません。
補助暗渠とは
本暗渠だけでは十分な排水効果が得られない場合、補助暗渠を組み合わせることがあります。
代表的なものには、土中へ連続した通水孔をつくる弾丸暗渠などがあります。
心土破砕を行い、作土から本暗渠の疎水材へ水が移動しやすい経路を確保する方法もあります。
本暗渠、補助暗渠、心土破砕は役割が異なります。
一つだけ施工すればよいとは限りません。
暗渠排水だけでは改善しない排水不良もある
排水不良の原因を確認せずに暗渠を施工しないでください。
排水不良には、地下水位が高い場合、作土下に難透水層がある場合、地表に凹凸があり水が滞留している場合、排水路の水位が高い場合など、異なる原因があります。
地表水が排水口まで流れないことが主因なら、明渠や圃場の均平など別の対策が必要になる場合があります。
排水路そのものの水位が高ければ、暗渠管へ水を集めても十分に排出できません。
暗渠を入れても水が抜けない原因
既設暗渠がある圃場でも、排水能力が低下することがあります。
代表的な確認点には次があります。
- 排水口の閉塞や水没
- 吸水管の目詰まり・破損・変形
- 疎水材の沈下や劣化
- 作土と疎水材の間に難透水層が形成されている
- 補助暗渠との接続が十分でない
- 排水路の水位が高い
暗渠が施工されているというだけで、現在も正常に機能しているとは判断できません。
排水口や土壌断面を確認します。
心土破砕との組み合わせ
作土と本暗渠の間に水を通しにくい層があると、暗渠管が正常でも地表付近の水が吸水管へ到達しにくくなります。
このような場合には、サブソイラーなどによる心土破砕を行い、本暗渠の疎水材へつながる水みちを形成する方法があります。
施工方向や深さを誤ると十分な効果が得られません。
既設暗渠管を破損する危険もあるため、暗渠の位置と深さを確認して施工します。
暗渠排水と根腐れ・病害
暗渠排水は「根腐れ防止装置」や「病害防除設備」ではありません。
過湿が作物の生育障害や一部の土壌病害を助長する場合、排水状態の改善がリスク低減につながることはあります。
病害の発生には病原菌、作物、地温、土壌条件など複数の要因が関係するため、暗渠排水だけで病害を防げるとは限りません。
暗渠排水を計画するときの確認点
暗渠の深さや間隔には、すべての圃場に適用できる固定値はありません。
少なくとも次の条件を確認して設計します。
- 土性と透水性
- 作土の厚さと難透水層の位置
- 地下水位
- 圃場の勾配
- 排水路の位置と水位
- 栽培する作物
- 既設暗渠の位置と機能
排水不良の原因を把握してから、本暗渠、補助暗渠、明渠、心土破砕などを組み合わせます。
暗渠排水の維持管理
暗渠排水は施工後も点検が必要です。
特に排水口は目視しやすく、排水量の変化、土砂や植物根などによる閉塞、破損の有無を確認できます。
以前より水が抜けにくくなった場合は、暗渠そのものを新設する前に既設施設の機能低下を確認します。
原因によって必要な補修方法は異なります。
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