
幼根(ようこん)とは、種子の発芽時に最初に地中へ伸びる根。
幼根(ようこん)とは、植物の種子に含まれる胚(はい)の一部であり、発芽時に最初に伸びる根の原基(げんき)です。
種子が発芽すると、幼根は最初に地中へと伸びていき、水分や無機養分を吸収することで胚全体の成長を支えます。幼根は、主根へと発達する根のもとであり、胚軸(はいじく)の下端、つまり胚柄(はいへい)のすぐ下に形成されます。
植物の成長初期において重要な役割を担う構造であり、豆類や穀物類など多くの作物で観察されます。
同意語としては「原根」や「初根」が用いられることもあります。
幼根の概要
幼根は、種子の発芽に伴い最初に発達する根の構造で、植物が自力で栄養を吸収する最初の器官です。
双子葉植物では主根へと発達し、単子葉植物では吸収根の一部として役割を果たします。
大豆(ダイズ)やインゲン豆などの豆類では、種子中に見られる胚の下端に幼根が明確に存在します。
特に胚乳細胞(はいにゅうさいぼう)の養分を受けて、胚球(はいきゅう)とともに発達を始めます。
幼根の詳細説明
- 形成位置
胚の下端部、胚柄に続く部分にあり、胚軸の最下部から伸長を開始します。 - 構造
幼根は根冠(こんかん)と呼ばれる保護構造を持ち、根端分裂組織が活発に活動して根を伸ばします。 - 機能
水分や無機塩類を吸収し、幼植物の発育に必要な基盤を築きます。 - 成長の流れ
吸水によって細胞が急激に膨張・伸長し、種皮を破って地中に向かって伸び、主根へと発達します。
幼根の役割
- 初期栄養吸収
種子が地中で発芽する際、他の根が成長するまでの間、植物の命を支える吸収源となります。 - 土壌への固定
地中に伸びて土中に定着することで、植物が倒れずに安定して育つための支柱として機能します。 - 主根の基盤形成
多くの作物において、幼根が成長して主根へと変化し、後に側根やひげ根の発生を導きます。
幼根に関する課題と対策
課題1:乾燥土壌による発育不良
幼根は水分に非常に敏感であり、発芽初期に土壌が乾燥していると吸水が妨げられ、発芽や根の伸長が阻害される可能性があります。
対策:播種後の適切な灌水やマルチングによって土壌表面の乾燥を防ぎます。
課題2:土壌病害の感染
発芽直後の幼根は柔らかく、フザリウム属菌やリゾクトニアなどの病原菌に感染しやすく、苗立枯病の原因となることがあります。
対策:土壌消毒や土壌改良材の施用、健全な種子の選定によってリスクを軽減します。
課題3:硬盤層の存在による根の障害
地中に固い層があると、幼根が十分に伸びず、根系の発達が制限されます。
対策:深耕や心土破砕を行い、根の通り道を確保します。