SPAD値とは
SPAD値(スパッド値)とは、植物の葉に含まれる
葉緑素(クロロフィル)量を光学的に評価するための指示値です。
コニカミノルタの葉緑素計SPADシリーズで用いられている指標として広く知られています。
SPADという名称は、葉緑素計の開発に関わった
「Soil & Plant Analyzer Development」に由来します。
農業現場では水稲の葉色診断をはじめ、野菜、畑作物、果樹などの生育調査や窒素栄養診断の研究に利用されています。
SPAD値は葉中窒素濃度ではありません。
また、SPAD値40を「葉緑素40%」などと解釈することもできません。
SPAD値の測定原理
代表的な葉緑素計では、葉緑素による吸収特性が異なる2つの波長域の光を葉へ照射し、
葉を透過した光の違いから葉緑素量に対応する値を算出します。
例えばSPAD-502Plusは「2波長光学濃度差方式」を採用しています。
葉を切り取らずに測定できるため、同じ葉の変化を継続して追跡できます。
得られるSPAD値は葉緑素量と相関する指標ですが、
クロロフィルを抽出して質量や濃度を直接分析した値ではありません。
SPAD値と窒素栄養の関係
作物の窒素栄養状態は葉の葉緑素量に影響するため、
条件を定めればSPAD値を窒素栄養診断へ利用できます。
水稲では品種や生育時期ごとにSPAD値の診断基準が設定され、
穂肥などの施肥判断に利用されている例があります。
重要なのは、SPAD値と葉中窒素濃度の関係は普遍的ではないことです。
作物、品種、生育時期、葉位などが変われば関係も変化します。
研究や地域の栽培指針で「SPAD値○○以下なら追肥」などの基準が示されていても、
その基準を別の作物や品種へそのまま流用してはいけません。
測定するときの注意点
水稲で正確に比較する場合、測る葉を決めます。
例えば地域の診断基準では、生育時期によって展開第2葉や展開第3葉など、
測定対象となる葉位が指定されています。
同じ1枚の葉でも測定場所によってSPAD値は変わります。
太い葉脈を測定部へ入れると値がばらつくため、葉脈を避け、
毎回ほぼ同じ位置を測ります。
1株を1回測った値で圃場全体を判断しないでください。
平均的な株を複数選び、同一条件で測定した値を比較するのが基本です。
SPAD値と葉色値は同じか
同じではありません。
葉色診断で使用される葉色板(カラースケール)の数値は、
人の目で葉色と色票を比較して得る値です。
SPAD値は葉を透過する光を測定して得られる機器の指示値です。
水稲などでは両者の換算式が示されている場合がありますが、
その式には対象品種や測定条件があります。
一つの換算式をすべての作物へ適用することはできません。
SPAD値の正しい使い方
SPAD値が最も役立つのは、条件を揃えて変化を比較するときです。
同じ品種、同じ生育段階、同じ葉位、同じ測定位置で継続して測れば、
窒素栄養状態や圃場内のばらつきを捉える有力な情報になります。
追肥量を決める場合は、地域・品種別の診断基準があるかを確認し、
草丈、茎数、葉数、生育ステージ、施肥履歴なども含めて判断します。
よくある質問
SPAD値が高ければ窒素が多いと考えてよいですか?
同じ作物・品種・生育段階など条件を揃えた比較では、
窒素栄養状態とSPAD値に関係が認められる場合があります。
しかし、SPAD値だけから葉中窒素濃度を一律に決めることはできません。
SPAD値が低ければ追肥すべきですか?
SPAD値だけでは決められません。
水稲では葉色が淡くても茎数が多く、植物体全体として窒素吸収量が確保されている場合があります。
品種・時期別の診断基準と生育量を合わせて判断します。
違う葉緑素計の数値を比較できますか?
測定原理や表示指標を確認せず比較することはできません。
機器によってSPAD、CCI、推定クロロフィル量など表示内容が異なります。
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