葉色診断とは
葉色診断(ようしょくしんだん)とは、作物の葉の色や
SPAD値などを測定し、
植物の栄養状態や生育状態を評価する診断方法です。
特に水稲では、窒素栄養状態を把握し、穂肥などの施肥判断を行う方法として利用されています。
葉の緑色には葉緑素(クロロフィル)が関係しています。
窒素栄養状態の変化が葉緑素量や葉色へ現れる性質を利用して、
作物を抜き取ったり化学分析したりせず、圃場で素早く状態を確認できます。
葉色診断は「葉が薄ければ肥料を追加する」という方法ではありません。
品種、生育時期、葉位、草丈、茎数などを含めた診断基準と照合して使います。
葉色診断の主な方法
葉色板(カラースケール)による診断
水稲では、淡い緑色から濃い緑色まで段階的に並べた葉色板を使い、
作物の葉色と比較して数値化する方法があります。
専用機器を必要とせず圃場で簡単に測定できます。
反面、太陽光の方向、明るさ、測定時刻、見る角度、測定者によって判定が変わりやすいため、
地域の測定方法に合わせて条件を揃えます。
葉緑素計による診断
葉緑素計を使い、
葉を透過する光からSPAD値などを測定する方法です。
目視による葉色板より数値として記録しやすく、経時変化や圃場内のばらつきを比較できます。
機器を使用しても測定条件を揃える必要はあります。
測る葉位や葉の位置が違えば、同じ株でも数値が変わります。
葉色診断と追肥
例えば水稲では、幼穂形成期など所定の時期に葉色やSPAD値を測り、
品種や地域ごとに設定された診断基準と比較して穂肥の要否や施肥量を検討します。
ここで注意したいのが、葉色と植物体全体の生育量の違いです。
葉色が淡くても茎数が多ければ、圃場全体としての窒素吸収量が確保されている場合があります。
その状態で葉色だけを根拠に追肥すると、窒素過剰になる可能性があります。
反対に、葉色が濃いことを「生育が良い」と判断するのも危険です。
作物や時期によっては、過剰な窒素栄養による過繁茂、倒伏、成熟遅延、品質低下などを警戒する必要があります。
葉色診断で条件を揃える理由
葉色は品種や生育段階によって自然に変化します。
同じ作物でも、若い葉と古い葉、上位葉と下位葉では色や葉緑素量が異なります。
水稲のSPAD診断では、地域の栽培指針によって測定する葉位が指定されています。
平均的な生育をしている複数株を選び、同じ葉位・同じ位置を測定して平均値を求めます。
葉色板を使用する場合も、光の当たり方や測定時刻を揃えます。
条件が違う測定値を時系列で比較すると、実際には生育が変わっていないのに、
葉色が変化したように見えることがあります。
葉色だけで原因診断をしない
葉色が淡い、黄化しているという症状だけでは原因を確定できません。
窒素栄養だけでなく、他の養分状態、根の障害、土壌条件、病害などでも葉色は変化します。
原因が不明な状態で追肥すると、問題を解決できないだけでなく、
肥料過剰や塩類集積を招くおそれがあります。
必要に応じて土壌診断、
植物体分析、硝酸態窒素の測定などを併用します。
よくある質問
葉色が薄ければ窒素を追肥すればよいですか?
葉色だけでは決められません。
作物、品種、生育時期、茎数や草丈などを確認し、その作物に適した診断基準と照合します。
原因が窒素不足でない場合、窒素を追加しても改善しません。
葉色が濃いほど生育は良好ですか?
そうとは限りません。
適正範囲より葉色が濃い場合は、窒素過剰などを示している可能性もあります。
「濃いほど良い」という判断は避けます。
SPAD値があれば葉色板は不要ですか?
目的と診断基準によります。
地域の栽培指針で葉色板による基準が設定されている場合もあれば、
SPAD値による基準が設定されている場合もあります。
診断基準と異なる測定方法へ勝手に置き換えないでください。
前年のSPAD値と比較できますか?
品種、播種・移植時期、生育段階、葉位、測定位置などの条件が揃っていれば有効な比較になります。
測定条件が違う場合は、単純な数値比較はできません。
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