堆肥とは
堆肥(たいひ)とは、家畜ふん、稲わら、落ち葉、作物残さ、剪定枝などの有機性資源を、主として微生物の働きによって分解・安定化させ、農地などで利用できる状態にした資材です。
英語ではCompostと表記します。
堆肥は単に「有機物を腐らせたもの」ではありません。
一般的な堆肥化では、酸素を利用する好気性微生物の活動によって原料を分解し、発酵と熟成を経て、農地へ施用しやすい状態へ変化させます。
堆肥化と腐敗の違い
堆肥化では、原料の水分や空気の入りやすさを管理し、好気性微生物が活動できる環境をつくります。
水分が多すぎて空気が入りにくくなると、嫌気的な分解が進み、強い臭気などが発生することがあります。
切り返しや攪拌は、内部へ空気を供給するとともに、原料、水分、温度の偏りを小さくするために行います。
原料を積んで放置することと、適切に堆肥化することは同じではありません。
堆肥の主な原料
堆肥は原料によって性質が大きく異なります。
家畜ふんを主原料とする堆肥
牛ふん、豚ぷん、鶏ふんなどを主原料とし、敷料として使われた稲わら、オガクズ、もみ殻などを含む場合があります。
畜種や副資材によって肥料成分、水分、塩類濃度などが異なります。
植物残さを主原料とする堆肥
稲わら、麦わら、落ち葉、剪定枝、バーク、作物残さなどを原料とします。
木質系原料は分解に時間がかかる場合があり、原料の粒径や組成によって堆肥化の進行速度も変わります。
食品残さなどを利用した堆肥
食品製造残さや生ごみなどを原料として堆肥化する方法もあります。
原料の水分や成分が大きく異なるため、植物残さや家畜ふんと同じ管理条件になるとは限りません。
堆肥化で管理する条件
堆肥化の進み方は、原料、水分、空気、温度、堆積量、切り返し、期間などによって変わります。
特に水分が多すぎると原料中の空隙が水で満たされ、空気が入りにくくなります。
乾燥しすぎれば微生物の活動が低下します。
適正水分は原料によって異なるため、一律の数値だけで判断しないでください。
また、堆肥内部まで空気を供給するには、原料の物理性を確保し、必要に応じて切り返しや強制通気を行います。
未熟な堆肥に注意する
堆肥は、一定期間置けば自動的に「完熟」するわけではありません。
原料や製造条件によっては分解途中の有機物、アンモニア、有機酸などが残ることがあります。
未熟な状態で大量に施用すると、根の生育への悪影響、土壌中での酸素消費、窒素の一時的な取り込みなどが問題になる場合があります。
色が黒い、臭いが弱いという外観だけで腐熟度を断定することもできません。
堆肥と肥料成分
堆肥には窒素、リン酸、カリなどの成分が含まれる場合がありますが、その含有量と肥効は原料によって大きく異なります。
「堆肥だから肥料成分は少ない」と一律に考えるのは誤りです。
家畜ふんを原料とする堆肥などでは、製品によって肥料成分や塩類が多い場合があります。
施用量は堆肥の種類だけでなく、成分値、作物、土壌条件、これまでの施肥履歴などを確認して決めます。
肥料や化学肥料の代わりとして単純に容量換算しないでください。
堆肥の主な利用目的
堆肥は原料や腐熟状態に応じて、土壌への有機物供給、土壌物理性の改善、肥料成分の供給などを目的に利用されます。
どの効果が大きいかは堆肥ごとに異なります。
「堆肥を入れれば土が良くなる」と一律に判断するのではなく、施用する堆肥の性質と圃場の状態を確認します。
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