ウリハムシ(うりはむし)とは、キュウリ、スイカ、メロン、カボチャなどのウリ科作物を主に加害する、コウチュウ目ハムシ科の害虫です。成虫は葉や花、果実を食害し、幼虫は土中で根を食害します。特に苗が小さい時期に成虫が多く飛来すると、葉が大きく食害され、生育が遅れたり、激しい場合には枯死したりすることがあります。
成虫の体色は橙黄色~黄褐色で、背面に黒い斑点がある虫ではありません。体長はおおむね7~9mm程度で、腹部や中・後脚などは暗色を帯びます。葉を円形または輪状にかじる特徴的な食害痕を残すことがあります。
別名として「ウリバエ」と呼ばれることがあります。「ウリハムシモドキ」は名前が似ていますが、ウリハムシとは別種です。
ウリハムシの概要
- 分類:コウチュウ目 ハムシ科
- 学名:Aulacophora indica(国内資料では Aulacophora femoralis とするものもあります)
- 英名:Cucurbit leaf beetle
- 成虫の大きさ:おおむね7~9mm程度
- 主な加害作物:キュウリ、メロン、スイカ、カボチャなどのウリ科作物
- 主な被害:成虫による葉・花・果実の食害、幼虫による根の食害
- 越冬:成虫で越冬し、春にウリ科作物へ飛来します

キュウリの葉を食害するウリハムシ成虫
ウリハムシの発生と生活環
ウリハムシは一般に成虫で越冬します。春に気温が上がると越冬成虫が活動を始め、ウリ科作物へ飛来して葉などを食害します。
雌成虫は株元周辺の土壌表面や浅い土中などに産卵します。ふ化した幼虫は土中で生活し、根を食害します。成熟した幼虫は土中で蛹になり、夏から秋に新しい成虫が現れます。国内では一般に年1回発生するとされていますが、成虫が見られる時期は地域や気象条件によって異なります。
新成虫は秋まで活動した後、落葉や草むらなどの越冬場所へ移動します。このため、春に突然圃場内で発生したように見えても、実際には周辺で越冬した成虫がウリ科作物へ飛来している場合があります。
ウリハムシによる被害
成虫による葉の食害
もっとも目立つのが成虫による葉の食害です。葉面を円形または輪状にかじり、その内側を食べることがあり、食害が進むと葉に多数の穴が開きます。
生育した株では多少の食害が直ちに大きな減収につながるとは限りませんが、定植直後や本葉の少ない苗では事情が異なります。葉面積そのものが少ないため、多数の成虫が集中すると葉を急速に失い、活着不良や生育停滞、場合によっては枯死につながります。
花や果実の食害
成虫は葉だけでなく、花や果実を食害することがあります。果皮に食害痕が生じると、果実の商品価値を低下させる原因になります。
幼虫による根の食害
幼虫は土中でウリ科作物の根を食害します。地上部から幼虫そのものを確認しにくいため、根傷み、生育不良、萎れなどが現れてから被害に気付くことがあります。被害が激しい場合には主根や地際部まで加害され、株が枯死することもあります。
ウリハムシの防除
定植直後の飛来を防ぐ
ウリハムシ対策で特に優先したいのは、苗が小さい時期に越冬成虫を侵入させないことです。露地では定植後の一定期間を防虫ネットや寒冷紗、キャップなどで被覆すると、成虫の飛来を物理的に抑えることができます。
被覆内部は晴天時に高温になりやすいため、作物の生育や気温を確認しながら換気や被覆除去の時期を判断します。防虫ネットを掛けただけで高温障害を起こしては意味がありません。
シルバーマルチを補助的に利用する
シルバーマルチなどの光反射資材によって、成虫の飛来や産卵を抑制できる場合があります。
ただし、シルバーマルチだけでウリハムシを完全に防除できるわけではありません。作物が繁茂してマルチ表面が葉で覆われると反射面が見えにくくなり、飛来抑制効果も低下します。公的な露地キュウリの実証でも、防除効果が不十分と評価された事例があります。防虫ネットや発生確認などと組み合わせる補助技術と考えます。
成虫を早期に確認する
定植直後から葉を観察し、橙黄色の成虫や円形・輪状の食害痕がないか確認します。少数発生の段階であれば捕殺も可能です。ウリハムシは気温が高くなると活発に飛翔するため、比較的活動の鈍い早朝などの方が捕獲しやすくなります。
農薬を使用する場合
発生量が多く、物理的な防除だけでは被害を抑えられない場合は、対象作物とウリハムシに登録のある農薬を使用します。
農薬使用時の注意:
農薬登録は、作物、対象害虫、使用方法、希釈倍数・使用量、使用時期、使用回数などによって異なります。「ウリハムシに効く農薬」であっても、栽培している作物に使用できるとは限りません。使用前に必ず製品ラベルと農林水産省「農薬登録情報提供システム」で最新の登録内容を確認してください。
ウリハムシ防除で間違えやすい点
黄色粘着板を主な防除方法と考えない
アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類などの防除・発生確認では粘着板が利用されますが、ウリハムシについて「黄色を好むため黄色粘着板で防除する」と一般化するのは適切ではありません。ウリハムシ対策では、苗期の物理的な被覆、発生確認、必要に応じた登録農薬による防除を優先します。
ウリハムシモドキと混同しない
ウリハムシモドキはウリハムシの別名ではなく、別の昆虫です。害虫名を誤認すると、発生生態や対象作物、防除方法の判断を誤る原因になります。
ウイルス病の媒介虫と決めつけない
ウリ科作物ではアブラムシ類などが媒介するウイルス病が問題になりますが、ウリハムシをズッキーニ黄斑モザイクウイルスなどの主要な媒介虫として扱うのは適切ではありません。
葉にウリハムシの食害痕とモザイク症状が同時に見られても、「ウリハムシがウイルスを運んだ」とは判断できません。食害とウイルス病は分けて診断する必要があります。
シルバーマルチだけに依存しない
反射資材には飛来を抑える効果が期待できますが、その効果は圃場条件や作物の繁茂状態によって変わります。「銀色にすれば来なくなる」と考えず、苗期の防虫ネットなど、より直接的な侵入防止策と組み合わせます。
ウリハムシの総合的な防除
ウリハムシでは、苗が小さい時期の被害を防ぐことが特に重要です。定植直後は防虫ネットなどで飛来を抑え、圃場を観察して成虫や食害痕を早期に確認します。シルバーマルチは補助的に利用し、発生量が多い場合には登録のある農薬による防除を検討します。
一つの方法だけに依存するのではなく、物理的防除、耕種的対策、発生確認、必要に応じた薬剤防除を組み合わせるIPM・総合的病害虫管理の考え方が適しています。
関連する資材分類・農業用語
参考資料
- 京都府農林水産技術センター「野菜の病害虫 ウリハムシ」
- 農研機構「飼料作物害虫目録 ハムシ科」
- 全国農村教育協会 病害虫・雑草の情報基地「ウリハムシ」
- 山口県「野菜の病害虫の耕種的防除と防除上の注意」
- 農林水産省「農薬登録情報提供システム」
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