防霧とは
防霧(ぼうむ・ぼうきり)とは、ビニールハウスや温室などの施設内で発生する霧・モヤを抑える性質です。
農業用ビニール(農ビ)や農業用ポリオレフィン系フィルム(農PO)などの被覆資材には、防霧性能を持たせた製品があります。
施設内では、作物からの蒸散や土壌・培地・灌水などによって水蒸気が供給されています。
夜間から早朝などに空気が冷え、高湿度になった条件では、微細な水滴が空気中に浮遊して霧やモヤが発生することがあります。
防霧性を持つ農業用フィルムは、このような霧・モヤの発生を抑えることを目的としています。
施設内で霧・モヤが発生する理由
空気中に含むことのできる水蒸気量は温度によって変化します。
温度が低下すると相対湿度が上昇し、空気が飽和に近づきます。
さらに冷却されると、水蒸気が微細な水滴となり、霧やモヤとして空気中を漂う場合があります。
特に、外気温が低く施設内の湿度が高い夜間から早朝、曇雨天時、換気を抑えた時期などでは発生しやすくなります。
ただし、霧の発生は温度と湿度だけでなく、換気、作物量、灌水量、施設構造、外気条件などにも左右されます。
防霧と防滴・無滴の違い
防霧と防滴・無滴は同じ性能ではありません。
農業用フィルムを選定する際には、この違いを理解しておく必要があります。
- 防霧:
ハウス内の空気中に浮遊する微細な水滴による霧・モヤの発生を抑える性能です。 - 防滴・無滴:
フィルム内面に生じた結露水を大きな水滴として付着・落下させにくくし、フィルム面に沿って流れやすくする性能です。
つまり、防霧は主としてハウス内の空中に発生する霧・モヤに関係し、
防滴・無滴は被覆フィルム表面に生じる結露水に関係します。
農業用フィルムでは両方の性能を持たせた製品が多いため、「防霧」「防滴」「無滴」などが一緒に表示されることがありますが、意味は区別して考える必要があります。
防霧と結露の違い
防霧性能があるからといって、結露そのものが発生しなくなるわけではありません。
空気や被覆材などの表面温度が露点まで低下すると、条件によって結露が生じます。
防霧フィルムは施設内の霧・モヤを抑える機能を持たせた資材であり、施設内の水蒸気を除去する除湿設備ではありません。
結露や高湿度を抑えるためには、防霧性能だけに頼らず、換気、加温、除湿、灌水管理、内張りの開閉などを組み合わせて施設内環境を管理する必要があります。
防霧性を持つ被覆資材
防霧性能は、農業用ビニール(農ビ)や農POなどの施設園芸用フィルムに付加されています。
製品によって、防霧剤などを配合する方法や、防滴・無滴性能と組み合わせた設計が採用されています。
ただし、すべての農ビ・農POが同じ防霧性能を持つわけではありません。
また、防霧性能の発現や持続性は、フィルムの種類、製品設計、使用期間、展張条件、施設内環境などによって異なります。
防霧性能の効果と限界
防霧性のあるフィルムを使用すると、ハウス内の霧・モヤの発生を抑え、施設内の視界や採光環境の悪化を軽減することが期待できます。
また、霧によって作物表面が濡れる状態を抑えることは、葉濡れが関係する病害リスクを考えるうえでも意味があります。
ただし、防霧フィルムを使用すれば霧が完全に発生しなくなるわけではありません。
高湿度状態が続く場合や、温度低下が大きい場合、換気が不足している場合などには、防霧性能を持つフィルムでも霧・モヤが発生することがあります。
また、「防霧フィルムを使用すれば病害を防げる」という判断も誤りです。
病害の発生は、病原菌、温度、湿度、葉濡れ時間、作物の状態など複数の条件によって決まるため、防霧性は病害防除の補助的な環境条件の一つとして考えます。
防霧フィルムを選ぶ際の注意点
- 防滴・無滴との違いを確認する:
防霧だけでなく、防滴・無滴性能の有無も確認します。 - 用途を確認する:
外張り、内張り、サイド、トンネルなど、メーカーが指定する用途を確認します。 - 性能の持続性を確認する:
防霧性能があることと、その性能が展張期間中ずっと同じ状態で維持されることは別問題です。 - 高湿度対策の代わりにしない:
防霧フィルムは換気・加温・除湿などの湿度管理を不要にする資材ではありません。 - 製品表示を確認する:
「防霧」「防滴」「無滴」「防曇」など、メーカーによって機能表示や呼称が異なるため、製品仕様を確認します。
よくある誤解
- 「防霧=結露しない」:
誤りです。防霧は主として施設内の霧・モヤを抑える性能で、結露そのものをなくす機能ではありません。 - 「防霧=防滴・無滴」:
同じではありません。防霧は空中の霧・モヤ、防滴・無滴は主としてフィルム面の結露水の挙動に関係します。 - 「防霧フィルムなら換気しなくてもよい」:
誤りです。施設内に水蒸気が蓄積すれば高湿度状態となるため、換気や加温などの湿度管理は別途必要です。 - 「防霧フィルムなら病害が発生しない」:
誤りです。病害発生には温度、葉濡れ、病原菌、作物の状態など多くの条件が関係します。
関連する資材分類・農業用語
見つからない用語・製品の登録をリクエスト
個人情報の入力は不要です。掲載してほしい名称だけをお知らせください。