葉脈(ようみゃく)

葉脈(ようみゃく)
葉脈の異常は条件次第で変動するため、観察点を揃えて見極めます。

葉脈(ようみゃく)の概要

葉脈(ようみゃく)は、葉の内部に張り巡らされた維管束(いかんそく)が配置された構造で、水分・無機養分の移動と、光合成(こうごうせい)産物の転流(てんりゅう)、葉身(ようしん)の支持に関わります病害虫そのものではなく、葉脈が目立つ・変色する現象だけで病害虫名や肥料欠乏を断定する根拠にはなりません

また、葉脈は葉の「表面の模様」ではなく、内部組織の配置が外観として見えているものです。葉脈の異常に見える症状は、感染性病害、生理障害、薬害(やくがい)、根傷み、水分ストレスなど複数要因で起こり得るため、葉脈“だけ”で判断せず、葉位(ようい)・分布・進展速度・他症状の有無を整理して見極めます。

近縁表現としては「葉の維管束(はのいかんそく)」があります。

葉脈・葉柄(ようへい)・葉肉(ようにく)の違い(簡易整理)

  • 葉脈:葉身内に配置された維管束ネットワーク/葉の表面に付いた汚れや斑点ではない
  • 葉柄:葉身と茎(くき)をつなぐ柄(え)/葉身内の通り道(葉脈)ではない
  • 葉肉:葉身の主な組織(光合成を担う細胞群)/維管束そのもの(葉脈)ではない

葉脈(ようみゃく)の詳細説明

葉脈(ようみゃく)は、木部(もくぶ)と師部(しぶ)からなる維管束(いかんそく)が葉身(ようしん)内に配列した構造で、葉の中の「輸送路」と「骨格」に相当します。木部は根から吸い上げた水分・無機養分を葉へ運び、師部は光合成産物(糖など)を他器官へ転流(てんりゅう)させます。

さらに葉脈は葉身を支え、風や自重による変形を抑える役割も持ちます。したがって葉脈の状態が変わる(葉脈が濃く見える、葉脈間が黄化する、葉脈が褐変する等)とき、原因は「葉脈という構造の異常」だけでなく、輸送状態・水分条件・葉肉の障害・感染の広がり方が外観に表れている可能性があります。ここを混同すると、肥料を増やす、農薬を散布する、灌水を止めるといった判断が外れやすく、被害を拡大させます。

葉脈が関与して見える代表的な見え方は次の通りですが、いずれも単独では原因を断定できません。
①葉脈間黄化(ようみゃくかんおうか)
葉脈は緑のまま、葉脈の間が黄化する。微量要素欠乏、根傷み、塩類集積(えんるいしゅうせき)、低温・過湿、ウイルス感染などでも起こり得ますが、葉脈症状の見え方だけでウイルス感染を含む原因を特定することはできません
②葉脈透過(ようみゃくとうか)・葉脈が浮く
葉肉の色が薄くなり、相対的に葉脈が目立つ。急な日射・水分ストレス、根域不良、薬害等でも起こり得ます。
③葉脈の褐変・壊死(えし)
葉脈が茶色〜黒くなる。病害(維管束系・葉枯れ系)、薬害、寒害(かんがい)、乾湿差による組織破壊などでも起こり得ます。

断定不能な場面での扱いとして、葉脈に関する症状は「原因名」を先に置かず、まず現場で次を確認し、条件が揃わない限り断定しないのが安全です。
判断不能になりやすい追加確認事項(観察点・条件・履歴)
葉位:上位葉(新葉)か下位葉(古葉)か、どこから始まったか。
分布:株内で均一か、畝(うね)の端・谷・入口付近に偏るか、スポット状か。
進展速度:数日で急速か、数週間でじわじわか。
葉裏の所見:病斑(びょうはん)の有無、菌叢(きんそう)の有無、害虫寄生の有無。
根域:根の白さ・褐変、臭気、根量、培地水分、乾湿差。
EC・pH:肥料濃度、塩類集積、吸収阻害の可能性。
気象・環境:急激な温度変化、強日射、結露、換気状態。
散布・施用履歴:農薬・展着剤・葉面散布肥料の種類、濃度、混用、散布後環境。
これらが揃わない状態で原因を決め打ちすると、過剰施肥・不要散布・誤った水管理につながります。

葉脈の形そのものは作物・品種で大きく異なります。単子葉類(たんしようるい)は平行脈(へいこうみゃく)、双子葉類(そうしようるい)は網状脈(もうじょうみゃく)が多いという整理は可能ですが、現場で重要なのは形態知識そのものではなく、「異常に見えたときに、条件と症状を照合して原因を絞る判断手順」です。葉脈の見え方だけを根拠に対処を固定しないことが、損失回避の要点です。

葉脈(パキラの葉)葉脈(パキラの葉)

葉脈(ようみゃく)で起きやすい典型的な誤判断

  • 誤判断①:葉脈間黄化=即「鉄(てつ)欠乏」や「微量要素不足」と決め打ち/なぜ誤りか:根傷み・過湿・高EC・低温などでも同様の見え方になる/正しい判断軸:葉位、根域状態、EC・pH、灌水の乾湿差、分布の偏りを確認する。
  • 誤判断②:葉脈が目立つ=病害虫だから農薬散布/なぜ誤りか:水分ストレスや薬害でも葉脈が強調される/正しい判断軸:葉裏所見、進展速度、散布履歴を照合し非感染性要因を先に除外する。
  • 誤判断③:葉脈の褐変=特定病害と断定し更新・全面防除/なぜ誤りか:寒害・乾湿差・施用ムラでも局所壊死が出る/正しい判断軸:畝内分布、環境条件、直近作業との時間関係を整理して対応規模を決める。
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