粒剤(りゅうざい)

粒剤

粒剤とは

粒剤(りゅうざい)とは、農薬の有効成分を担体や補助成分とともに粒状に製剤化した、農薬の剤型(ざいけい)の一種です。

一般に水で希釈せず、そのまま土壌、株元、水田、育苗箱などへ施用します。

粒剤には殺虫剤、殺菌剤、除草剤などがあり、粒の大きさや形状、成分の放出特性は製品によって異なります。

また、粉末状の粉剤と比べ、一般に風で飛散しにくい特徴があります。

ただし、粒状の肥料や土壌改良材などは、形状が似ていても農薬登録上の粒剤とは異なる資材です。

粒剤の特徴と仕組み

粒剤は、農薬の有効成分を鉱物質などの担体と混合したり、粒子に保持させたりして、散布しやすい形状に加工した製剤です。

粒剤に含まれる有効成分は、施用後に水分などの影響を受けて粒子から放出され、対象となる病害虫や雑草に作用します。

成分の放出や移動の仕組みは、製剤設計、有効成分の性質、土壌水分、温度などによって異なります。

「粒剤だから緩効性」「粒剤だから長期間効果が続く」と判断することはできません。

速やかに成分を放出する製剤もあれば、持続的な効果を目的として設計された製剤もあります。

また、植物の根などから有効成分が吸収されて作用する製品と、土壌や水中などで対象に作用する製品では、防除の仕組みが異なります。

粒剤の主な施用方法

粒剤には、土壌表面散布、株元散布、作条処理、植穴処理、土壌混和、育苗箱処理、湛水散布など、さまざまな使用方法があります。

どの方法で使用できるかは、製品ごとの農薬登録内容によって決まります。

土壌への施用

野菜や花きなどでは、播種前、定植時、生育期間中などに粒剤を土壌へ施用する方法があります。

製品によって、土壌表面へ散布するもの、株元に散布するもの、土壌中へ混和するものなどがあります。

例えば、全面土壌混和が指定された農薬を株元へ散布するだけでは、登録された使用方法と異なります。

「土にまく粒剤」という理解だけでは、適切な使用方法を判断できません。

処理する場所、深さ、土壌混和の有無、使用時期を製品ラベルで確認してください。

水稲の育苗箱処理

水稲の育苗では、殺虫剤や殺菌剤などを粒状にした「箱粒剤」が使用されています。

育苗箱へ粒剤を施用し、移植後の病害虫を防除する方法です。

使用時期は、播種時(覆土前)、移植数日前から移植当日までなど、製品によって異なります。

また、使用量も育苗箱1箱当たりの重量で指定される場合があります。

例えば、農薬登録情報にある「サンフェスタ箱粒剤」には、所定の育苗箱1箱当たり50gを均一に散布する使用方法が登録されています。

これは同製品の登録例であり、すべての箱粒剤に共通する使用量ではありません。

高密度播種苗などでは適用条件や使用量が異なる場合もあるため、育苗方法に適合した登録内容を確認する必要があります。

注意:
育苗箱への粒剤散布では、箱の端部への偏りや、箱外へのこぼれ落ちに注意してください。
不均一な施用は防除効果や薬害に影響するおそれがあります。
また、箱粒剤の使用方法を、登録のない本田への散布などに変更してはいけません。

水田への施用

水田では、除草剤や殺虫剤などの粒剤が使用されています。

使用方法には、湛水状態での全面散布、田植え同時処理、側条施用などがあります。

水田用の粒剤には、散布後に有効成分が水中へ広がる製剤もあります。

ただし、すべての粒剤が水田全体へ自然に均一拡散するわけではありません。

全面散布が必要な製品と、水中での拡散を利用して散布作業を省力化できる製品は、区別する必要があります。

1キロ粒剤と3キロ粒剤の違い

水田用除草剤では、「1キロ粒剤」や「3キロ粒剤」という名称が使用されています。

これは一般に、10a(1,000㎡)当たりに使用する製剤の重量を表した名称です。

  • 1キロ粒剤:10a当たり1kgを散布する製剤。
  • 3キロ粒剤:10a当たり3kgを散布する製剤。

1キロ粒剤は、3キロ粒剤より散布する製剤重量が少ないため、運搬や散布作業の負担を軽減できます。

ただし、1キロ粒剤が3キロ粒剤の3倍の濃度であるとは限りません。

有効成分の種類や含有率、粒子の設計が製品ごとに異なるためです。

また、散布重量が少ないことと、均一に散布しやすいことは別です。

製剤の種類に応じて散布機を調整し、適正な使用量を守る必要があります。

水田で粒剤を使う際の水管理

水田用除草剤では、散布前後の水管理が防除効果や薬害の発生に大きく関係します。

特に、湛水散布を行う粒剤では、田面が露出しないように適切な水深を確保する必要があります。

日本植物調節剤研究協会では、全面散布を前提とする1キロ粒剤について、水深3~5cm程度を目安とした使用方法を紹介しています。

実際に必要な水深は製品ごとに異なるため、農薬ラベルに従ってください。

散布後に落水やかけ流しを行うと、有効成分が圃場外へ流出し、防除効果の低下や水質への影響につながるおそれがあります。

農林水産省は、水田で農薬を使用する場合、製品ラベルの注意事項を確認したうえで、止水期間を1週間程度とするよう指導しています。

また、畦畔からの漏水にも注意が必要です。

注意:
水田用除草剤の散布後は、製品ラベルで定められた水管理と止水に関する注意事項を守ってください。
大雨が予想される場合や漏水が著しい圃場では、薬剤の流出や効果不足を招くおそれがあります。
散布時期や水管理は、作物と使用する製品の登録内容に従って判断してください。

粒剤と粉剤・顆粒水和剤の違い

農薬には、粒状や粉末状など外観の似た製剤がありますが、使用方法は異なります。

粒剤

粒状に製剤化された農薬で、一般に水で希釈せず、そのまま散布・施用します。

土壌、水田、育苗箱などへの処理に使用されます。

粉剤

粉剤は、粒剤より細かな粉末状の農薬です。

原則として水で希釈せず使用しますが、粒子が細かいため風による飛散に注意が必要です。

顆粒水和剤

顆粒水和剤(かりゅうすいわざい)は、顆粒状に加工された農薬を水に分散・懸濁させて使用する製剤です。

ドライフロアブル剤と呼ばれることもあります。

見た目は粒剤に似ていますが、通常は水で希釈して使用するため、そのまま散布する粒剤とは異なります。

農薬の使用方法は、見た目の粒の大きさではなく、製品名と剤型、登録内容で判断してください。

散粒器を使用する際の注意点

粒剤を散粒器で散布する場合は、作業前に吐出量を確認してください。

粒径、形状、かさ密度、表面状態、湿りなどによって粒剤の流動性が異なるため、散粒器の同じ目盛りでも散布量が変わる場合があります。

また、歩行速度や散布幅、散粒器の回転数なども単位面積当たりの散布量に影響します。

使用する製品に対応した散布機であることを確認し、機械メーカーの取扱説明書に従って調整します。

特に1キロ粒剤など、面積当たりの散布重量が少ない製剤では、過剰散布や散布むらに注意が必要です。

圃場面積から必要な製剤量を算出し、実際の吐出量と散布幅を確認してから作業を始めてください。

肥料用の散布機が農薬粒剤にも対応しているとは限りません。薬剤の種類や粒径に適した機器を選ぶ必要があります。

粒剤の選定と使用上の注意点

粒剤は、希釈作業が不要で比較的扱いやすい剤型ですが、使用方法を誤ると、防除効果の低下や薬害、環境への影響につながります。

使用前には、次の事項を確認してください。

  • 適用作物・対象病害虫:使用する作物と防除対象が登録されているか。
  • 使用時期:播種前、定植時、生育期間中など、登録された時期に適合するか。
  • 使用量:10a当たり、育苗箱1箱当たり、株当たりなど、指定された単位と量を確認する。
  • 使用方法:表面散布、土壌混和、作条処理、植穴処理、湛水散布などの指定を守る。
  • 農薬の使用回数:本剤の使用回数と、同じ有効成分を含む農薬の総使用回数を確認する。
  • 散布設備:粒剤の種類と登録された使用方法に適合した機器を使用する。

粒剤であっても、散布時に発生する粉じんや、皮膚への付着などによる曝露の危険はあります。

農薬ラベルに記載された保護具を着用し、作業後は手洗いや使用機器の適切な清掃を行ってください。

粒剤は「そのまま使用できる」ことが特徴ですが、「どこにでもそのまま散布できる」という意味ではありません。

粒剤の参考動画

粒剤を使用する際は、製品ごとに異なる使用量、使用時期、使用方法を正しく確認する必要があります。

粒剤の散布工程そのものを解説した公的機関の適切な動画は確認できなかったため、農薬の使用基準を確認する参考動画を紹介します。

農薬の正しい使い方「製品ラベル」
クロップライフジャパン(旧・農薬工業会)

農薬ラベルに記載された適用作物、使用方法、使用回数などを確認するための解説動画です。

農薬の正しい使い方「製品ラベル」(YouTube)を見る

動画について:
この動画は、農薬ラベルの確認方法や適正使用を理解するための参考資料として紹介しています。
粒剤の具体的な散布工程を示す動画ではありません。
農材ドットコムが制作・管理している動画ではありません。
動画の内容、公開状況、URLなどは、公開元の都合により変更または削除される場合があります。
実際の農薬使用では、最新の登録情報と製品ラベルに記載された使用基準を確認してください。

関連する資材分類・農業用語

参考資料

見つからない用語・製品の登録をリクエスト

個人情報の入力は不要です。掲載してほしい名称だけをお知らせください。

登録を希望する情報の種類

最近対応したリクエスト