ココピート

ココピート
ココピートはヤシ殻由来の繊維質を加工した用土資材で、肥料や土壌ではなく、培地として通気・保水など物理性を設計するために用いられます。

ココピートの概要

ココピートとは、ココヤシの果皮(ヤシ殻)の繊維質を粉砕・熟成して得られる有機質の用土資材であり、肥料でも土壌そのものでもなく、養分を供給する資材ではありません。 主用途は、軽量で空隙(くうげき)を確保しながら水分を保持する「培地(ばいち)」としての物理性(通気・保水)の設計にあります。

ココピートの詳細説明

ココピートは、ヤシ殻由来のリグニン(木質成分)とセルロースを多く含む繊維質有機物で、粒度(粉状〜チップ混在)と繊維割合によって通気性・保水性が大きく変わります。一般に、細粒ほど保水が増え、粗粒・チップ混在ほど通気が増えます。土壌のように団粒(だんりゅう)形成で物理性が安定する性格ではなく、製品ロットと水管理で性能が振れやすい点が前提になります。

化学性として、ココピートは多くの場合弱酸性〜中性域(目安としてpH 5.5〜6.5程度)に調整された製品が流通しますが、これは「製品仕様」であり原料由来で一定ではありません。さらに重要なのはEC(電気伝導度:塩類濃度)で、未洗浄・未除塩の製品は塩分(特にNa、K由来)でECが高くなりやすく、塩類障害のリスクが現実に発生します。 そのため、園芸用途では「除塩(洗浄)済み」「低EC」など仕様が明記された製品が選別対象になります。

また、ココピートは陽イオン交換(よういおんこうかん)の性質を持ち、原料・処理が不十分な場合、培養液中のCa(カルシウム)やMg(マグネシウム)が交換で奪われ、相対的にK(カリウム)優位になりやすいことがあります。これが現場で「原因が見えにくいCa/Mg欠乏」や生理障害の形で出るため、バッファリング(Caで交換部位を事前に埋める処理)済みかどうかが実用品質の分岐点になります。ココピート自体は養分供給性は基本的に期待できず、栽培は施肥(培養液・元肥設計)で成立させる必要があります。

現場で問題になりやすい点と判断基準を明文化します。

  1. (1)低EC・除塩済みの明記がない製品は、園芸用途では「塩分リスクがある前提」で扱う。 導入時は必ず潅水して排液を取り、排液ECが高い状態が続くなら使用を中止するか、十分な洗浄工程を追加します。
  2. (2)「バッファリング済み」表示がない場合、初期はCa/Mgの不足が出る前提で管理し、症状(新葉の生理障害、尻腐れ様症状、芯止まり等)と養液設計を同時に点検する。
  3. (3)乾燥し過ぎたココピートは吸水ムラが出やすく、局所的な過湿・乾燥が同時発生し得る。 乾湿の振れを大きくしない潅水設計(少量多回・排液管理)に切り替え、物理性が戻らないほど固結した場合は培地更新を判断します。

ココピートの役目と役割

ココピートは「肥料」ではなく、「病害虫を抑える薬」でもなく、「単独で万能な土」でもありません。 位置づけは、栽培を成立させるための培地設計(物理性と根域環境)を作る用土資材です。したがって、施肥は別設計、塩分とCa/Mgバランスは別管理、病害虫は別対策が必要です。

  • 役割1:根域の空気と水のバランス(通気・保水)を作り、根の活動空間を確保する。
  • 役割2:軽量で均一な培地を作り、コンテナ栽培・施設栽培での作業性と再現性を上げる。
  • 役割3:培養液栽培・液肥設計と組み合わせ、養分供給を「培地ではなく施肥側」に寄せて管理できるようにする。

ココピートのメリットと課題

メリット

  • 軽量で、培地の容積と空隙を確保しやすく、コンテナ・ベッド栽培で根域設計がしやすい。
  • 粒度・チップ混在など仕様選定により、保水寄り/通気寄りの物理性を調整できる。
  • 培地自体の養分供給性に依存しにくいため、施肥(培養液・液肥)で養分を定義しやすい。

課題

  • 製品によって塩分(EC)とNa・Kの残存が大きく異なり、初期の塩類障害や生育停滞が起きる。
    対処方法:購入時に「除塩済み」「低EC」「園芸用」など仕様が明記された製品を選び、導入時に必ず排液を取りECの異常が続く場合は洗浄工程を追加、改善しない場合は使用中止を判断する。
  • バッファリング不十分だとCa/Mgが交換で奪われ、Ca/Mg欠乏が見えにくい形で出る。
    対処方法:「バッファリング済み」表示を優先し、表示がない場合は初期からCa/Mgを含む設計で管理し、症状が出たら施肥組成と排液の推移を同時に見直す。
  • 乾湿の振れが大きい管理では吸水ムラ・根域ムラが起き、過湿障害と乾燥障害が同時に出る。
    対処方法:少量多回潅水と排液管理で含水を平準化し、固結や劣化で物理性が戻らない場合は培地更新を実施する。
ココピートとは、ヤシ殻由来の繊維質有機物を加工した用土資材で、肥料ではなく、通気性と保水性を設計する培地として用いられるものです。
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