電磁弁・電動弁・制御機器

電磁弁・電動弁・制御機器

農業用の電磁弁・電動弁・制御機器とは

農業用の電磁弁・電動弁・制御機器は、灌水(かん水)設備や養液栽培設備などで、水や培養液の流れを自動的に開閉・切替・制御するための機器です。

電磁弁や電動弁が実際に配管内の流体を制御する「弁」であるのに対し、灌水コントローラーやタイマーなどの制御機器は、設定時刻、積算日射量、流量、土壌・培地の水分状態などを基に弁やポンプへ動作信号を送ります。

施設園芸では、単純なタイマー灌水から、日射比例灌水、流量制御、液肥施用、遠隔監視までさまざまな方式があります。
高度な機能を備えていることよりも、使用水圧、流量、電源・出力電圧、弁の作動方式、停電時の動作などが実際の設備条件に適合していることが重要です。

電磁弁・電動弁・灌水制御機器取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名特徴
ファーマーズサポートネット灌水管理追跡システム プロトラッカー給液・排液のタイミングを可視化する灌水管理機器。制御弁ではなく灌水状態の監視・把握用途
株式会社イーエス・ウォーターネットウォーターマスターⅡAC100V電源、AC24V電磁弁を標準4ch・最大24chまで制御可能な自動散水コントローラー
株式会社イーエス・ウォーターネット自動散水タイマー各種電池式・商用電源式など用途に応じた自動散水タイマーを展開
イノチオアグリ株式会社アクアビート時間制御・流量制御・液肥倍率制御に対応。最大16系統、最大5液の肥料混入に対応
株式会社丸昇農材アクアマイスターPro日射センサー標準装備。タイマー灌水・日射灌水、電磁弁・電動弁に対応
株式会社丸昇農材アクアマイスターLightシンプルな自動灌水コントローラー。電動弁・電磁弁に対応し最大80バルブまで拡張可能
株式会社サンホープ電池式かん水タイマーBluetooth対応の電池式灌水タイマー。電源を確保しにくい場所での自動灌水に対応
株式会社サンホープスプリンクラーシンカー乾電池式の灌水コントローラー。電磁弁制御とセンサー入力に対応
日本オペレーター株式会社養液王700最大8系統・最大4液に対応する施肥・灌水制御盤。日射量や水分センサーによる制御にも対応
ネタフィムジャパン株式会社Aquanet Plus農業灌水用コントロールバルブ。AC・DCラッチ仕様、手動操作、流量調整機構などを装備
CKD株式会社自動散水用樹脂製電磁弁 GSV2農業用水・液肥・養液の制御に対応する樹脂製電磁弁。20A~50A
CKD株式会社自動散水用電磁弁 RSV金属ボディの農業・緑化用電磁弁。低ウォーターハンマー、流量調整・手動操作機構を搭載
CKD株式会社自動散水コントローラ RSC散水用電磁弁コントローラー。ソーラー・商用電源・乾電池仕様を展開
CKD株式会社Remote CKD CRS-AG1LTE対応農業用遠隔コントローラー。最大18系統の灌水電磁弁制御、流量監視、温度・土壌水分監視に対応
スナオ電気株式会社オートレイン 1・2系統施設園芸向けのシンプルな自動灌水タイマー。用途に応じて1・2系統を選択
スナオ電気株式会社施肥対応オートレイン LF421・621・8214・6・8系統。AC24V/DC24V電磁弁に対応し、日射比例コントローラー等の外部入力による灌水・施肥が可能
株式会社ソフトウェア研究所MiZULi(旧称:EBスプリンクラー)土壌水分・日射量を利用した自動灌水、タイマー灌水、液肥混合などに対応
株式会社ルートレック・ネットワークスゼロアグリシリーズAI・IoTを利用した灌水施肥システム。遠隔監視・制御、少量多回数灌水などに対応
株式会社メーコー精機日射比例式かん水コントローラー MKR-100積算日射量による日射比例灌水、定時灌水、手動灌水に対応する4チャンネルコントローラー
株式会社フクスイ電池式コントローラー付バルブ乾電池式コントローラーと電磁弁を組み合わせた自動灌水用バルブ。施設園芸・畑地などに対応

電磁弁(ソレノイドバルブ)の仕組み

電磁弁は、電磁石(ソレノイド)を利用して弁を開閉するバルブです。
農業用灌水設備では、コントローラーからの電気信号によって各灌水系統への給水を自動的に切り替える用途で広く使用されています。

農業用ではダイヤフラム式のパイロット形電磁弁も多く使用されます。
この方式は配管内の水圧を利用して弁を作動させるため、製品ごとに定められた最低作動圧力・作動圧力差を確保する必要があります。

  • 連続通電式:通電中に弁を開または閉の状態に保持する方式。
  • ラッチ式:パルス信号で弁を切り替え、切替後の保持電力を抑えられる方式。乾電池やソーラー電源を利用する設備でも採用されます。
  • パイロット式:配管内の圧力差を利用して主弁を動かす方式。最低作動差圧を下回る条件では正常に作動しない製品があります。

したがって、「配管口径が合えば使用できる」という判断は危険です。
特に高架タンクや自然落差を利用する低圧灌水では、弁入口圧力と出口側圧力の条件を必ず確認する必要があります。

農業用電磁弁(ソレノイドバルブ)のイメージ

電動弁(モーターバルブ)の仕組み

電動弁は、電動モーターなどのアクチュエータによってバルブを開閉する装置です。
ボール弁などと組み合わせ、灌水系統の開閉に使用されるほか、仕様によっては弁開度を変化させて流量を調節するものもあります。

ただし、電動弁だから流量を比例制御できるとは限りません。
電動弁には全開・全閉を行う二位置制御型と、開度を連続的に変える比例制御型などがあります。
流量調整を目的とする場合は、弁本体だけでなくアクチュエータと制御信号の仕様まで確認する必要があります。

  • 二位置制御:全開・全閉を基本とし、灌水系統の切替に使用。
  • 比例・開度制御:対応する弁・アクチュエータ・制御信号を組み合わせて流量などを調整。
  • 電源喪失時動作:停止位置保持、全閉、全開、スプリングリターンなど製品により異なるため確認が必要。

電磁弁と電動弁のどちらが優れているかを一律に決めることはできません。
必要流量、水圧、配管径、電源、動作回数、保守性、停電時に求める状態などによって適切な方式は変わります。

灌水制御機器の主な制御方法

タイマー制御

設定した時刻や間隔で電磁弁・電動弁を作動させる基本的な方式です。
構成が比較的単純ですが、天候や作物の吸水量が変化しても設定時間どおりに灌水するため、季節や生育段階に応じた設定変更が必要です。

日射比例制御

日射センサーで測定した日射量を積算し、設定した積算日射量に到達すると灌水を開始する方式です。
日射と作物の蒸散・吸水との関係を利用する方法で、施設園芸の少量多回数灌水などに利用されています。

ただし、積算日射量の設定値だけで適正灌水が決まるわけではありません。
作物、生育段階、季節、培地量、根域、水分保持性、1回灌水量、排液率などを含めて設定する必要があります。

土壌・培地水分による制御

水分センサーなどの測定値を灌水開始・停止の判断に利用する方式です。
センサー値は設置位置、土壌・培地の種類、根の分布によって変わるため、1か所の測定値だけを圃場全体の水分状態とみなすことはできません。

流量による制御・監視

流量計を使用して灌水量を制御または記録する方法です。
設定量で灌水を停止するほか、予定した流量と実流量との差から、断水、フィルターや点滴資材の目詰まり、配管漏水などの異常検知に利用できるシステムもあります。

遠隔監視・IoT制御

通信機能を備えた制御機器では、スマートフォンやパソコンから設定変更、運転状況確認、警報通知などを行える製品があります。

ただし、遠隔操作機能の有無と灌水制御そのものの信頼性は別問題です。
通信障害が発生した場合にも現地の設定で自動運転を継続するのか、運転を停止するのかなど、通信断・停電時の動作を導入前に確認する必要があります。

電磁弁・電動弁・制御機器を選ぶ重要なポイント

1.使用圧力と最低作動差圧

ポンプ吐出圧だけでなく、フィルター、液肥混入器、配管、継手、弁、灌水チューブなどによる圧力損失を考慮し、実際に弁へ加わる圧力を確認します。
特にパイロット式電磁弁では最低作動差圧が重要です。

2.必要流量と圧力損失

弁の呼び径だけで判断せず、必要流量に対する圧力損失や流量特性を確認します。
同じ配管口径でも弁構造によって通水能力は異なります。

3.電源電圧・出力方式

AC24V、DC24V、AC100V、AC200V、ラッチパルス式など複数の方式があります。
コントローラーの出力と電磁弁・電動弁の仕様が一致していなければ正常に作動しません。

4.停電・通信断時の状態

停電したときに閉じる必要があるのか、開いた状態を保持する必要があるのかを決めたうえで選定します。
ラッチ式電磁弁や電動弁では、電源喪失時に現在位置を保持する製品もあるため、「停電すれば自動的に閉じる」とは限りません。

5.使用する水・液肥との適合性

農業用水、井戸水、液肥、培養液など、使用流体に対して弁本体、ダイヤフラム、シール材などが適合していることを確認します。
薬液を使用する場合は、薬液名・濃度・pHなどをメーカーへ提示して適合性を確認するのが安全です。

6.ろ過設備

電磁弁のパイロット流路や点滴資材は、砂、鉄さび、有機物などの異物による影響を受けます。
水源の水質に合わせてろ過器・フィルターを選定し、定期的に清掃します。

7.ウォーターハンマー

流量の大きな配管を急激に閉止すると、圧力変動によるウォーターハンマーが発生することがあります。
長距離配管、大流量、高圧設備では、弁の閉止特性、配管設計、ポンプ制御などを含めて検討します。

8.屋外設置・防水性

制御盤、コネクター、電磁弁などは、雨水だけでなく結露、冠水、薬液飛散などの影響を受ける場合があります。
機器ごとの防水・防塵仕様と設置条件を確認し、必要に応じてバルブボックスや防水盤を使用します。

9.手動操作と保守性

故障時や試運転時に手動で弁を開閉できる機構があると、原因の切り分けや緊急灌水が容易になります。
交換部品の供給、ダイヤフラムやコイルの交換可否、施工・保守を依頼できる販売店の有無も確認します。

よくある選定・運用上の間違い

  • 配管径だけで弁を選ぶ:最低作動差圧、必要流量、圧力損失を確認しなければ、弁が開かない、末端圧力が不足するなどの原因になります。
  • 電動弁なら流量調整できると考える:二位置型では基本的に全開・全閉です。比例制御が必要なら対応する弁・アクチュエータ・入力信号を選定します。
  • 電圧だけ見て接続する:AC/DC、連続通電、ラッチ式、接点出力など制御方式まで一致させる必要があります。
  • 土壌水分センサーを設置すれば自動的に適正灌水になると考える:設置位置や土壌・培地条件によって値が変わるため、作物の状態や実際の灌水量と照合して設定します。
  • IoT化すれば灌水事故がなくなると考える:通信障害、センサー故障、弁故障、フィルター目詰まり、断水などは別に発生します。流量監視、警報、手動操作などを含めた異常時対策が必要です。
  • 液肥や薬液を水と同じ扱いで流す:接液材質によっては腐食・膨潤・劣化が起こります。使用流体への適合確認が必要です。

作動しない場合に確認するポイント

電磁弁が開かない場合は、コイルや制御盤だけを疑うのではなく、上流側の水圧、最低作動差圧、フィルターやパイロット流路の詰まり、電源電圧、配線、制御信号を順に確認します。

弁を開いても十分な水量が得られない場合は、弁そのものだけでなく、ポンプ能力、フィルターの目詰まり、配管径、配管長、同時灌水系統数、末端灌水資材の必要圧力まで確認します。

弁が閉じない、または止水後も漏れる場合は、異物の噛み込み、ダイヤフラムやシール部の劣化、手動開閉機構の状態などを確認します。

関連する資材分類・農業用語

ここにアイテムを追加するには?