播種機

播種機

播種機とは

播種機(はしゅき)とは、
種子を一定の量や間隔で、
圃場や育苗用のトレイ・育苗箱などへ播くための機械・器具です。

英語ではSeeder、用途によってSeeding Machineなどと表されます。

播種機には、種子を繰り出して落とす機能だけを持つものから、
作溝、播種、覆土、鎮圧、
床土充填や灌水まで一連の工程を行うものがあります。

「播種機」という名称だけでは、対応する種子や播種精度は判断できません。

種子の大きさ・形状、裸種子かコーティング種子か、
播種粒数、播種間隔、播種深さ、トレイ規格、圃場条件などに応じて
適した機種や播種部品が異なります。

播種機の主な種類

圃場へ直接播種する播種機

畑などへ直接播種するタイプです。

人力で押して使用するもの、
管理機に装着するもの、
トラクターに装着・けん引するものなどがあります。

機種によって、作溝、種子の繰出し、覆土、鎮圧、
施肥などを一工程で行えるものもあります。

人力式が家庭菜園専用というわけではありません。
業務用野菜栽培でも、作付面積、畝幅、作物、
圃場条件に応じて人力式播種機が使用されています。

セルトレイ・育苗箱用播種機

育苗に使用するトレイや育苗箱へ播種するタイプです。

手動式、半自動式、全自動式があり、
機種によって鎮圧・穴あけ、播種、
覆土、灌水、
床土充填などを組み合わせて行います。

セルごとの播種粒数は作物や育苗方式によって異なります。
セルトレイ播種=必ず1セル1粒ではありません。

ネギなどでは複数粒播種を行う体系もあり、
対応する播種ロールや播種板を選択する必要があります。

真空・吸引式播種機

空気の吸引力を利用して種子を吸着し、
所定の位置へ播種する方式です。

裸種子や微細種子を扱える機種もあり、
播種位置や粒数をそろえやすいことが特徴です。

対応できる種子は吸着板、ノズル、穴径などによって異なります。
真空式だからすべての微細種子に対応できるわけではありません。

播種方法と繰出方式は別に考える

播種機を比較する際に混同しやすいのが、
「どのように種子を配置するか」と「機械がどのように種子を繰り出すか」
という二つの違いです。

条播(じょうは)

一定の条に沿って種子を播く方法です。

葉菜類、根菜類、麦類など幅広い作物で利用されます。
播種量や株間を調整できる播種機では、
条播であっても間引きを前提としない栽培があります。

点播(てんぱ)

一定の間隔ごとに1粒または複数粒を播く方法です。

株間や播種粒数を一定にしやすく、
ダイズ、トウモロコシ、野菜類などで利用されます。

欠粒や重複播種が多い場合は、
予定した栽植密度や苗立ちの均一性を確保しにくくなります。

散播(さんぱ)

一定の列や点に限定せず、面状に種子を播く方法です。

牧草、緑肥、一部の穀類や直播栽培などで利用されます。
条播や点播より劣る方式という意味ではなく、
作物と栽培体系に応じて選択されます。

播種機の主な繰出方式

播種機内部で種子を取り出す仕組みには、
ロール式、ベルト式、目皿式、吸引式などがあります。

同じ作物でも、裸種子とコーティング種子では
適するロール、ベルト、目皿、吸着板などが変わる場合があります。

作物名だけで播種機を選定しないでください。

作物別に確認したい播種条件

作物・用途 播種機選定で確認したい点
ニンジン 裸種子・コーティング種子の別、播種間隔、条数、播種深さ、播種部の適合を確認します。精密な播種が必要な場合は対応する繰出機構を選定します。
レタス・キャベツ類 セル育苗ではトレイ規格、種子規格、1セル当たりの播種粒数を確認します。ロール式、播種板、吸引式など複数の方式があります。
タマネギ・ネギ類 苗床への直接播種か、セルトレイ・専用ポットへの播種かで機械が異なります。裸種子・コーティング種子、1穴当たりの粒数も確認します。
ダイズ・トウモロコシ 種子サイズ、点播粒数、株間、条間、播種深さ、圃場の残渣や土壌状態への対応を確認します。
水稲 移植栽培では育苗箱用播種機、直播栽培では圃場へ直接播種する機械を使用します。栽培方式を先に決めてから機種を選定します。

播種機の選び方

播種機の選定では、最初に使用する種子を確認します。

同じ「ニンジン用」「ネギ用」などと表示された機械でも、
種子の大きさ、形状、コーティングの有無によって
必要な播種ロールや目皿などが異なる場合があります。

次に、目標とする播種粒数、
株間、
条間、
播種深さを確認します。

圃場で使用する場合は、
砕土状態、土壌水分、作物残渣、畝形状、
マルチの有無なども播種精度に影響します。

セルトレイや育苗箱へ播種する場合は、
トレイ規格、穴数、種子規格、
必要な処理能力を確認してください。

カタログ上の最大作業速度だけで選定しないでください。

段取り、種子交換、播種部品の交換、
清掃、残った種子の回収まで含めて
実際の作業体系に適するかを判断します。

播種前に必ず行いたい確認

本作業の前に少量の種子で試し播きを行い、
実際に落ちる粒数と間隔を確認します。

圃場播種ではさらに播種深さ、
覆土状態、鎮圧状態を数か所掘り返して確認します。

接地輪で駆動する播種機では、
土壌条件や車輪の滑りによって設定値と実際の播種間隔が
ずれる場合があります。

セルトレイ播種では、
欠粒、2粒以上の重複播種、セル中心からの位置ずれ、
播種深さや覆土量も確認します。

設定値ではなく、実際に播かれた状態を確認してください。

播種機で起こりやすい失敗

種子に合わない播種部品を使用する
穴径やロール形状などが合わないと、
欠粒、重複播種、詰まり、種子損傷などが起こる場合があります。

試し播きをせず本作業を始める
設定値が同じでも種子ロットや圃場条件によって
実際の播種量が変わることがあります。

播種深さを確認しない
深さのばらつきは発芽や
出芽の揃いを悪化させる原因になります。
適正な播種深さは作物や土壌条件によって異なります。

作業速度を上げすぎる
機種の想定範囲を超えた速度では、
播種間隔や播種深さなどの精度が低下する場合があります。

トレイ・苗箱・マルチ規格を確認しない
セル数、穴位置、穴間隔、マルチ孔のピッチが合わなければ
目的とする播種ができません。

機械化が適するかは作業量で判断する

少量多品目だから播種機が使えないわけではありません。

問題になるのは、
種子や作物を替えるたびに必要となる部品交換、
調整、清掃などの段取り時間です。

年間の播種量が少なく、
段取り時間の方が省力効果より大きい場合は、
簡易播種器や手播きの方が合理的なことがあります。

逆に高価な種子や大量育苗では、
欠粒や重複播種を減らせる精密播種機が
経済的に有利になる場合があります。

作物価格ではなく、播種量・必要精度・作業時間・種子損失を含めて判断します。

播種機取り扱いメーカー・代理店

製造・発売元製品名特徴
株式会社向井工業種まき機 ごんべえ 手押しタイプベルト繰上げ式の手押し播種機。野菜、大豆、麦、コーンなど用途に応じた機種を設定。播種ベルトや機種によって対応作物・播種間隔が異なる。
アグリテクノサーチ株式会社高速汎用播種機 NTPシリーズトラクタ用高速汎用播種機。型式によって大豆、デントコーン、水稲、麦、そば、牧草などに対応。
アグリテクノサーチ株式会社目皿式播種機 TDRシリーズトラクタ用目皿式播種機。目皿交換により播種粒数などを変更でき、大豆などの播種に対応。
アグリテクノサーチ株式会社ADRG・AFRGシリーズトラクタ用目皿式播種機・施肥播種機。大豆、コーンに対応するシリーズ。
株式会社スズテックオートセルトレイ播種機 STH7M-128・STH7M-200NAME規格128穴・200穴セルトレイに対応。播種部などの組換えにより複数の種子・播種粒数へ対応。
株式会社スズテックセルトレイ播種機 STH2009Lコート種子専用。128穴・200穴に対応し、箱供給、土入れ、灌水、鎮圧、播種、覆土を連続して行う。
株式会社スズテックセルトレイ全自動播種機 STH4009Lコート種子専用の全自動播種機。128穴・200穴に対応し、330~400トレイ/時の処理能力を持つ。
ヤンマーアグリ株式会社野菜播種機 SV410Aセルトレイ用野菜播種機。仕様により128穴・200穴・288穴などに対応し、充填、灌水、鎮圧、播種、覆土などを連続処理。
ヤンマーアグリ株式会社吸引精密播種装置 YVR100A吸引式の精密播種装置。吸着板を交換することで野菜・花きの裸種子やコート種子に対応。
みのる産業株式会社野菜全自動播種機 VE-31ポット220苗箱用。標準仕様では2Lコーティング種子3粒播きで、播種ロール交換により播種条件を変更可能。
みのる産業株式会社玉ネギ全自動播種機 OSE-12Hポット448苗箱用の高速タイプ。タマネギのコーティング種子を1粒ずつ播種。
みのる産業株式会社玉ネギ全自動播種機 VOE-20ポット324苗箱専用。床土、播種、覆土を一工程で行い、2L規格コーティング種子を1粒播種。
株式会社啓文社製作所水稲用播種機 K-6T育苗箱上を手押しして播種・覆土する水稲用播種機。播種量・覆土量を調節可能。

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